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ドワーフの鍛冶師

良いね、良いね、良い感じ!!フォーーー!!



 アクロームと別れてからゼノバルトとクリアードはガイアドラグーンの目玉ともいえる場所、商業地区にある鍛冶街に来ている。クリアードはとても目立つため自ら幻影魔法<周囲同化(レイメル)>と認識阻害魔法<認識阻害アブート>をかけ普通の人間の姿になり、自分を周りから認識しにくくしている。実際は全身を覆っている黒い靄を消せば魔力を使わずに済むのだが。彼は少し衆目に見られるのが苦手なので魔法を使ってでも見られたくないのである。

 ゼノバルトとクリアードはディアンの話から聞いていたガイアドラグーンで一番の鍛冶師の所へ向かっている。鍛冶街と言うだけあって、右を見ても左を見ても至る所に鍛冶屋があった。


「・・・あれで最後。もうすぐで着くな」


 ゼノバルトは周りを見ながらディアンに言われた最後の目印を見つける。


「――ゼノバルト様、一つ質問してもいいでしょうか」

「かまわないぞ」

「ありがとうございます。・・・では何故。いまさら鍛冶師をお求めになるのですか?魔王様方には専属の鍛冶師がいるではありませんか?」


 ゼノバルトは一泊おいて答える。


「・・・確かに俺達には専属の鍛冶師が一人ずついる。だが、問題はその腕の立つ鍛冶師の数だ」


 今アクローム達の所にはあの絶滅戦争で生き残った鍛冶師、アルガントス、千子村正、シュナイフォン。この三人しかいない。無論この三人はアクローム達自身の専属に選ぶほど優秀である。だが、どんなに頑張ってもこの三人だけで約三百人程いる仲間達とゴブリンたち。これから増えるであろう国民たちの武器や防具。これを製造及び修理、修復をするのは時間が掛かる。


「それにこの世界にいるであろう❝あの者❞のためにも早急に腕の立つ鍛冶師が必要なのだ。銃、兵器などであればプラントで製造出来るのだがな」

「――確かに小火器に重火器、大型兵器なら量産兵器製造用大型プラントで造れますが、私のような特注で作られた剣などはプラントじゃ鍛造出来ません」

「そう。強力な魔剣や聖剣といった物は今言った三人、もしくは相当腕が立つ鍛冶師にしか鍛造できない。機械では強力な魔剣や聖剣は鍛造できない。精々、量産品の低出力の魔剣しか鍛造できない。そう言った意味でも腕の立つ鍛冶師が早急にいる。ということだ」

「なるほど。私めの質問に答えてくださってありがとうございます」

「別に構わん。それにお前と話している間にもう着いたからな。いい暇つぶしになった」


 ゼノバルトがクリアードの質問に答えている間に目的地に到着したようだ。今いる所は鍛冶街のメインストリートから少し離れたアバルカン工房と書かれた、少し錆びれた感じの鍛冶屋である。

 だが此処はディアンが言うにはこの世界中にいるドワーフの中で一番の鍛冶師と呼ばれているらしい。実際にドワーフ王の剣を鍛造したのはここの鍛冶師だという。

 ゼノバルトは扉をノックし中に入っていく。


「失礼する」


 鍛冶屋の中は途轍もない熱気が籠り、鉄を打つ音が響く。普通の人ならば直ぐに外に出てしまう程熱いが、ゼノバルトとクリアードは天使の固有スキル、もとい精神生命体なら誰でも持っている【自然影響耐性】を持っている為、熱気の籠った鍛冶屋の中でも快適に過ごせるのである。

