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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第3章

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93.半神化


「ん……っ」


チュッチュ…と響く音に、啄まれる唇の感触、互いの吐息に頭が呆っとして、なのに心臓が破裂する勢いで鳴っている。

まるで耳元に自分の心臓があるようだ。


身体が蕩けていくような、そんな感覚までしてくるなんて、何かの病気なのだろうか。


「……ミヤビ、好きだ」


吐息と共に耳元で囁かれる甘い言葉と、耳元へのキスにビクリと身体が震えて異様に恥ずかしくなる。

なのにロードはお構い無しに額に、目元に、頬にとキスを落として、唇を奪うのだ。




いつの間にかソファに押し倒されて、首筋にロードの唇があたっていたからさぁ大変!!


何か首に吸い付かれてる!? 不味い。不味いぞ!!


めっちゃくすぐったい!!!!


どうしよう……今口を開くと絶対笑ってしまう。しかもゲラゲラと。


「ふぁ……っ!?」


鎖骨!! 鎖骨は止めてくれ!! 死ぬっ くすぐったさで死ぬ!! 首元に髪があたってウヒャヒャヒャヒャッ

これ皆我慢してんの? それとも私がおかしいの?


「可愛い……ミヤビ」


うっとり蕩けた表情で見られてんだけどォォ!? 内心ウヒャヒャヒャ笑い転げててスイマセン!!


ちょっと!! ムリムリ!! 続けられるとひきつけ起こすって!!


「ッヒャ!!」


手が!! ロードの手が太ももの辺りを彷徨っている!!

何だコレ。くすぐりの刑か何かか!?

アバヤ(中東で着られる黒いガウンやワンピースのような民族衣装)の裾が捲られて、その下に履いていたパンツ(下着じゃないよ)を剥ぎ取られた。


おいっ これR15ォォォォ!!!!


入ってきた! 手ぇ入ってきた!! スカートの中に手ぇ入ってきたぁぁぁぁ!?


「ッろォォォどォォォ!!!!」


それ以上はいかん!! いかんぞォォォ!!


「あ゛?」


私の片足、ふくらはぎの辺りを持って、足にキスしながら訝しげにこちらを見てくる。

自分でもびっくりする程、少年マンガの主人公の雄叫びみたいな声が出たからね。


「ちょ、足を持ち上げないでっ」


中身見えるから!!


「持ち上げねぇと出来ねぇだろ?」

「何をする気ですかァァ!?」


ジタバタするとどうしたんだ? という表情で身体を起き上がらせてくれた。介護か。


「これ以上は、ちょっと不味いんで」


私の乱れた髪を優しく撫で付けながら、話を聞くロードの表情は蕩けきっていてドロドロだ。


「ダメか?」


その手が頬を撫で、首筋をかすめてくすぐったさに震えていると、目を細めて優しげに見つめてきた後にキスをされた。


啄むだけのキスに阻む事も忘れて酔いしれる。


これは好きかもしれない。等と思いながら。


「ミヤビ」

「ん……」


抱き寄せられて、ロードの胸に右耳がピタリとくっつくような体勢で抱えこまれてから名前を呼ばれ、彼の心臓の音を直に感じながらキスの余韻に浸る。


「俺が怖いか?」

「ううん……怖くない」


子供みたいな返答をして首を横に振ったが、この時は脳がスイーツになっていたに違いない。


「急だったから嫌だったのか?」


ロードは優しく、優しく、何故止められたのかを聞いてくる。


「ソファが嫌か?」


それは嫌だろう。だがそこじゃない。いや、そこもだが、何よりも下半身の方に問題があるのだ!!


「色々と、あれだよ。準備がね……」

「準備……」


心の準備から始まって、その他諸々あるだろう。


「そうだよなぁ……オメェはこんなに小せぇし華奢だもんなぁ」


ロードはそう納得すると、私の身体を抱き込み撫で回し始めた。


「まずは慣らさねぇといけねぇよなぁ」


え゛?


