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『歌詫音さんと組むのってなんだか辛いんだよね。面白味もないし、つまらないから』
『……無理なら先生に言えばいいと思うけど』
『そこはごめんねって言ってほしいんだけど。取り残されて、強制的に組まされた私の身になってさ』
『他人に同調するの、好きじゃないから。それに取り残されたのはグループの問題かもしれないし』
『……嫌な奴』
『嫌で結構。この時間中は少なくとも迷惑にならないようには頑張る』
『はぁ。……さっさと終わらないかな、体育』
組んだ人の会話。好感を持たれていないのはハッキリと分かっていた。
不愛想なことには自覚はある。つまらない人間なのもわかっている。ただ、同調を促されるのは不快だった。私の方が偉いなんて態度は言い争いの原因になるし、私が正しいなんて言われても反応に困る。面倒な対人関係の元にしかならない。だから、なるべく穏便に済ませたかった。どうせ、文句は後々言われるだろうと思って。
その日の体育が終わった後、文句を言ってきた彼女が噂を広めたのは言うまでもない。
『歌詫音さんが私を傷つけた!』
『歌詫音……歌詫音駿河さん? あの、瞳で人を殺しそうなくらい眼光が鋭い子?』
歌詫音駿河というのは私の名前だ。
あまり、いい評価を受けていない。
『よく無事に帰ってこれたよね。怪我とかしてない? 大丈夫?』
『怪我はしてないけど、私に反論してきてさぁ。なんていうの? 心の傷を受けたって感じ』
『辛かったね』
『うん、辛かった。今度はちゃんと余らないようにしてよね』
『今日休みだった子が来れば大丈夫だよ』
『ほんと!? じゃあ、元気になれって連絡する!』
どうやら、私と組んだのは不本意だったらしい。グループ内で孤立しているというわけではないだけ、まだいいだろう。私の文句だけで終わるのだから。
こういう評価を受けることはよくあった。
『歌詫音さんって怖い』
『別に脅しているわけじゃないけど』
『ピリピリしてる』
『ストレスを与えようともしてない』
『でも、怖いの!』
そんな我儘を言われて、無理に二人組を交代させられた体育の授業もあった。
私は、なるべく面倒事にならないように意識はしているけれど、どうにも態度が良くないみたいでいつも失敗していた。
グループに所属していない、いつも一人でいる私を警戒しているというところも強いのかもしれない。それでも、恐れられているような気はしていた。もしかしたら悪い噂でも流されているのかもしれない。
繰り返し、二人組を作る行程がある度に、似たような事件が発生した。
それが続いていくなか、私は思った。
……対人関係は実に面倒である、と。




