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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第2章

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57.暗黒騎士現る


と、いうわけでちょっとだけ宙に浮いて移動する事にしました。10センチ程浮いています。バレない程度です。


右手に見える日本庭園に心を癒されながら、幽霊のごとく移動していると…


「きゃあぁぁ!! 御衣装が引きずられていくぅぅ!!」

「いやぁ!! 神々の至宝がぁぁ!!」

「あばばばばば…」


後ろから3人娘の叫び声が聞こえ、すぐにバタバタと走ってきて、引きずっていた衣装を「失礼致します!」と結婚式のベールガールのように、袴と羽織の裾を持ち上げて歩き出したのだ。


「あ、ごめんなさい。ありがとう」


お手数をお掛けしている事への謝罪とお礼を言えば、


「とんでもございません!!」

「ミヤビ様のお世話が出来る事こそ我らの至福にございます」

「神々の至宝以上に、ミヤビ様は我々の宝でございますから」


等と言われた。神々の至宝とは一体何の事なのか?


前を歩いていたヴェリウスが、3人娘の話を聞いていたのか振り向くとこちらへやって来て、


『こやつらの仕事はミヤビ様のお世話をすることですから、存分にお世話をされてやって下さい。

そして神々の至宝とは、ミヤビ様が力を込めてお創りになられたその御衣装の事です。

極上の生地や見た目の美しさは勿論、そこに付与されたお力はそれを身に付けた者に絶大な力を与えてしまう大変危険な…ゴホンッ 素晴らしい物なのですよ』


とおかしな発言をされた。


この衣装は確かにヴェリウスやランタンさんと一緒にデザインを考えて、私が創ったものだがそんな大層ないわれをする衣装ではないだろう。

そりゃあまぁ色々な魔法を付与したが…。

体力、魔力全回復効果を付け、向上もまぁ付けたけれど。あ、そういえば攻撃防御機能も付けたな~。後は汚れ、傷防止と…シワや型崩れ防止に後何だったっけ?


『その御衣装は決して盗まれぬよう、お気をつけ下さい』


まさか身に付けているものを強奪する神々はいないだろう。盗賊でもあるまいし。

まさか盗賊神とかそんなのがいるのだろうか…。



不安を覚えながらヴェリウスについて、ゴシック建築ゾーンのダンスホールの裏側にある控えの間に入ると、美味しそうな匂いがダンスホールの方から漂ってきた。

これはきっとビュッフェの料理の香りだろう。

確かロードも数品作るのを手伝いに行くとか言っていたことを思い出す。

ロードは料理に関しては天才的だから、きっと美味しいものが沢山出てくるに違いない。


勿論、日本の料理も今回のビュッフェに並ぶのだ。むしろこれがメインと言えるだろう。

その為に料理スキルのある珍獣達に日本の料理も習得させたのだから。



《ミヤビ様~、僕ですよ。入ってもいいですか~》


ビュッフェの事を考えていると、控えの間の巨大な扉の外から間の抜けた声がした。


「ちょっと! 名乗らずに部屋に入ろうとしたらダメなのよっ ちゃんと名乗らなきゃ」


その間抜け声の後に続けて可愛らしい声が聞こえてくる。


「ミヤビ様、ショコラです。入ってもよろしいでしょうか?」

《マカロンです。これで入ってもいいですよね~》


相変わらずのショコラとマカロンに、「どうぞ~」と促せば扉が開き入ってきた。


「うわぁ~!! 主様キレーですぅ!!!」


ショコラのキラキラとした目と第一声に恥ずかしくなる。


「ショコラは格好良いね~。よく似合ってるよ」


護衛という立場からドレスではないショコラだが、着物に、洋風の金属(?)で出来た胸当てをし、袴のような、ニッカポッカのようなものを着て、ブーツをはいている。

そして腰にはドラゴンの装飾が彫られた日本刀に近い剣を持っており、侍と騎士の間のような感じがなかなか格好良いのだ。

その後ろにいるマカロンは、服は着られないが一応装飾品をつけてもらってお洒落をしている。


「マカロンも格好い、い……」


褒めようとマカロンの方を見たその瞬間、体が固まった。



居るのだ。

マカロンの影にヤバイ奴が……。


ちらりと見ただけで存在感が半端ない。

よくよく聞けば、コフー…コフー…と息をしているダースべ○ダーのような音が…。

真っ黒な鎧はまがまがしく、2メートルを越える巨体は威圧感を与える。

兜で覆われた顔は眼光だけが鋭くひかり、余計不気味さを醸し出す。


奴の名は…


暗黒騎士(ダークナイト)


「ッ敵襲ーーー!!!!」


大声で叫べば、周りにいた全員が警戒しだす。


暗黒騎士は私を見て、バサァと漆黒のマントを翻し近付いてくる。


コフー…コフー…の音のせいで、私の頭の中はダースべ○ダーの登場曲がリフレインされているのだ。


しかし見れば見るほどヤバイ。

多分殺される。

背中に背負っている剣が通常の大きさじゃない。大剣というのだろうか……とにかく、その剣も醸し出す雰囲気も尋常じゃないのだ。


《ミヤビ様~? 敵ってどこに居るんですかぁ?》

「あんたの目の前に居るでしょうが!! ヤバイ奴!! コフー…コフー…って言ってる黒い奴!!」

《え~? それロードさんの事ですか~?》

「そう!! ソレ!! ……ん? ロード…?」


マカロンの言葉に、目の前に来ていた暗黒騎士をよく見る。

やはりデカさとおどろおどろしい漆黒の鎧があいまって、威圧感が凄まじい上、兜で隠れた顔は全くみえず恐ろしさを増している。

大人ですら裸足で逃げ出す怖さだ。


「…ロード…?」

「コフー……ッだぁ~!! あっちぃ!!」


兜を私の前で脱いだ暗黒騎士は、汗だくのロードだったのだ。

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