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あまいろパステル 〜紡がれる恋の1ページ〜  作者: 神御田
1年生

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18/32

13時間目 桜の木と散りゆく恋

2037年3月13日

〜昼休み〜

今日はホワイトデーだ

本当は明日なのだが、明日は3年生の卒業式があるのでそれどころではない

そのため1日前倒ししようと男子と女子との間で協定が結ばれた

だからか、今日は女子たちがそわそわしていた

バレンタインとは全く逆の光景だ

俺は今年、思いの外チョコを貰えたため、その分お返しも数が多くなってしまった

そのせいで今月は見事に金欠になってしまった


「佐藤、お前かなりたくさん持って来たな…」

「貰った数多かったからな…」

「あー、お前他のクラスの女子からも貰ってたもんな」

「なんでお前はそんな女子からモテるんだよ…」

「羨ましいぜ…。でもどうやってお返し渡すんだ?」

「みゆきに頼んで他のクラスの女子たちに手紙渡してもらった。あいつの方から『直接渡したり下駄箱に入れたりすると騒ぎになるだろうから私が手紙渡してきてあげる』って言ってきたから」

「あー、確かに女子同士でのやり取りなら騒ぎにはなりづらいな」

「じゃあこの昼休みは女子たちが押しかけてくるん?」

「いや、さすがに時間ずらして指定してある」


そんな話をしていたら、数人の女子たちが俺のところに来た

俺は紙袋から箱を取り出し、その子たちに渡した


「お前、わりと淡々としてるな…」

「朝からずっと渡してるから疲れたんだよ…」

「そんな理由で疲れてるとか羨ましいぜ…」

「じゃあお前がやれよ…」

「佐藤、次来たぜ」


俺は昼休みの間、お返しを渡し続ける羽目になった


〜放課後〜

「はぁ…」

「お疲れ様」

「ありがとう…。今日は悪かったな」

「ううん、あのくらいだったらいつでもいいよ」

「さて、帰るか…。一緒に帰る?」

「ごめん。今日は明日の準備で園芸部全員出席しないといけないから…」

「じゃあ待ってるよ」

「かなり遅くなると思うけど大丈夫?」

「別にいいよ。美術室にいるから終わったら声かけて」

「うん、分かった」


俺はみゆきと別れ、美術室に行った

そして、いつものようにキャンバスに向き合った

今描いてる絵は、今度の絵画コンクールで出そうと思っている絵だ

次のコンクールで入賞すれば、絵画の世界で食っていけるとも言われている

しかし、俺は迷っていた

画家になるのは中学生の頃からの夢だった

ただ、もし今後俺がみゆきと結婚ってなった時、画家やってて支えられるのだろうか

画家になれば海外に行くことが増える

それに対してみゆきは日本で医者としてやっていくつもりみたいだ

つまり、海外に行くことになれば、俺はそばにいてやることはできない


「絵に迷いを感じるわね」

「あ、中村先生…」


彼女は「中村 由紀子」。うちの学校の美術の先生だ

昔は画商として働いていたということもあるため、絵を一目見ただけで込められている想いが分かるらしい

俺は中村先生に今の気持ちを打ち明けた

すると、中村先生は大きなため息をついた


「佐藤君、あなたにとって絵は何?」

「え?」

「あなたが愛野さんのことを好きだと思ってるのは分かったわ。じゃああなたにとって絵は何?」

「………」

「厳しいことを言わせてもらうと、今のそんな中途半端な状態じゃ次のコンクールは入賞できないわよ」


中村先生の言っていることは最もだ

次のコンクールの審査員たちはプロだ

だから俺がどんな気持ちで書いたかなんてすぐにバレてしまうだろう

それにこんな状況で絵を描いてもいい絵は描けない

俺は絵筆を置き、片付けをして美術室をあとにした

1階に降りて伝説の桜の木の方を見ると、みゆきが木のところにしゃがんでいた


「何してるの?」

「あ、佐藤君…。実はこの桜の木、園芸部がお世話してるの」

「そうだったんだ…。ただみゆき、制服のまま作業しない方がいいと思うよ」

「え?」

「その…パンツ見えてる…」

「あ…」


みゆきは慌てて俺に背を向けた


「体育着持って来ようか?」

「じゃあお願い」


俺はみゆきからロッカーの鍵を受け取り、教室に戻った

そして、みゆきのロッカーから体育着の入った鞄を取り出して再び戻ってきた

鞄をみゆきに渡すと、みゆきはスカートの中にスパッツを穿いて作業を再開した


「てかこの木、みゆきだけでやってるの?」

「朝倉部長と花咲副部長が一緒にいたんだけど、用事があるみたいで帰っちゃったから今は私一人。でももうすぐ終わるから大丈夫だよ」

「そっか。じゃあ見ててもいい?」

「いいよ」


俺はみゆきが作業している様子を眺めながら待った

作業はそれから5分程度で終了した

どうやら本当に最後の作業だけだったようだ

ただ、みゆきはかなり汚れてしまっていた


「かなり汚れたな…」

「本当はこんなに一人でやる予定じゃなかったからって制服でやったのが間違いだったなぁ…。それにこのままだと電車乗れないからシャワー浴びてきていい?」

「ああ。そしたら制服預けてくれればシャワー浴びてる間にできるだけ汚れ落としとくよ」

