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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第3章

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95.変身


リン視点



俺の憧れの人、第3師団長、ロード・ディーク・ロヴィンゴッドウェル様に声をかけてもらえた。

ルマンド王国最強の四天王と言われる4人の師団長の内の1人で、その中でも“力”に特化したあのロード様に!!


俺は人生で一番といって良いほど興奮していた。

ルマンド王国の騎士になれるかもしれないと思ったさっきよりも。

こんなに嬉しい事が続いて大丈夫だろうかと心配になる程幸せだ。

ロード様はあの時(・・・)と変わらず気さくで、大きくて、格好良くて、せっかく声をかけてもらったのに、緊張して上手く話せなかった。


後で話があると言われた時は、俺は何か粗相でもしてしまっただろうかとさすがに顔が強張ったが、訓練所の入り口にトモコとミヤビを見つけて、性奴隷の件かと納得した。

他国の事だけどロード様は気にしてくれているんだと、改めてロード様の優しさにじんとした。


けど、ロード様とトモコ達は一体どういった関係なんだろうか? トモコがルマンド王国の貴族なら、ロード様と知り合いでもおかしくはないかと考えていると、入り口に向かって行ったロード様は、ミヤビ(・・・)を抱き上げて去っていったのだ。


ミヤビはトモコの侍女だよな??


「━━…あれが噂の女神様か」


と部隊長がボソリと呟いた。


「え!? あれが師団長の噂のつがい様ですか!?」


スイさんが太い尻尾をさらに太くしてビンッと伸ばす。


「みたいだな。俺も初めて見たが」

「確か人族の女神様か精霊様という噂でしたよね」


部隊長に先輩騎士が口にした言葉にさらに驚愕した。

ミヤビが人族の女神様!? 精霊!? トモコの侍女じゃなくて!?


「らしいが……もしかしたら人族の女神様はあの白髪の女性で、師団長のつがいはその御遣い様かもしれんな」

「てことは、精霊ですか?」


ああ、トモコが人族の女神様でミヤビが御遣い様か。それならまぁ……

いや、俺は神様にあんな態度をとっちまったのか!? 大変だっ しかもミヤビはロード第3師団長のつがい……なんて事だ!! 謝らないとっ


「しっかしウチの師団長はすげぇな!! つがいが御遣い様で、知り合いが神様だもんなぁ」

「師団長の足元にチラッと見えたんですけど、世界を救ってくださった神獣様のお姿もありましたよ」

「嘘だろ!? もう夢の中の世界だな!!」


スイさんの話に興奮している部隊長に、先輩騎士もスイさんも激しく頷いている。

勿論俺だって大興奮だ。

憧れてやまないロード様に声をかけてもらえた事。これもトモコ…様やミヤビ…様に会ってなけりゃ叶わなかった事だしな。


フォルプロームから一瞬でルマンド王国に来たり、魔獣が喋ったり、あんな美味い料理出したりと、今思えば不思議な事ばかりだったのも女神様や精霊様だったからなんだなと納得しながらふと思う。


精霊様って容姿端麗の方が多いって話だけど、ミヤビ…様みたいに平凡な容姿の精霊様もいるんだな。



◇◇◇



入団手続きを終えて、明日から俺はルマンド王国の騎士なんだ。と幸せを噛みしめていれば、スイさんにロード師団長様の執務室に案内すると言われ気を引き締めた。


「ロード師団長にそう頻繁に会えると思うなよ。部隊長だって滅多に会えない天上の方なんだからな」

「はい。分かっています」


チクリと刺された言葉に尻尾が垂れてしまう。

意地悪で言ったんじゃないってわかってるけど、身分差を突きつけられた気がして…。


「あー……今のはそういうんじゃなくて、新人で師団長に目をかけて貰えてると勘違いして図に乗ったりとか、後は、嫉妬で先輩や同僚にいじめにあうとか、そういうのに気を付けろよって意味でな……」


スイさんは俺の尻尾を見て慌ててフォローしてくれた。


「はい。ありがとうございます! ロード師団長様が俺に声をかけてくれたのは、ちょっと故郷の事で話さないといけない事があったからですし、図に乗ったりとかそんな事はありませんので大丈夫ですっ」

「そ、そっか」


ちょっと言葉がキツイだけで、実は優しいスイさんに、先輩に恵まれたなぁと思いながらロード様の執務室に向かったのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ミヤビ視点



名前: ロード・ディーク・ロヴィンゴッドウェル

年齢: 41

種族: 半鬼神

LV: 100(MAX)

HP: 100(MAX)

MP(GP):80

装備: 神王の創った綿の服(効果: 防御力∞)

神王の創ったブーツ(効果: 脚力向上∞)

双剣(攻撃力45) ▽


スキル: 気配察知

騎竜

空間魔法(アイテムボックスレベル5)

悪鬼の睨み

鬼才料理

念話

悪鬼の筋力

怒りの雷撃

ミヤビラブ

etc.


