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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第3章

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79.今度は乙女ゲームだと!?


「ロードはここで何してるの?」


昼時という事もあり、店内は満席で賑わっている。

楽しそうな笑い声や、注文する声、ウェイトレスの声が耳に届いて日本の定食屋を思い出す。


フローリングの床から人が歩く度に振動を感じ、目の前にいるこのデカイ男がいつ床を突き破るかハラハラする。


「もしかしたらミヤビに会えるかもしれねぇって思ってなぁ。待ってた」


ニヤリと笑って私を抱き上げ片腕に乗せるのはもうお約束である。

初めはキャーキャー騒いでいたトモコも、ひと月も経てば見慣れたのか何も言わなくなった程だ。


「そうなの? 時間大丈夫?」


「遅かったな」と言っていたので、結構待っていたという事だろうから仕事の時間が迫っているのではないだろうか。


「午後からは空いてんだ。街を案内出来るぜぇ」


上機嫌に笑うロードにふーんと相槌をうつ。


「ダメだよロードさん。今日は私とみーちゃんとショコたんの女子会なんだから、デートはまたにしてよ」

「女子会だぁ?」


女子会というか女子パーティーでのトモコクエストだろ。


「そこに俺が混じっちゃマズイのか?」

「女子会に男が混じっちゃダメでしょー。ね~みーちゃん」


それが本当に女子会ならな。


「そうだねぇ」

「なら、俺の事ぁ観光ガイドとでも思ってくれりゃいいって」


食いついてくるロードに、トモコは「仕様がないなぁ」と言いながら「じゃあヴェリーさん達にお土産買ってね」とおねだりしている。

昨夜お土産用のお小遣いを貰ったんじゃなかったのか……。ロードもロードで「わかった、わかった」等とまるで父親のようだ。


そんな事を話しながらロードに連れていかれたのは2階だった。

2階は1階と違って個室に仕切られていて落ち着いている。


「何ここ。2階はVIP専用? 何かイヤラシイ~」


イヤラシイって……。


「本当は1階で食う予定だったんだけどなぁ」


困ったような、でもすこし怒っているような顔をして奥の個室の前で止まると、「入んぞ」と言って扉を開けた。



「あぁ、来たのか」

「先にいくつか注文しておきましたよ」



扉の奥には、乙女ゲームの攻略対象者みたいなキラキラした男性達がくつろいでいらっしゃった。


「オメェら帰れ」


冷たい声で言い放つロードには目もくれず、私やトモコ達ににっこり笑って「初めまして、お嬢様方」と声をかけて来たのは、青緑の髪色をしたインテリで潔癖そうな外見の超絶美形だった。20代前半位だろうか。


ぶわっと鳥肌がたつ。


私は昔から、若くて綺麗な男性が苦手なのだ。

鳥肌がたつくらいに。


「ミヤビ?」


鳥肌をたてていると、ロードが心配そうに見てくるので笑って誤魔化す。

トモコは私が今居るような男性が苦手なのを知っている為、さりげなく「初めまして~ロードさんのお友達ですか?」等と言いながら彼らから一番遠くの席を空けてくれた。


「綺麗なお嬢さんばかりで照れてしまうな」


と大人の笑みを浮かべるのは金茶の髪色をした20代後半位の、これまた超絶美形な男性で落ち着きがある。


「コイツら勝手についてきてなぁ…」


困った顔で私を見ながら言い訳するロードに、こちらも困った顔を返す。

どうやらこの美形男子2人はロードの同僚らしい。第1、2師団の師団長だと丁寧に自己紹介してくれた。


第1師団長は青緑の髪色の人で、名前はレンメイさん。竜人らしい。

ランタンさんといい、竜関係は中国系の名前の響きを持つ人が多いのだろうか?


第2師団長は金茶の髪色の人で、こっちは魔族なんだとか。名前はカルロさんだそうだ。


ロードは私を抱き上げたままトモコが空けてくれた席に座ると、彼らからあまり見えないようにぶっとい腕で顔を覆ってきた。

彼らがこちらからも見えなくなって助かるが、暑い。


「彼女がロードのつがいかぃ? 随分と可愛らしい方だねぇ」


金茶の男性の言葉に反応して腕に力が入るので少し苦しい。

ギブギブとバシバシ叩けば多少緩まるのだが……。


「もう良いだろ。さっさと帰れ馬鹿共」

「ロードは酷いなぁ。“蜜月”も終わったんだろう。紹介してくれても良いじゃないか」

「そうですよ。同じ師団長のつがいです。顔合わせくらいさせて下さい」


ロードの暴言にやんやと文句を言っている彼らは仲が良いのだろう。

しかし“みつげつ”とは何だろうか? “蜜月”の事なのか? 一緒に暮らしているから誤解されているのかもしれない。


「質問いいですかー?」


盛り上がっている男性陣にトモコが手をあげるのがチラリと見えた。


「何ですか?」


どうやらレンメイさんが答えるようだ。


「“みつげつ”って何ですか~?」

「“蜜月”とは、一緒になったつがいが特に(・・)愛し合う最初の期間の事です」

「あ~成る程! じゃあみーちゃん達はまだだよね。部屋別々だし」


トモコォォォ!?


「うっせぇ! もうすぐ部屋も一緒になって濃厚な“蜜月”を過ごすんだから良いんだよ!! なぁミヤビ」


なに言っちゃってんのォォ!? 同意を求めてくるんじゃない!


「ロード、まさかお前……不感「死ね」」


カルロさん。女性の前でなんて事を言おうとしたのだ。

今更ハッとして取り繕っても遅いから。


さすが乙女ゲームの攻略対象者(っぽい人)。わざと(オス)な部分を匂わせて意識してもらおうという狙いデスネ。

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