 ゼノバルトは中を進み、丁度作業が終わったのか近くにいた一人のドワーフが立ち上がった。


「――よし。これで今日の分は終わりだな」


 そのドワーフは、手に持っていた金槌(かなづち)と下に置いていた玉箸(たまばし)平箸(ひらばし)を片付けていく。


「すまぬが、お前がドワーフ一の鍛冶師アバルガンか」

「うぉほおおい!!」


 道具の片付けが終わるのを待ち、ゼノバルトは声を掛けた。するとよほど集中していたらしくゼノバルトが声を掛けるまで気づく事はなく、声を掛けた途端に大きな声を出して、思いっ切り振り向いた。


「だ、誰だ!この儂に何の用だ!」


 アバルカンと呼ばれたドワーフは、身長は一四〇くらいにお腹が出っ張ている典型的なドワーフの見た目である。急に呼ばれた為か声を荒げてゼノバルトとクリアードに指を差す。


「すまぬな。俺はゼノバルト・アルゴード。でこっちが」

「クリアードです」


 クリアードは<認識阻害アブート>を解く。


「俺たちはディアンという商人にこの国で一番の鍛冶は誰かと尋ねたところ、アバルカンという者が一番だと聞いてな。それで会いに来たのだ」

「ディアン?なんだ、あんたディアンと知り合いなのか?」

「あぁ、ギガントスパイダーに襲われたところを助けたら礼がしたいと言ってきたので此処を紹介してもらった」

「なる程。ディアンの紹介ということなら、良いだろう。あんたら何が必要なんだ」


 どうやらアバラカンとディアンは知り合いらしくディアンの名前を出すと、態度が軟化し、落ち着いたのかさっきまで座っていた椅子に座る。


「俺たちは今、腕の立つ鍛冶師を探している。それも出来るだけ多く」

「何故、そんなに大勢の鍛冶師が必要なんだ?」

「それは、これを見ればわかるだろう。クリアード」

「はっ」


 クリアードは左腰に差していた剣をアバルカンに渡す。アバラカンは受け取った剣を鞘から出してその剣身を凝視する。


(な、な、何じゃこりゃー!?見ただけで分かる。感じるだけで分かる。この剣、途轍もない大業物(おおわざもの)。いやこれは、儂も初めて見る最上級の大業物じゃないのかこれ。これほどの物を持っているのはそれこそ魔王くらいのものだろうに)


 その剣身は誰もが見とれる程に美しくシミや錆、刃こぼれ一つない。その剣身に纏うオーラは濃密な魔力と神聖力を帯びている。刃に少しでも触れば指ごと切り落とされるだろう。

 アバルカンは瞬時に理解する。これ程の物を鍛造、修理、修復しようとすると途轍もないほどの、いや隔絶した規格外の腕を持つ鍛冶師じゃなければ出来ない、と。

 それに❝多く❞ということはこれと同等の物、もしくはこれ以上のものを大量に作らせる気満々という事に。


「――なるほど。確かにこれを見れば、腕の立つ鍛冶師が多く必要な理由がわかるわい。これほどの剣は見たことがない」

「そうだろう。これはうちで鍛造した“聖剣アンフィロール”というものだ」

「これ程の物を打てる鍛冶師が居るのか。一度で良いから会ってみたいものだな」

「その為にお前をスカウトしに来たんじゃないか」

「そういえばそうでしたな」

「うちに来てくれるか?」


 一泊おきアバルカンは答える。


「勿論、行きさせてもらいます!アバルカン工房全員で良いですかい?」

「大歓迎だ。一週間後にまた来るからそれまでに準備をしておいてくれ」

「わかりました!良し!お前ら今すぐ準備しろ!!アバルカン工房、移転するぞ!!」


 アバルカンは即決して鍛冶屋にいる全員に触れ回った。


「最重要目標が達成しましたね」

「当面はこれで、鍛冶師不足になることはないはずだ」


 ゼノバルトとクリアードは工房を出ていく。


「とりあえず。時間もまだあることだし、少し周りを散策するか」

「はっ」


 ゼノバルトは商業地区を散策し周る。出店や小道、裏路地など特に絡まれることもなく時間をつぶしていき。酒場に向かった。



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