称号: 神王のつがい

鬼才の料理人

主夫

暗黒騎士

etc.


いや、どこからツッコんでいいのかワカリマセン。

トモコと同じ、ツッコミどころが満載すぎる。

私の周りにはこんな奴らしかいないのか。

もうコイツら神王越えてるんじゃないのか?


『ミヤビ様、ステータスを教えていただけますか?』


ヴェリウスの声にハッとして、ロードのステータスをその辺にあった紙に転写してまずはロードに渡す。

本人が見せるかどうか判断しないとね。


「いいなぁ~。みーちゃん、私のステータスも見せて!」


トモコよ……あれは見ない方がいいと思う。

本人が希望するので仕方なく、紙に転写して渡せば、期待に満ちた目で私を見るヴェリーちゃんの可愛さに負けた。




名前: ヴェリウス

年齢: 不詳

種族: 神獣

LV: 100(MAX)

HP: 100(MAX)

MP(GP):100(MAX)

装備: 神王の創った首輪(効果: 防御力∞)


スキル: 気配察知

空間魔法(神力)

氷魔法(神力)

冷気

バックキック

博識

etc.


称号: 神王のペット

神王の守護者

氷の雌神

常識犬

救世主

創世の第2神

etc.


ヴェリウス…一番まともだ。さすが常識犬。

基本神はHP、MPはMAXなんだな。トモコもそうだったし。

というか、この数値は平均値っていくらなんだろうか。人間は騎士でも50以下だったよね…。

とはいえ平均値がとれるほどまともな人間のステータスを見てはないけれど。


2人と1匹はそれぞれ転写されたステータスをみているが、何だか不満気だ。


「悪鬼って何だコラァ」

「どう考えても自由奔放とか暴走とかスキルじゃないよね!? 悪口だよね!?」

「私は犬ではありません。狼です」


そんな事いわれても私が考えたステータスじゃないよ?


「ん? このアイテムボックスやら念話なんて使った事ねぇな。俺にも使えんのか?」

「え!? いいなぁ~っ ロードさん人族なのにアイテムボックス使えるの!? ズルイ!!」

「どれ、2人のステータスを見せてみろ。……ふむ、私の空間魔法(神力)と気配察知はロードと同じか。つまり私にもアイテムボックスとやらが使えると?」

「ヴェリーさんの空間魔法に(アイテムボックス)ってないから、他にも空間魔法が使えるって事じゃないかなぁ」


等とステータス話で盛り上がっているんだが、ふと思った。

私のステータスってどうなんだろうか?

いやいや、この流れで見てはいけない気がする。

何だかおかしなスキルとかありそうな気がする。

見たら最後、見るんじゃなかったと異様に後悔する気がする!!


「なぁミヤビ、この▽って記号は何なんだ?」

「あ、本当だぁ▽がある。これ他にも装備があるって事じゃないかなぁ」

「あ゛? これ以上は何ももってねぇぞ?」


確かに▽の記号がある。

トモコの言うように他にも装備があるのかと、ロードのステータスを見ながら▽の記号に触れてみた。すると…


双剣(攻撃力45) ▽

暗黒装備

装備します ・しません


スキル: 気配察知


訳のわからない文言が出てきやがった。


「あの~、▽押してみたら、暗黒装備、装備します・しません って出てきたんだけど…」

「あ゛ぁ゛?」

「するする!! 装備するを選んでみて!!」


困惑して鬼神の表情になっているロードに比べ、トモコは軽い調子で答えた。



「……じゃあ“装備します”を選ぶね」



“装備します”を選んだ瞬間、ロードがゴゥッという音と共に真っ黒い竜巻に包まれ、バリバリッという雷のような、デカイ静電気のような光が散って、黒い竜巻は消え、雷もバチバチと小さくなり……


暗黒騎士が現れたのだ。


「「え?」」

『成る程、確かに暗黒装備を装備していますね』




ロードが変身しちゃったァァァァァ!!!?

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