14時間目 新たなシーズンと新しい挑戦
今回は主人公たちの2年生からの新設定公開の回です
2037年4月6日
ー--まもなく、1番線に、特急しろつめくさ4号 こもれび高校行きが到着致します。白線の内側でお待ち下さい
「ふあぁぁぁ…」
「かなり眠そうだね」
「昨日石川と遅くまで電話してたから…」
「そんなに夜更かしして私と一緒に登校するの大変じゃない?」
「大変だよ…。でも頑張らないと…」
「全く…今日から2年生になるんだからしっかりしなさいよ…ふあぁぁぁ…」
「早織、あくびしながら言っても説得力無いよ」
そう。今日から俺たちは2年生だ
入学式は明日だが、こんな腑抜けた姿なんて見せたら下級生に示しがつかない
これからは気をつけないとな…
ー--はるかぜニュータウン、はるかぜニュータウンです。1番線は、特急しろつめくさ4号 こもれび高校行きです。次は、こもれび高校に停まります
「ん?次がこもれび高校?」
「3月のダイヤ改正で、朝の時間帯のしろつめくさ号の速達性向上のためにそうなったんだよ」
「なるほど…」
俺たちは列車に乗り込んだ
4月から、平日朝と夕方のしろつめくさ号は1号車と2号車がこもれび高校の生徒と職員専用車両となり、生徒たちはその範囲で自由に座れるようになった
そして、この時間帯だけ1号車のトイレは女子用、2号車のトイレは男子用になっている
明確に分けることで、男女が集中して混雑するのを防ぐ目的らしい
「あれ?みゆきは?」
「トイレ行ったぞ」
「まあ来たらどけばいっか」
俺たちはいつも1号車の一番後ろの席に座る
そして、進行方向左の窓側にみゆき、通路側に俺が座っている
そう座ってるのは、みゆきが窓側の席が好きだからだ
それに、元々はあくまでもこもれび高校の生徒と職員優先車両だったため、一般の人も乗っていた
だから知らない男と接触することが無いように俺が通路側に座っているのだ
まあ…今更変える理由も無いので今日も同じように座っているのだ
15分して、みゆきが席の方に来た
どうやら何人かトイレ待ちをしていたらしく、入るまでに時間がかかっていたらしい
以前だと1回並ぶと下手したらこもれび高校到着まで並び続けていたので、まだマシになったと言える
「学生証を拝見致します」
「え?特急定期券じゃないんですか?」
「今年の4月からは、こもれび高校の生徒さんは登下校時間帯に限り学生証のみでご乗車いただけるようになっております」
そういえば修了式の日にそんなこと言ってたっけ…
「それにお客様、仮にそのように切り替えが行われていなかったとしても、お客様の特急定期は有効期限が切れているようですが…」
「あ…」
車内からくすくすと笑う声が聞こえてきた
まさかこんなミスをするとは思わなかった
俺は恥ずかしさを堪えつつ学生証を見せた
「はい、ありがとうございます。それではお隣の方もよろしいですか?」
「あ、はい」
車掌さんはみゆきの学生証を確認すると、前の方に行った
俺は座席を立ち、荷物を自分が座っていたところに置いた
「どうしたの?」
「トイレ」
「行ってらっしゃい」
俺は2号車のトイレに行った
ただ、トイレはめっちゃ混んでいて戻るまでにかなりかかってしまった
ー--まもなく、終点こもれび高校です。こもれび線、桜木線、つむぎの線、JR線は…
「もう着くのか…。前より速くなったな…」
「まあでも、それでも40分かかってるけどな」
「でも前は1時間だからな…」
「たぶんスーパーしろつめくさが出ればさらに速くなるはずだぜ」
「は?」
石川の話によると、速達化計画の一環として製造されたしろつめくさ号の新型車両が、7月から車両お披露目のためにスーパーしろつめくさ号として出てくるらしい
スーパーしろつめくさ号は、はるかぜ高校とこもれび高校の間を最速30分で結ぶことになるようだ
そして、12月には全てのしろつめくさ号が新型車両に置き換えられるようだ
どうやらはるかぜニュータウンからこもれび高校の間のしろつめくさ号の停車駅がなくなったのはこの速達化計画の一環のようだ
「速達化の話は聞いてたけどハンパないな…」
「飛行機とのスピードバトルが激しくなってるから仕方ないだろうけどな」
「でもばか遠いってわけでもないのに速達化の意味ってあるんか?」
「技術力の誇示とかじゃね?」
「まあ…快適に安全に乗れるなら別にいいけど」
駅に着き、俺たちは列車を降りた
ホームから上がると、こもれび高校の関係者用改札が使えなくなっていた
どうやら数日前の地震で通路にヒビが見つかり、通行止めになってしまっているようだ
俺たちは中央改札から出て正門の方へ向かった
「あたし、今日委員会だから先に行くわよ」
牧野は先に行ってしまった
「せっかちだなぁ…。まだ時間余裕あると思うけど…」
「だな…ってみゆき、お前改札の中で何してんのさ」
「それが…パスケースが無くて…」
「列車に忘れてきたんじゃね?」
「ちょっと見てくるね」
「ああ」
「じゃあ俺は先行ってクラス見とくわ」
