表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第3章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/303

82.ジェラシータケ


ジェラシータケ。嫉妬心を増幅させる効果を持つ。シイタケの仲間で味もシイタケそのままだが、白いひだの部分がほんのりピンクであることが唯一の相違点である。

シイタケと間違えられて食される事は多々あるが、特に問題視されていない事が問題のキノコだ。


しかし、一番問題なのは神王にもその効果が認められる事だろう。


ってそんな事思っている場合じゃない。予想外な事が起きたのだ。

外からの攻撃にだけ考えがいっていたが、内から攻撃されるとは思いもよらなかった。

体内にも結界を張らなければならないとは……どんどん人間離れしていってる気がする。

あ、私すでに人間じゃなかったわ。


「━━…しっかしオメェにジェラシータケが効くとはなぁ」


王城の近くにある高台のベンチで、私を膝の上に乗せているロードが不敵に笑った。


「ソウデスネ。考えた事もないような言葉が口から出てマシタネ」


片言になりながら、高台からの景色を眺める。王都を一望出来るこの場所は穴場のデートスポットなんだとか。


「何言ってんだぁ、ミヤビちゃん」


ニヤァとイヤラシイ笑みを浮かべ、お腹に回した手に少し力を加えて密着してくる。

危険信号が私の頭の中で点滅しているが、身動きが取れない。


「あのキノコは嫉妬心を増幅(・・・・・・)するだけだぜぇ。つまり、元々オメェの中には嫉妬心があったってこったろ」

「か、考え過ぎではないかね!? 離したまへよ!!」


貴族もどきな喋りでジタバタしてみるが効果はなく、ロードのニヤニヤは止まらない。


「ミヤビちゃ~ん。心配しなくても俺にゃあオメェだけだぜぇ」


ねっとり耳元で囁いてくるので、「ふひょう!!」と背を退けぞらせた。

しかしまたもや腕に力を込められて余す所なくぴったりくっつかれる。


「言ったはずだ。人族っつーのはつがいにしか発情出来ねぇんだって。……オメェに出会う前の俺ぁ、恋だの愛だのが一体何になるんだって思ってた。つがいがいなけりゃ一切反応しねぇわけだから当然だよな。でも今は違う。オメェを想うだけで……分かんだろ?」


これR15の小説ですからァァァァ!!!!


駄目だ。気にしたら負けだ。お尻にあたる棒は気にしちゃ駄目なんだ!! あれはそうっヒッキーのぼうなのだ! (※本物のヒッキーのぼうはベンチに立て掛けられています)

武器屋の店員も言ってたじゃないか。ヒッキーのぼうはただの棒だと。何の効果もないただの棒なんだと!!


「ミヤビぃ」


耳元に吐息混じりのロードの声がァァ!?


「ぅにゃーー!! ヒッキーのぼうよ引っ込めーー!!」



◇◇◇



「ッッ……クハッ ハハハハッ ブフッ ハァッ ひ、ヒッキーのぼう……っ」


悪霊退散!! 並に叫んだ結果、ヒッキーのぼうは息継ぎもやっとの笑いに変わってしまったらしい。

すまん。ロードのブツ…ゴホンッ ヒッキーのぼうよ。(←こっちの表現の方が卑猥です)


しかし考えてもみてほしい。

私の身長が160センチ。対してロードの身長は2メートル超えだ。そしてこの体格。ムキムキマッチョで腕は私のウェストよりも太そうである。

そんな男のヒッキーのぼうを受け入れられるのか!? 否!! 身体が裂けて死ぬわ!! (←知識は薄い本で培われている為人一倍あります)


「ククッ っとにオメェは可愛いなぁ」


膝の上で回転させられ、向かい合わせにされて頭を撫でられる。それが余計に恥ずかしさを増して顔を上げられないでいた。


「…大丈夫だ。無理強いはしねぇよ」


頭の上に降ってきたその優しい声に心臓が跳ねる。


このままあやふやな態度をとっていたら駄目だ。

きちんと彼の気持ちに応えなくてはと、そう思ってはいるのだ。しかし何分恋愛音痴な私である。自分の気持ちがいまいちよくわからない。

初恋も経験した事がない……というか、暴れん坊な貧乏旗本の三男坊に心を持っていかれてからというもの、戻って来ないので仕方ないというか……。


なのでこの気持ちが好意だという所までは確定しているが、恋や愛かといわれるとわからなくなるのだ。


とにかく今の気持ちを精一杯形にしなくては!! と心に決める。


ロードに出会ってから、ずっと助けられてばかりだ。けれどお礼のひとつも出来ていなかった。

心の中ではいつもありがとうって思ってるよ。


そんな気持ちをこめてーー…


チュッ


ぶつけるようにした頬へのキスは、微かに音がたって顔から火が出るんじゃないかって程に恥ずかしくて……っ


「“今は”、これ位で!!」


勘弁してください! と頭をさげる。

外国では挨拶や感謝の印にする頬へのキスは、日本人である私にはハードルが高すぎた。

火照った頬を冷やす為に手をあてるが、なかなか冷めず泣きたくなった。

しかもさっきからピクリとも動かないロードに不安が募る。


恐る恐る顔を上げると……


彼の顔は茹でダコのように真っ赤に染まり、瞳を潤ませて目線を彷徨わせていたのだった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



次回、トモコクエスト再始動!!

獣人族の国で大暴れ!?


お楽しみに!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