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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第3章

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90.告白1 ~ロードside~


ロード視点



なんの前触れもなく突然執務室に現れた最愛のつがいとその親友は、フォルプローム国に行ってきたと、机に向かって苦手な事務処理を必死にやっていた俺に告げてきた。


いつもなら仕事の邪魔をするどころか、執務室に寄り付きもしないミヤビがやって来てそんな話を始めるものだから、手を止めて2人の話をじっくり聞く事にしたのだ。


勿論いつ来てくれてもミヤビなら大歓迎だが。


話を聞き進める内に、フォルプロームで出会ったリンという青年を保護する為、ルマンド王国の騎士団に入団させて欲しいという、つがいからのお願いが発生した。


可愛いつがいの願いは出来るだけ聞いてやりたいが、素性の分からねぇ他国の人間を王国の騎士団に入れろというのは無理がある。

どうするもんかねぇ……と考えていれば、ミヤビは素性は確かなんだと必死に食い下がってきた。


その青年の事を話すミヤビが、今まで出会ってきた男達(マカロン、ランタン、精霊、アーディン、魔神)とは違い、興味を示している事がすぐに分かった。

確かにミヤビはお人好しで、騙され易い性格だが、今までこんなに熱を込めて話すような男はいなかった。


昨日のミヤビからの(頬に)キスが無ければ、嫉妬に狂ってすぐに追及しただろう。


勿論気持ちを抑えてはいるが、嫉妬してねぇわけじゃねぇ。

正直今すぐリンって奴をぶん殴りてぇ。

俺のミヤビの興味をそそるだけでも許しがたいのだ。


イライラし出した俺に気付いたのか、ミヤビとトモコがおかしな事をし始めた。


「━━…違うの。誤解だから。私が好きなのはロードだけ」


突然そう言って胸に飛び込んできたミヤビを、反射的に抱き止める。

芝居がかった口調だが、ミヤビに好きだと言われるのはかなり嬉しい。


小さく華奢な俺のつがいの柔らかさを堪能しながら、抱き締めた手に少しだけ力を込めた。


「ロード、大好き」


芝居でも悪くねぇ。

等と思い、勝手に顔がにやけちまう。


「っミヤビ、俺も大好きだ!! 愛してる!!」


なんてどさくさに紛れて身体中に触れる。


ミヤビは余計な肉が付きづらい体質のようだが、それでも硬い男に比べて女性らしい柔らかさを持っている。

胸もこう……わりとあるし、尻は小せぇがきゅっと上がって丸みをおびていて目が離せなくなる。むしろ両手で掴んで揉みてぇ。

肌は人形のように綺麗で、触り心地がかなり良い。もちもちふわふわしていて、ずっと触っていたくなる程だ。


「雅、嬉しい」


可愛らしい事を言うミヤビに、芝居と分かっていても相好が崩れた。

自分で言っていて違和感があったのか、肌が粟だっている所も可愛いと思う。


「……ねぇロード、ロードしか頼れる人がいないの」


つがいの上目遣いのお願いを断れる男は居ねぇ。


「っミヤビ、何でも言ってくれ。どんな願いも叶えてみせる」


国をとってこいと言われたら、一国とってくるぐらいわけもない。


「ロードぉ。じゃあ、リンさんの事お願いしてもいい?」


ちょっと待て。

仕草も表情も可愛すぎるが、他の男の事を乞われるとな……俺にも限度っつーもんがあるんだよ。


「ダーリン、だめぇ?」


くるくると人差し指で俺の胸に円を描きながら、上目遣いでダーリン(・・・・)……。

俺、鼻血出てねぇよな?


ミヤビ、下半身が暴走しそうなんだが。

何だそのうるうるした瞳は……っ やべぇっ これ、たまんねぇ!!