「ああ」
俺は改札の前でスマホを見ながらみゆきを待ち、二人で学校に向かった
昇降口の前には人だかりができていた
すでにクラスが発表されていたようだ
「えーっと…今年も1組…ってみゆきと石川も1組か」
「牧野は2組…。牧野だけ違うクラスか…」
「あんたたち、クラス書いてるとこよく見なさいよ…」
牧野に言われて俺たちはもう一度見てみた
よく見ると、1組の下には「理系特進」、2組の下には「文系特進」と書いてあった
「あー、文系と理系で分かれてるのか」
「佐藤は文系じゃなかったのか?」
「まあ…絵の道で考えるなら確かに文系なんだけどな」
実は俺が理系にしたのには理由がある
初めに文系を選んでしまうと、理系へ切り替えるのは科目の関係でかなり大変だ
画家と確定しているなら文系を選んでしまえばいい
ただ正直、俺は本当に画家になるかを迷っていた
稼ぎについては心配しなくてもいい
ただ、今後結婚した時に海外に行ったりとかで家族を近くで支えられないかもしれない
正直それは本意ではない
だからその辺りをどうするかを考えた上で進路を吟味したいので理系にしたのだ
「でもみゆきも理系なんだ…。てっきり音楽関係の道に進むと思ってたんだけど…」
「確かに。まあでもあいつはどっちも行けるだけの学力あったけどな」
「あー、それなんだけどな。先月末に大将のスイーツショップに一緒に行った時に…」
2037年3月26日
「オーナー、毎度毎度腕上げてんな…」
「うん…。さすがにプロは違うよね」
「みゆきもパティシエールとか目指してるの?」
「ううん、私は医学部に進むつもり」
「医学部?医者になりたいってこと?」
「うん…。合わないかな…」
「いや、いいと思うよ。頑張って」
「ありがとう」
(現在に戻る)
「医者か…。だと確かに完全に理系進路だな」
「ちょっと意外だったかも」
「確かに」
「とりあえず教室行くか…ってみゆきいないし…」
俺と石川は2年1組の教室に行った
しかし、教室には誰もいないどころか誰の荷物も無かった
「みゆき、どこ行ったんだ?」
「さあ…」
そう。先に行ったみゆきの姿も荷物も無いのだ
あれだけ凄い勢いで先に来てるのだから先に着いてないとおかしい
一体どこに行ったのだろうか
俺はみゆきにメッセージを送ってみた
するとわりとすぐに返事が返ってきた
「あー…」
「どうした?」
「みゆき、トイレだって」
俺はみゆきに新しいクラスを伝えて自分の席に座った
それから15分後、みゆきが教室に来た
「大丈夫?」
「うん…ギリギリ…」
「我慢せずちゃんとトイレ行けよ…」
数分すると、教室に生徒たちが集まってきた
「よう。今年も同じクラスだな」
「またお前らかよ…」
「おいおい、随分なご挨拶だな」
「お前ら、俺がみゆきと喋ってるだけで突っかかってくるじゃねえかよ…」
「当たり前だよな」
「相変わらずあなたたちはみゆきちゃんのこと狙ってるんだね」
「ん?上山と飯島も同じクラスなのか」
「私、薬剤師になることにしたの」
「私は医者に…。幼稚園生の時に重い病気にかかったんだけど、その時に私を助けてくれた先生たちと約束したの」
「なるほど」
「でもまさかそれが佐藤君のお父さんとみゆきちゃんのお父さんだとは思わなかったけどね」
「マジか…」
俺たちは予鈴が鳴るまで話し続けた
そして、本鈴が鳴ると担任の先生が入ってきた
どうやら今年も小林先生が担任のようだ
小林先生はいくつかの事務連絡をすると、俺と立花、田中、加藤の4人に始業式後に進路指導室に来るように言ってきた
そして、そのまま体育館に移動して始業式が行われた
相変わらず校長の話は長かったが、3学期の時みたいに体調不良者は現れなかった
始業式終了後、俺たちは進路指導室に行った
そこには教科書がたくさん置いてあった
「1組の教科書は全部そこにまとめてあるわよ」
俺たちは進路指導室と教室を往復し、教科書を運んだ
そして、物理と生物以外の教科書を全員に配った
「そしたら1番の石井君から教科書取りに来て…」
「先生、なんで石井君が1番なんですか?愛野さんや飯島さんの方が先じゃないんですか?」
教室の中が一気にざわつきだした
立花が言ったことは俺も思ったことだ
クラス分けのボードでも、石川の出席番号が2番なのに対してみゆきの出席番号が16番だったのだ
名前順であれば明らかにみゆきが一番早いはずだ
「静かに。出席番号ですが、試験の関係で1番から15番は物理を選択した人で、16番から35番は生物を選択した人というふうに分かれています」
なるほど、そういうことか
確かに物理選択の人と生物選択の人が混在しているクラスで完全に名前順にするとテストの配布の時が厄介だし、回収もかなり大変だ
そういった意味ではかなり理にかなったやり方ではある
「あ、そうだ。えーっと…愛野さん、飯島さん、大村君、上山さん、小林さん、近藤君、瀬川君の7名は後で進路指導室に来て下さい。では教科書を全て貰った人から解散とします」