「女子のシャワー室に来る気?」

「制服脱いで一旦体育着着て出てくればいいだろが…」


俺はみゆきと一緒にシャワー室まで来た

そしてみゆきはシャワーを浴びる前に自分の制服を俺に預けてきた

俺はみゆきの制服を持って男子シャワー室に入った

そしてみゆきの制服を綺麗にしていると、田中がシャワー室に入ってきた


「ん?佐藤、女子の制服…しかもそんな汚れた制服なんて持って何してんだ?」

「ん?ああ。シャワー浴び終えるまでにできるだけ綺麗にしてやろうと思って…」

「女子のシャワー室に忍び込んだのか?」

「本人から預かったんだよ!そんなハイリスクなことするわけねえだろ」

「ふーん。にしてもめっちゃ汚いな…」

「ブレザーもだったら面倒だったよ…。まずはブラウスからやるか…」


俺は手持ちのタオルを濡らしてしっかり絞り、ブラウスに付いた汚れを落とし始めた


「ところでそれ、誰の制服?」

「これ?みゆきのだけど…」

「愛野さんの制服…だと!?」

「やる?」

「いいのか?」

「変なことさえしなければ。その間に俺はスカートやるから」

「いや、やめとく。その様子見てたらくそめんどそうに見えたから」

「お前なぁ…」


俺はひたすら無心で汚れを落とし続けた

そして、20分かかってやっと落とし切った


「お疲れさん」

「ああ…。マジで疲れたよ…」

「てか洗濯すれば良かったんじゃね?」

「乾かねえだろ」

「家庭科部にアイロン借りればいいだろ」

「その手があったか…。まあ今更後の祭りだ」


俺はブラウスを綺麗に畳み、スカートの汚れ落としに取り掛かった


「お前、クリーニング屋でも目指してるのか?」

「んなあほな…。確かに進路迷ってはいるけどさ…」


スカートの汚れは固まっていたので意外と簡単に剥がれ落ちてくれた

しかし、ところどころにちょっとしたシミができていた

俺は濡れタオルでシミを綺麗に落とした


「お疲れさん。スカートは早かったな」

「幸いな。じゃあ俺はこれをみゆきに返さないといけないから」

「ああ、じゃあな」


俺はシャワー室を出た

そして、女子シャワー室のドアをノックしようとしたところで牧野が通りかかった


「あんた何してんの?」

「みゆきから預かってた制服返そうと思って…」

「どうやって?」

「とりあえずノックして呼ぶしかないかなと思ってたんだけど、ちょうどいいからこれみゆきに返してきて」

「仕方ないわね…」


牧野は俺からみゆきの制服を受け取ると、シャワー室の中へ入って行った

そしてすぐに戻ってきた


「今ちょうど出てきたからそんなにしないで出てくると思うわ」

「ああ。せっかくだから牧野も一緒に帰るか?」

「まあ…たまにはいいわね」


俺たちは昇降口でみゆきを待った

みゆきは15分くらいで合流してきた

俺たちは一緒に帰宅した


2037年3月14日

卒業式の後、俺はみゆきと一緒に教室に戻ろうとしていた

昇降口を通過しようとした時、伝説の桜の木の下に誰かがいるのに気付いた


「あれは…2年の倉田先輩と3年の相沢先輩?」

「どうしたの?」

「ほら、あれ」


俺たちは二人に見えないように近づいた

そして、たまたま通りかかったように振る舞いながら二人を見守った


「相沢先輩、1年の頃からずっと好きでした!私と付き合って下さい!」

「ごめん…。君とは付き合えない…」


俺たちは現場を離れた


「フラれちゃったみたいだね…」

「倉田先輩、結構魅力的なんだけどな…」

「気になるの?」

「いいや」

「ふーん」


俺がちらっと横を見ると、なぜか分からないがみゆきはどこかホッとしてるように見えた

もしかして、相沢先輩が気になってたのだろうか

俺たちは一旦教室に戻った

その後、教室の前の廊下から伝説の桜の木の下で先輩たちが告白するのを見届けた


「………」

「ん?佐藤、中庭の木なんて見て何してんだ?」

「ん?立花か…。卒業式の日にあの木の下で誕生したカップルは永遠に幸せになれる…だっけ?」

「『卒業式の日に女の子からの告白で生まれ、桜の祝福を受けた恋人たちは永遠に幸せな関係になれる』だよ」

「佐藤、だいぶ省いたな…。でもなんで愛野さんはそれを知ってるの?」

「私のお父さんとお母さん、あの桜の木の下で祝福を受けたカップルだから…」

「愛野さんの両親もこもれび高校出身なんだ…。俺も卒業式の日に女子から告白されないかなぁ…」

「まあそのためには自分磨き頑張らないとな」

「そうだな」


その後も俺たちは伝説の桜の木で告白される先輩たちを見届けた

しかし、結局カップルが誕生することは無かった

俺たちは卒業生たちの最後の見送りをし、帰宅した

今回ついに桜の木の伝説の内容が明らかになりましたね。もう出したかなと思ってたんですけど、意外に出してなかったみたいなんですよね…。自分でもなんで出してなかったのか正直不思議でした。

皆さんは先輩の卒業式に何か思い出ありますか?

私はなんやかんやで無いんですよね…。いかんせん部活ろくにやってないので先輩との付き合いが無いので…。

大学は付き合いはありましたけど卒業式は卒業生と保護者のみだったのでどうもこうも無かったんですよね…

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