挿話 ヴィヴェット・コールガーデン
「ふうん、まさかあの方が自殺するような女だったとはね」
「よく知っていた奴なのか?」
「多少ね。生きていればかなり影響力のある方だったのに残念です」
ヴィヴェットは彼女の死を惜しんだが、死んでしまったものはどうしようもない。
「とりあえずこれで裏切者は抹殺出来たな」
「そうですねえ・・・しかし参りましたね。こんなに被害が拡大するなんて」
「次はどうする?」
「クロウリー協会はラキシタ家の悪評を流して欲しいんでしたっけ。私達とも利害は一致しますし、そちらで行きますか」
「前政権の悪評を流したかと思えば今度は新政権か?そんなんで民衆が支持するかね」
「事実しか書いてませんって」
彼らは自滅していっているだけだとヴィヴェットは思う。
「ラッソ、旧領はどんな感じですか?」
「ロヘーリオの所にストラマーナ、エイラマンサ、イルエーナの軍が集まってる。せいぜいニ万、実戦経験も無いし若年層の将軍ばかりで正規軍と戦えるとは思えないけどな」
自分も軍を率いた事は無いし、人任せだからあてにしない方がいいぞ、とラッソは忠告した。
「嫌ですねえ、人を陰謀家みたいに」
「違うのか?」
「私は身の程を知っていますよ。彼らが決起したいならそれに相応しいと思われる時機の情報を伝えるだけです」




