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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第3章

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78.トモコクエスト


私達は間違って武器屋ではなく、武器屋風のぼったくりキャバクラにでも入ってしまったのだろうか?


ただじゃ帰さないって…入店料とかとられちゃうの?

それだと異世界あるあるじゃなくて、歌舞伎町あるあるになってしまう……。


トモコを盗み見ると、え゛、どういう事? みたいな顔をしてしているが、それはこっちがする表情だ。

お前は一体誰にこんな武器屋風ぼったくりキャバクラを教えてもらったんだ。


「持って行きな」


ビッグフットが投げて寄越した物を慌ててキャッチする。

何なんだ突然。


「アンタにゃ過剰戦力になるかもしれねぇが、何も持たさず帰しちゃなんねぇとオレの本能が告げてるんでなぁ」


そう格好良い風に言われて、とっとと店を追い出されたんだが……ただで帰さないってそっちの意味だったのね。

ぼったくりキャバクラじゃなかったのかと安堵して、さっきもらった物をよく見れば……


“ヒッキーのぼう”なんですけどォォォ!!?

過剰戦力って何に対してなの!? 引きこもり専用武器なら対おかん!? そりゃ過剰戦力だわ。

というかおかんと棍棒で戦うとか、それもう人間としてどうかと思う。



◇◇◇



武器屋店内ではーー…



「親方、金も払ってねぇ客に何で武器を渡したんだ?」

「兄者の言うとおりだ。あんなおかしな客にいくら一番安いもんだからってっ」

「馬鹿野郎!! あの人らはただもんじゃねぇ。失礼があっちゃなんねぇ人だってオレの本能が告げてたんだ」

「そりゃあ親方の“神の血”がそう言ってんのか!?」

「……“神の血”っても随分昔のご先祖にその血筋がいたってだけだがよぉ…」

「で、でもそれなら逆に一番安いヒッキーのぼうはヤベェんじゃ!?」

「いや、ここにあるどんな武器でもあの人らの力にゃ耐えられねぇだろうよ。それに、オレの作った武器だとあの人らにかかりゃひと振りでこの街が壊滅しちまうかもしれねぇからな……」

「「ま、マジかよ……っ」」

「あのお人にゃあ、ヒッキーのぼうが丁度良いんだよ」



◇◇◇



「貰っちゃったねぇ」

「…うん」

「主様良かったですね~」

「う、ん…?」


武器屋を追い出され、ヒッキーのぼうを握り締めとぼとぼと大通りを歩く私達。

しかし私は未だに先程の武器屋での出来事を引きずっていた。

あの親方には、もしかして私が引きこもりだとバレていたのではないだろうか。だからこの引きこもり専用武器、“ヒッキーのぼう”を渡され、ここはお前のような奴が来る場所じゃないと追い出されたのかもしれない。


異世界あるあるその3は発生したが、私のせいで追い出されてしまったのは申し訳ないとトモコを見る。


「これでみーちゃんは初期装備の立派な冒険者だね!」

「うん…トモコの武器は?」

「私は良いの。みーちゃんに創ってもらうから!」

「うん、そっか…………う゛ん?」


今何て言った?


「楽しみだなぁ~日本刀とか格好良いかも! さっきの武器屋さんには日本刀無かったよね~」


いやいやいや。え? 創るの? 私が?


「何で!? 私は鍛冶師じゃないよ!?」

「知ってるよ~」


ヘラリと笑うトモコがさも当然のように言うのでそんな約束してたっけ!? と記憶を掘り返す。が、そんな事を約束した記憶はどこにも無い。


「でもほら、人間が作った武器だと神の力を通しちゃったら壊れちゃうから」

「だったら何故武器屋に行った!?」


こちとらさっきの武器屋で、お前は引きこもりだ。どんなに足掻いてもその事実は変わらないのだ。という現実を突きつけられて、その証を頂いたんだぞ!?


「行ってみたかったから」


トモコクエストォォォ!!!


間違いない。今私達はトモコの遊びに付き合わされているのだ。リアルRPGという名の遊びにな。


まず、コイツは勇者な主人公トモコだ。そしてショコラは戦士。私は遊び人の3人パーティーなのだ!!

これはまさしくドラ○エならぬトモクエ……。

武器屋の次は教会か、宿屋か!?


「お腹も空いてきたし、そろそろご飯食べに行こっか~」


飯屋だったァ!!

ダメだ。頭の中にあのBGMが流れてくる。

トモコ……なんて恐ろしい……っ





「━━…あった!! みーちゃんここだよ。ロードさんが言ってたオススメのお店。食事処“ニクオウ”!!」


肉王!? すごい名前の店だな……。


オススメの飯屋を見つけてテンションが上がっているトモコを横目に建物を見る。

外観はレンガ造りの可愛らしいカフェ風なのに“肉王”って……ステーキ専門店なのだろうか?


私の隣を歩くショコラが、クンクンと鼻を鳴らしてヨダレを垂らしているのでとりあえず入る事にする。


「遅かったじゃねぇか」


店内に入れば、すぐに声をかけてきたのは可愛い看板娘……ではなく、ゴツイオッサン……ロードだった。


「あ、ロードさんだ。みーちゃん、旦那さんが居るよ」



ゴリラ騎士がパーティーに加わった。


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― 新着の感想 ―
[一言] トモコとの会話がテンポ良くて読みやすいです。 ロードはともかく。
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