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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第2章

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53.新たな提案


人員は勿論必要だ。しかし、精霊を神力で生みだせると知っても、だからといって自分で生みだすぜ!! なんて事にはならないのだ。

だってこれ以上人口密度が上がると、深淵の森にある小さな家では対応できない。そして我が家にこれ以上人を増やしたくない。

天空神殿ならいくら人が来ても構わないけれどね。家ではなく、リゾート地なのだから。


最近思うのだ。世紀末で人口も減少したあげく文明の発展も遅れている世界がいくら頑張っても、観光地として楽しめるようになるのは最低でも10年はかかるのではないかと。いや、もっとかかるかもしれない。


それなら自分で創った街(島)で、人を拐っ…ゴホンッ 誘致してきて、その人達に様々な技術を教えてあげた方が早く発展するし、観光地として楽しめるのでは…と。

きっと半分の5年もあれば私の考えも及ばない観光地になるに違いないと。


人間不信のズボラではあるが、楽しみがないと長い人(神)生生きていけないんじゃないかって、同じ日常を繰り返す中(2年)でやっと気付きました。

いや、同じ日常を繰り返す事は好きだけどね。その中のたまにする旅行とかショッピングとか、ないと楽しくないでしょう。


まぁそれは追々考えるとして、今はヴェリウスの精霊の件だ。


よく考えてみるとヴェリウスが生みだす精霊は人型なのだろうか? 獣型であれば、案内係は出来ても給仕は出来ないだろう。


「ねぇヴェリウス、やっぱり精霊はま「ヴェェリウスゥゥゥ!!!! アンタまた抜け駆けしてるわねぇ!?」」


精霊は待って欲しいと言おうとしたら、ランタンさんの怒声に話を遮られた。

突然現れた為ビクッとしてしまった所、いきなり腰をぐっと引かれてロードの腕の中に囲われてしまう。


「へ? 何…」

「何だあの野郎(おとこ)は」


殺気を纏ったロードはランタンさんを阻むように、私を自身の後ろへ隠すと警戒を露にした。


「精霊の話を小耳に挟んだんだけど…この天空神殿に他神(神王様以外)の眷族や精霊を置いては駄目だと言ってあったでしょ!! 神王様にお心を傾けてもらえるのだと勘違いがおきて御寵愛を競う神族同士での戦争になりかねないのよっ 実際アンタは抜け駆けして神王様から御寵愛いただいているけれどね!」

『盗み聞きとは悪趣味だな』

「う゛…だって仕方ないでしょ!! 登場するタイミングを逃しちゃったんだからぁ!」


どうやらランタンさんは少し前からここに居て、私達の様子を見ていたらしい。


それを聞いてますますロードの機嫌が悪くなっていく。

気付かなかった自分と気配を悟らせなかったランタンさんとの力の差を気にしているのか、それともつがいとして本能でランタンさんを男として認識し警戒しているのか…とにかく顔が悪鬼のようになっていて滅茶苦茶怖い。


「ロード、あの人が昨日話した竜神のランタンさん。ヴェリウスの友達で古い付き合いなんだって」


相変わらずのメロンの揺れ具合に目で追ってしまうのは、男でも女でも同じ事だろう。


しかしロードはそんなメロンに目もくれず、ランタンさんを睨み付けている。


「ねぇねぇ」


ロードの服を引っ張れば、幾分緩んだ顔をこっちに向けてくれる事にほっとしながら興味本位で聞いた。


「ロードはああいう胸に興味無いの?」

「あ゛?」


突然何言ってんだコイツ。みたいな目で見られたが、聞いてしまったのだから仕方ない。


「だってほら、男の人は大きいのが好きっていう傾向にあるんでしょ」


中には小さいのやまな板が好きだって人もいるけれど。

後は胸よりお尻派とかね。


「そりゃ人族以外の男の話だろ。人族の男はつがいが全てだ。胸がデカかろうが小さかろうが、尻がなんだろうが、男だろうと女だろうと、そんなん関係ねぇよ」


いや待て。最後の性別のくだり……私には色んな意味で気になるんですけどォォォ!?

趣味、薄い本を創作する事です!!


「つがいの全てが愛しくてたまんねぇんだからよぉ。勿論俺も類に違わずな」


なんて目を細めて見つめられるものだから……そんな事よりさっきの発言が気になりすぎて私のBなLの情熱が頭を占領し始めたじゃないか!!

ロードさん、そこの所詳しく。

つがいが同性だったらって所ね!!




結局ヴェリウスはランタンさんに怒られて精霊の派遣が出来なくなったので、ダンスホールの隅でいじけている。

機会があればヴェリウスの精霊を紹介してもらおう。可愛い精霊を希望する。

ばかデカイ猪と無表情な鹿が出て来たら即逃げようと思う。


ロードは胸の話から多少表情が和らいだが、私が嫉妬したのだと勘違いしている節がある。


元凶であるランタンさんは、私にパーティーの流れについて教えてくれているのだが…


「という流れで一同にお顔を見せていただければとーー…この後はダンスホールでダンスを「ちょっと待って下さい」」


ランタンさんの話を遮った私は、ハイッと挙手して言った。


「ダンスはしない」


と。

この言葉にランタンさんだけでなく、ヴェリウスやロードまで驚愕している。

何故なら、この娯楽の少ない世紀末のようだった世界で、音楽とダンスだけが人々や神々の唯一の楽しみだったらしい。

つまり、パーティーに音楽とダンスは欠かせないのだ。それを私は拒否しているわけで、当然ランタンさんからは戸惑いの声が漏れている。

しかしリズム感ゼロ、社交ダンスの経験も無いどころか、ダンスはマイムマイムか盆踊り位しか経験もないのだ。

そりゃあ力を使えば踊れるだろうが、ダンスホールの真ん中で優雅にダンスなどぶっちゃけこっ恥ずかしい。


そんな私が希望するのは、全員が踊らなくても楽しめるパーティーである。

そう、踊りたい人は踊ればいい。私を巻き込まなければな。

他の人は何をするのかといえば……


「食べる事に楽しみを見出だせば良いのです」



食に特化したパーティー。“ビュッフェ”を提案したい!!

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