「とりあえず、ソファが嫌みてぇだからベッドに行こうぜぇ」


ニヤァといやらしい笑みを浮かべたロードは、私を横抱きにして寝室へと移ったのだ。


カーテンの閉まったままの寝室はまだ日が出ているというのに薄暗く、埃っぽい。まるで最近は使用されていないような状態であった。


「こりゃダメだな。使ってなかったから埃をかぶってやがる」


そういえば、ウチに住んでいるからここに寝泊まりする事はほぼないんだったと思い出す。


悲惨な状態の寝室にホッとしてロードを見れば、一瞬苦虫を噛み潰したような表情を浮かべたものの、すぐに移動を始めた。

深淵の森(ウチ)へと。


転移扉を潜って家に帰ると、そのまま真っ直ぐロードの部屋へ向かう。足早に。


「ロード、ちょ、待って!」

「どうした?」


足を止めずに聞き返してくるものだから顔が引きつる。


「あの、心の準備がね、出来てないから……」

「大丈夫だ。本番はまだしねぇから。慣らすだけだから。な?」

「…………」


おい、それ全然大丈夫じゃねぇからな。




「ぎぃぃぅえあぁぁぁぁぁぁ!!!!!?」




その後、自分の叫び声を聞きながら意識を失うという珍しい事をやってのけた私は、意識のない間、ヒッキーのぼうという名の恐ろしい武器を下半身にぶら下げた、ロードという名のゴリラに追いかけられる夢をみていた。




━━…ハッ

私は一体……ここは、どこだ!?


『━━…ッ 何をやっておるのだ!! ミヤビ様のお力がぶれたと思って来てみたら……っ 神王様が意識を失うなぞ前代未聞!! 貴様一体ミヤビ様に何をした!?』


あ、ヴェリウスの怒鳴り声が聞こえる。


「何ってナニをしようとしてだな、」

『だから何をしようとしたのだ!!』

「いや、だからナニだって言ってんだろ」


何ナニ何ナニうるさいな。

どうやらヴェリウスはロードに怒鳴っているようだ。


確か気絶する前、ロードに寝室に連れ込まれて、キスされて……生まれたまんまの姿にされた後、奴がブツを取り出…ゴホンッ ロードが鞘から武器(エモノ)を抜き、その抜き身の刃を直視してしまった私は、すぐさま“殺される”と悟り、悲鳴を上げて意識を失ったのだった。



という事は、私は今ロードの寝室に居るのだろうか。どうやら裸ではなさそうだが……。


起き上がって自分の身体を見れば、きちんと服を着ているのでホッとした。

さっきまで着ていたアバヤだ。

気を失ったから着せてくれたのだろうか?


やはり騎士だけあって一応紳士ではあったようだ。



キョロキョロと周りを見れば、やはりロードの寝室らしい。

部屋の外からはヴェリウスの説教が聞こえてくる。


『全く、つがいといえど無理矢理寝室に連れ込むなどあり得ぬぞ!! 聞いておるのか馬鹿者!!』

「……ミヤビが起きたみてぇだ」

『!?……確かにそのようだ』


何故か私の目が覚めた事に気付いたロードが、ヴェリーちゃんの説教をぶった斬って部屋に入ってきた。


「ミヤビ、大丈夫か?」


静かに扉を開けると、優しげな表情で入ってきたロードは、私にそう声をかけベッドに腰かけて頬を撫でてきた。


大丈夫もなにも、あなたのせいで気絶したんですけど?


と思ったが、この男のエモノが恐ろしすぎて思い出すと頭の中にモザイクがかかるので、「大丈夫」と適当に答えたのだ。決して大丈夫ではないがな。


『ミヤビ様、例えつがいであってもダメな事はダメだとはっきり言わねば、相手は図に乗りロクな事にはなりませんよ』


私とロードの間に入ってきて、後ろ足でロードを蹴飛ばしたヴェリウスがそう言いながらお座りする。


「あ、ハイ。その通りです……」

『想いが通じあったのは結構な事ですが、繋がるにはまだ早いと私は思いますよ』

「ヴェリウスのおっしゃる通りです」


ヘコヘコとヴェリーちゃんの言葉に耳を傾けていると、蹴られて部屋の端まで転がっていたロードが「痛ぇなぁおい」と言いながら、のしのしとこちらへやって来た。


『しかし想いが通じた程度で、すでに半分神の力を手に入れているとは……ミヤビ様と繋がればどのような神になるのか、末恐ろしいですね』


はて、半分神とな?


ヴェリウスいわく、想いが通じあっただけで半神になっているらしいロードは、そんな事を気にしている様子もなく私を抱き締める。


「早く繋がりてぇが、オメェが気ぃ失う程怖がるとは思わなかったぜぇ」


よしよしと頭を撫でられ、まるで子供のように慰められて遠い目をしてしまう。


「まずは毎日、目から慣らしていかねぇとなぁ。先は遠いねぇ」


え? 目って言った? 今目から慣らすって言わなかった?? 気のせい? そっか、気のせいだよね。あーびっくりした。


「ゆっくりでいいから、慣れていってくれよ~」


ぎゅっと、先程より力をこめられたロードの腕の中で、耳に届いた言葉が気のせいであるようにと願いながらまた意識をとばしたのであった。

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