第2話 友人達
エドヴァルドは襲撃の準備をする為に、ソラの知人の鍛冶屋の所へ行った。
「ピエール。武器をくれ。ありったけ」
「ピエール。ありったけの武器を寄越しなさい」
「え?」「ん?」
同じ事を要求した男女は顔を見合わせた。
「あ、ノエムさん」
「あらエドヴァルド君。お久しぶり。武器なんてどうするんです?」
「そっちこそ」
「コニー様の屋敷に乗り込むんです」
ノエムは何度も門前払いされたので業を煮やして突撃するつもりだった。
「コンスタンツィアさんは自宅にいませんよ」
「えっ、そうなんですか?じゃ、何処に?」
エドヴァルドはこれまで調べ上げた事をノエムに伝えた。
「結婚!?」
「親しい友人の貴女も招待されてないんですね」
「・・・いつかはそんな日が来るとは思っていましたが。で、そちらは武器をどうするつもりですか」
「婚約者とやらをぶち殺してやろうかと」
「本気です?本気みたいですね」
ノエムと話しているうちに少しだけ冷静にはなったが目的は変わらない。
「まあ、止めといてください。ヴァニーちゃんが帝都から退去させられたのは結婚の邪魔をされるからでしょうね。となるとソフィーさんに相談しましょう」
「頼りになるんですか?」
コンスタンツィアの深刻な状況から察するに女性の友人達を巻き込んでしまうのは避けたかった。
「わたしは帝都でのただのご友人でしたが、ソフィーさんの家は方伯の直臣で、ご友人ですからわたしとは扱いが違います。それに愛の女神の使徒ですよ。不本意な結婚をさせられると知れば協力してくれるはずです」
エドヴァルドはまだ手は尽くせるのならと襲撃は延期して二人でソフィーの所へ行った。
「済みません。ソフィーさん。子育て中にお邪魔しちゃって」
「平気平気。で、何の用かしら~?」
ヴァネッサと違って最近ソフィーは出産もあり、両親の理解もあり帝都在住のままだった。二人はコンスタンツィアの事をソフィーに相談した。
「へえ、私がしばらく子育てに集中してる間にそんなことがねぇ。わかったわ何とかしてあげる」
「どうにかなるんですか?」
「とりあえず平和的にね。お祝いしたいから自分も呼んで貰ってってお母様に頼んでみるわ」
ヴォーデモン家の夫婦は奔放でお互い不倫を繰り返し方伯家臣下の家中でも厄介ものだが、裕福な有力者でもある。さらに不倫相手の弱みを多数握っているのでその線で情報を得た。
「残念ながら我が家は招待されなかったけど、日時は掴んだわ」
「いつです?」
「二月十四日。予定より早まったみたい」
場所はナクレス・ネッツイン。
ヴェーナ市の中心部にある巨大な総合商業施設の最上階。
「でもうちは招待されないし、招待客がなんか変なのよね・・・」