「ミヤビぃ。勿論構わねぇよ」

「や、や~ん! ダーリン格好良い!! ありがとう」


俺は理性を保つのに必死だった。




可愛すぎるつがいのお願い攻撃に敗北し、すぐに部下を呼んでリンという青年が待っている場所へと迎えに行かせる。

そのまま入団テストを受けてもらう為だ。


ミヤビには、入団テストで合格出来ねぇ実力なら諦めろと言ってある。

さすがに問題のある奴を騎士団には入れられないからな。


だが、俺のつがいは聡い。すぐに納得して俺の膝の上にちょこんと座り茶菓子を食っている。その様が可愛すぎてつい押し倒したくなるのは仕方のない事だろう。



全く見飽きねぇつがいの茶菓子を食う様子だったが、おかしな遊びで中断していた話を聞かねぇとなぁ、と声を掛ける。

ダーリンごっこは勿体なかったが、もう好きだのダーリンだのと言ってくれそうにねぇしな。


「おかしな遊びは終わりにして、そろそろ詳しく話を聞かせてくれるか?」


ミヤビがぎょっとした顔で俺を伺ってくるが、それが小動物のようで何とも可愛い。


「あれ~今までノリノリだったのに、バレてたんだ~」

「役得だったぜぇ。なんせミヤビの口から“ダーリン大好き”って聞けたからなぁ」


口をあんぐりと開いて両手を自身の頬につけ、青い顔をして声無き声で叫ぶ真似をしているんだが、バレてねぇと思ってる事に驚いたぞ。


「んな、何で演技だって!?」

「オメェ普段そんな事言わねぇだろ。トモコも念話してるって丸わかりだしなぁ。最初は変な遊び始めやがったって思ってたが、オメェが可愛い事言うからよぉ」


トモコは念話している時は黙りこむ上に、表情に出ているし、ミヤビはトモコの方を見て首を振ったりしてたからなぁ。

わかりやすすぎて面白かった。


お、段々顔が赤くなってんぞ。可愛い反応だなぁ。


「念話丸分かりだったか~。あれ無表情保ってられないし、念話中って他の人と話せないんだよね…」

「俺を騙そうとする気なら、念話を使いこなせるようになってから挑戦するこったな」

「くっ 私ではまだこの男には勝てないのか!!」


人族の神でも、あれで俺に勝とうなんざまだまだだな。


「で、フォルプロームはどうだったよ」

「暑かったよー。ね、みーちゃん」


トモコに話をふられたミヤビだったが、膨れっ面でこっちを見るもんだから可愛くてたまらねぇ。

何だその可愛い面!!


「あら~みーちゃんがヘソ曲げちゃった~。可愛いねぇ」

「ミヤビ、すげぇ可愛かったぜぇ。だから拗ねんな」


トモコも俺と同じ事を思ったのか、可愛いと口に出している。

コイツはある意味ライバルだからな。負ける気はねぇけどよぉ。


「そんな事より、フォルプロームの事!!」


トモコにまで嫉妬していれば、ミヤビが俺の考えを読んだように話の軌道を戻そうとする。

しかも膨れっ面が益々膨れているので、口一杯に食い物を含んだ小動物のようで、たまらず笑ってしまった。




「━━…というわけで、リン君の事をロードさんに頼みたいんだぁ」

「奴隷ねぇ……」


さっきミヤビから聞いたお願いを、再度トモコからも頼まれ思案する。

人族は性奴隷を必要としねぇし、つがいが他種族に居るかもしれねぇってんで、基本人族の国では奴隷制度も差別も禁じられている。

勿論ルマンド王国も例外ではない。王が人族ではあるものの、他種族が混ざりあって暮らす国だ。だからこそ余計な争い事を避ける為にも奴隷制度自体大昔に禁じられたらしい。

それを人族が、仲介とはいえメリットもないような事をするとは思えねぇ。こりゃキナ臭ぇ何かがあるなと嘆息した。


癒しを求めて、膝の上に居るつがいの肩や腰を撫でる。

胸と尻も撫でたいが、それをすると怒られそうなので止めておいた。


「普通、キャラバンの護衛がそんな機密事項を皆が眠っているような場で漏らすなんて考えられねぇが……リンって奴の話が本当なら、わざと話したんじゃねぇか? しかもキャンプ1日目に話すなんて逃げて国に知らせろって言ってるようなもんじゃねぇか」

「だよね~。ヴェリーさんはその護衛が人族じゃなくて、獣人族じゃないかって思ってるみたい」


『トモコよ、私は獣人族とは断言しておらんぞ』


突如師匠であるヴェリウスの声が響き、執務室の真ん中に転移してきた。

転移はわりと頻繁に行われているので珍しくもない。

それよりヴェリウスの言葉が気になり、聞き返した。


「断言してねぇって事ぁ、獣人族以外の可能性もあんのか」

『リンの話から、竜人という可能性も捨てきれぬと思ってな』


まだ推測の域は出ねぇが、この話が本当なら、戦争が起こるかもしれねぇ。

グリッドアーデン国はルマンド王国の同盟国。

現陛下の御母堂はグリッドアーデンの王族出身だ。

かの国が落とされでもしたら大問題だろう。


神族であるコイツらに任せられる問題じゃねぇ。早々に陛下に報告しなければならない。

国同士の政治が絡む問題になってくる。



「成る程なぁ……ミヤビ、トモコ、この件、しばらくこっちで預からせてもらっていいか」


面倒な事になった。

ため息を吐きたくなる気持ちを我慢して、嫌々ミヤビを膝から降ろし立ち上がった。


「少し気になる事があってな」


心配そうな顔をするミヤビの頭を撫でると、足早に陛下の元へと向かったのだ。

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