小林先生は教科書を配りながらそう言った
それにしてもみゆきや飯島が進路指導室に呼ばれるなんて珍しいな
あの二人は1年の時も相当真面目だったから進路指導室に呼び出されるようなことは普通無いと思う
俺は受け取った教科書を確認しながら理由を考えてみたが、二人が呼び出しに遭う理由は全く思い浮かばなかった
------Miyuki's View------
〜昼休み〜
私たちは、小林先生の呼び出しの下、進路指導室に来た
「進路指導室に呼ばれることなんて何かしたっけか?」
「そうだよね…。近藤君、1年の時は凄く真面目だったもんね…」
「みゆきちゃんは何か思い当たる節、ある?」
「全く…」
「全く…あなたたちは進路指導室を何だと思ってるのよ…。確かに不良生徒の指導の場所として使うこともたびたびあるけど本来は進路に関しての話をする部屋なのよ」
私たちが話していると、小林先生が入ってきた
「あなたたちを呼び出したのは、進路に関してのお話です。えっと確か7人とも2月に出してもらった進路希望調査で、医療系の進路を記載していましたね?」
「は、はい…」
「はい…」
「はい。もしかして何か問題でもありました?」
「こちらを皆さんにはお渡しします」
小林先生が渡してきたのは時間割表だった
ただ、さっき教室に貼ってあったのとは少し違った
「土曜日なんですが、通常は4時間目までですが、皆さんは7時間目まで授業があります。ですので土曜日もお昼の準備をしておいて下さい。そして、これが皆さん専用の教科書です」
小林先生は私たちに3冊の教科書を渡してきた
「今皆さんに渡したのは、医療系の進路に進みたいという生徒のためのオリジナルの教科書です。土曜日はこれを必ず持って来て下さい」
「つまり、医療系の進路に進む人用の授業を土曜日にやるということですか?」
「そういうことです。医療系の進路の場合、数学や理科の問題の中に特殊な問題が含まれていますので、そこに重点を置いた対策をしなければいけません。まあ…愛野君はその授業でも先生泣かせたって言ってたけどね…」
「え?」
小林先生は昔話をしてくれた
話によると、小林先生は私のお父さんの同期だったらしい
1年生の時から理解力が飛び抜けて高く、テストにおいても毎回非の打ち所がない答案を作り、さらには解説させると先生よりも詳しく、分かりやすい解説をすることから「教師泣かせの愛野」という異名までついたらしい
以前お母さんから聞いた時は適当なこと言ってるのかと思っていたけど本当だったんだ…
「でも彼は彼、愛野さんは愛野さんだから気にしなくて大丈夫よ」
「はあ…」
「…っと、話が逸れちゃったわね。次に評価についてですが、こちらも他の科目と同様に評価しますが、他の科目みたいに1を取ったら進級できないとかそういうのはありませんので安心して下さい。でも1を取るようだったら正直なところ医療系の進路は厳しいかな…。あと、出席日数のカウントについても全く影響ありませんので、体調が悪かったり用事があったりする場合は無理せず休んで下さい。説明は以上ですけど何か質問はありますか?」
聞いた限りでは特に聞きたいことはとりあえずは無かった
どうやらそれはみんなも同じだったみたいで、私たちはそのまま解放された
私は荷物を取りにそのまま教室に戻った
------Koji's View------
「おかえり。なんで呼び出されてたの?」
「進路希望調査で医療系の進路を選んでたから専用の授業についてのお話だった」
「なるほど…」
「あ、佐藤君、ちょっと…」
みゆきは俺に耳打ちしてきた
土曜日授業がある日は7時間目まであるから一緒に帰れないということだった
まあでも、俺も部活があるからそのくらいの時間までは余裕で学校にいるんだけどな
俺は黙っていることにした
そして、そのままみゆきと一緒に下校した
私、ガチで千葉大学医学部目指してたことがあったので医学部の数学とか見たことあるんですけど、普通の数学と比べて難しい問題がずらずらと…。ただやり方ちゃんと分かってれば簡単と、見事な良問ってやつですね。
まあセンター試験で大コケしたから結局受けてないんですけどね…。センター試験の魔物「PAT様」が数IAに降臨とかいうとんでもな事件が起きて、あれは本当に泣けました。で、結局東京理科大学に進学しました。まあそれもその事件の翌年の受験での話ですけど…。てか金あるなら今からでももう一度千葉大学医学部リベンジしたい。なんか悔しいもん。
まあそんな話はさておき、今回から2年生が始まります。本当は入学式も書こうか迷ったんですけど、このまま入学式まで書いたらばか長くなりそうだったのでやめました。
あと、今回セリフ多めで書いてみましたけどどうでしたか?
まあ…もしかしたらすっ飛ばしてきた人もいるかもですが…。
2年生は修学旅行もあるので何人か新キャラ出ますのでよろしくお願いします。
そして、幸二君とみゆきちゃんの恋も応援してやって下さい。




