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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第2章

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64. 神様ってこんなにいるの?!


控えの間の、重厚感のあるカーテンを潜ろうとして、中央より少しサイド寄りから出るようにとヴェリウスから注意を受けた事を思い出し、端へと移動する。


このカーテンを抜けるとすぐ、中央に高級そうな椅子が一脚鎮座しているからだろう


マカロンはよく椅子を壊さなかったものだと、先程の事を思い遠い目をしてしまう。


いつの間にかダンスホール側にウチの珍獣が幕を引き上げる係として立っていたらしく、私達がカーテンのやや端に移動して少しするとゆっくりとカーテンが上がったのだ。


視界が開けた瞬間目に飛び込んできたのは、人、人、人。

この広々としたダンスホールに一杯とまではいかないが、人の姿が溢れていた。

その数ざっと1500人程だろうか。こちら側のスタッフは珍獣100人と、表に出ない仕事に就いている、ヴェリウスの精霊とランタンさんの精霊を合わせても200程度しかいない。

裏側(特に厨房)は恐ろしく忙しいのではないだろうかと心配になる。


そんな思いも、こちらに気付いた神々によって真っ白に染まる。

1500人の視線が突き刺さったのだ。

ただでさえ緊張しているのに、一気に注目されれば心臓が口から飛び出しそうになる。


ヤバイ。この先の一歩がふみだせない。

大体、こんなに人数がいるのに何でこんなに静かなんだ。


中々動かない私に焦れたのか、横にいたロードとショコラが一歩前へ出る。そうしてゆっくり歩き始めるので、2人に置いていかれないように自然に歩き出す(浮いて移動)事が出来た。


絢爛豪華な椅子の前に到着すると、2人は左右に別れて椅子のサイドに回りロボットのように静止した。


確かこの椅子に座れって言われたよね。


朝食時に確認した流れを思い出しながら、2段高い場所にある玉座のような椅子に向かい階段を登るとゆっくりした動作で椅子に座る。


すると目下の神々が引いていく波のように前列から膝をついていき、まるでスポーツ観戦の応援で客席で起こるウェーブのようだと拍手をしたくなった。


もしかして練習してました?



『世界に魔素が満ち、昔のように力が満ちた』


突然、お芝居が始まったかのようにヴェリウスが語り出した。

恐ろしい程の静寂の中、落ち着いた美しい声が響く。


『絶望は消え去り、希望が満ちた。

全ては再びこの世界に顕現された神王様のお力である!

皆も感じていよう。今、世界がかのお方のお力に包まれている事を。

その偉大なお力が間近に在る事を!!』

「そう、かのお方こそが我らの父であり母である。そして絶対なる王!! 我らの神王なのだ!!!!」


うおぉぉぉぉーーーーっっ


ある者は感動し涙を流し、ある者は喜びにうち震え、雄叫びを上げる。そしてーー…


うぉぉぉ…こ、これは恥ずかしい!! ヴェリウス、ランタンさん、ちょっとノリノリ過ぎやしないだろうか。


私は恥ずかしさに悶えながらチラリと横の2人を盗み見る。

無表情だった。

それが益々私の羞恥心を煽るのだ。


ダンスホールでは号泣している人があちこちにいるし、注目されているしでいたたまれない。

何より辛いのは、この椅子が高すぎて足がブラブラしている事だ。

この世界の人は身長か高い。男性は平均190センチ、女性は平均175センチもある。因みに私は160センチ。決して小さくはない。大きくもないが。

さらに足が短いのだ。これは我が北野家の遺伝なのだから仕方がない。我が家は代々足が短いのが特徴なのだから。

袴が長くて助かった。誰も私が足をブラブラさせているとは思うまい。



ヴェリウスとランタンさんか居るのは、丁度私の直線上。正面の前列だ。

先程から気になっていたが、どうやらヴェリウス達の周りにいる神々だけ他の神々と一線を画しているようなのだ。

人数は10…いや、9人だろうか。まず顔の造りが一際派手で、皆それぞれが個性的と言えばいいのか…。とにかく目につく集団だ。

先程会った魔神の少年もその一員のようだった。


ヴェリウスとランタンさんと魔神の少年以外は初めて見るが、皆一様に瞳を輝かせて此方を見てくるので目をそらしたくなる。

しかし1人だけ何か……、



「ーー…では、神王様より御言葉をー…」


“ミヤビ様、その場で立ち上がりひと言お願い致します”


ランタンさんの声に被せて、突然頭の中に響いたのはヴェリウスの声だった。

驚いてついヴェリウスを見ると、コクンと首を縦に振られて促される。


え~っと、立ち上がってひと言ね…ひと言…。ここは、来てくれて有り難うございます。楽しんでいってくださいね~的な事を言えばいいだろうか。


“ミヤビ様、私の後に復唱して下さい”


おおっ どうやらヴェリウスが念話でフォローしてくれるらしい。頼りになるな。


“皆、よく集まってくれた”


「…皆、よく集まってくれた」


よし、第一声は声が裏返らなかったぞ~!!


“今日の催しを楽しんでいってくれ。以上です”


「今日の催しを楽しんでいってくれ。以『ゴホッ ゴホンッ』す」


終わった! 言い切ったよヴェリウス!! 最後の方咳き込んでたけど大丈夫だった?

あ、ランタンさんが私とヴェリウスを見てうんうんと頷いている。上手くいったって事だよね。


私のひと言が終わると、目下の神々はワアァァと嬉しそうに騒ぎ出し、ビュッフェコーナーへと足を進め…ん? 何でこっちに行列を作ってんの? 何?


私の直線上に行列が出来ていくのだが、何事だろうか?


「ミヤビ、手を」


ロードにそっと手を取られ、ダンスホールへ続く階段を降りる事になったのだが、何をするのだろうか?


目を擦りもう一度見るが、やはり階段の下には行列が出来ている。

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