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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第2章

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63.創世の神 ~ヴェリウスside~


ヴェリウス視点



ミヤビ様が控えの間に戻られてからすぐ、私とランタンはジュリアスを連れてダンスホールを出た。

“創世の神”(【最初に創られし神々】とも呼ばれる)が先に入室しているのは体裁が悪いからだ。


まずは位の低い神族から入場し、位の高い者は後半での入場となる。

それまでは入り口近くのホールとは別に、客間がそれぞれに用意され茶を楽しむよう配慮されている。

ジュリアスの馬鹿は客間には行かず、ホールでのお茶会を楽しんでダンスホールに来たようだが。


私達は用意された客間へとジュリアスを連れて行き、神族の入場を待った。


『ジュリアスよ、いつまで呆けておるつもりだ』


神王様の圧倒的なお力を感じて呆けているジュリアスを床に転がし、自身の精霊が入れてくれた緑茶を堪能する。

やはり緑茶は美味い。


ミヤビ様から頂く物は今まで食べた事もないような、不思議で美味しいものばかりだ。

今日のビュッフェとかいうもので用意されている食事も見たことのない料理ばかりで期待が高まる。


「すげぇよ…神王様のあの力…久々に感じたけど、“前”より強くなってんじゃねぇの?」


呆然としたまま、しかし興奮したようにブツブツ言い出したジュリアスを眺め、醤油煎餅を噛み砕く。

やはり茶を飲むならば畳の部屋が一番だ。と、ミヤビ様がゴシック建築だとおっしゃられた部屋を見回し溜め息を吐く。


「ヴェリちゃん、そのバリバリ食べてる茶色の平べったいの何なの? 全然可愛くないのだけど」

『醤油煎餅だ。美味いぞ』


此方を凝視するランタンにそう答えれば、「そ、そう…」と曖昧な返事をされ視線をそらされた。


「そろそろダンスホールに移動し始めたかしらね」


そう言ってミルクティーを飲みながらチョコレートのクッキーを摘まんでいるランタンに、ハッとしたジュリアスが立ち上がると「あーーッッ」と突然雄叫びを上げたのだ。


『やかましい』

「だって俺のご馳走ーー!!」


そんな事を言いながら客間から出ようとするので体当たりして転がしておく。


『“創世の神”である御主が先に入場してどうする。馬鹿者が。皆が驚いて場が騒然とするであろうが』

「だって俺のご馳走が!! あんな見たこともねぇ美味そうなもん、早く行かねぇと無くなっちまうよ!!」

『無くなるかっ たわけ者』


後ろ足で砂を引っ掻くようにジュリアスの足を蹴ると席に戻る。


『いくらビュッフェスタイルのパーティーでも、神王様の拝謁の前に食べ始める馬鹿は御主しかおらぬわ』

「そうよね~。そんなおバカさんがいれば他の神に殺されてしまうでしょうね~」


ホホホと笑いながら優雅にお茶を飲むランタンは、クッキーに夢中のようだ。


『そんな事よりも、御主に聞いておきたい事があるのだが』

「あー早く食いてぇ!! って、聞きたいこと? 何それ」


ジュリアスは立ち上がると席にやってきて、乱暴に椅子を引くとドカリと音を立てて座った。

私の醤油煎餅を取り、バリバリと食しながら見てくるので話を切り出した。


『最近、御主の眷族の核を何者かに奪われた…等という事件は起こっておらぬか?』

「あ~、神族の眷族狙ったあの事件ね。結構な人数やられてるって聞いたけど、俺んとこはまだやられてねぇなぁ~。てかこれ美味っ!!」


醤油煎餅の美味さに気付いたジュリアスが次々と私の煎餅を奪取するので、手に噛みつけば「いってぇぇ!!」と叫んで文句を言ってくる。喧しいので一蹴したがな。


『次は御主の眷族が狙われるやもしれんな』

「不吉な事言うんじゃねぇっての!」


私が噛みついた手を痛そうにふりながら吠えてくるが無視を決め込む。


「ジュリーちゃん少しは落ち着きを持ったらどうなのかしら?」


もっともな事を言うランタンに「ヴェリウスが噛みついてくるからだろ!」と他人のせいにしてくる所がいつまでたっても幼子のようだ。

同じ幼子でも、ミヤビ様のように可愛げがあれば良いのだが…コレに可愛げを求めても無駄かと頭をふる。


「そういやぁ、神王様命のアイツ、今日来てんの?」


突然話を振ってくるジュリアスにランタンが答えた。


「来てるに決まってるでしょう。神王様を“異界”にまで探しに行った子よぉ~」

「の割にゃ、深淵の森に行くのよく我慢出来たよなぁ」

「そう言われればそうだわね~…」

「ヴェリウスよりもアイツの方がお世話するって行きそうなもんなのになぁ」


2人の会話に人族の神を思い出す。

確かにあやつは、“創世の神”の中でも私の次に神王様に執心しておったな。

しかしミヤビ様が生まれてから一度も接触してくる事はなかった……。

言われてみれば違和感がある。あれだけ神王様に執着していた奴に限ってそんな事があるのだろうか。


まさか、人族の神に何かあったのか…?



「失礼致します。

ヴェリウス様、ランタン様、ジュリアス様。神族の皆様がご入場を終えましてございます。

“創世の神”であらせられます皆様には、順次ダンスホールへとご入場をお願いしたいのですが」


時間になったのか、深淵の森の魔獣で案内係をしている者がやってきて、我らにそう促した。


人族の神についてはダンスホールに行けばわかるかと立ち上がり、さっそく向かう事にする。



さて、これからミヤビ様を威厳のある神王様に仕立てるべく…ゴホンッ……フォローをしっかりつとめねばな!

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