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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第1章

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4/303

4. 窓の外に恐竜がいるんですけど!?

ここが異世界であるのか否か。調べると言ってもどうすればいいのか…。


よくあるパターンでは月が2つあるとか、見たこともない植物が生えているだとか、もしくは魔物が現れた等があるが、昨夜は月も出ていなかったので2つあるのかは不明だ。

見たこともない植物というのは、よほど植物に詳しい人でもない限りよくわからないと思う。そんなに特徴的な植物も見当たらない。魔物は…今のところ遭遇していない。


外に出てみようか…。いやでも、魔物でなくとも熊に遭遇したら怖すぎる。結界を自分の周りに張ったとしても、見ただけで恐怖だ。


無理だ。小説の主人公のように外にでる事なんて出来ない。さっきは能力の実験で危険がある事もすっかり忘れて畑を作ったりしていたが、一度我に帰ると外はヤバイ。

結界? 目に見えないもんなんて信用出来るか!

さっきから家の強化ばかり念じてるわ!


窓の外に目を向ければ、庭の垣根の向こう側に続く森。

窓の強化を願う。



それから一週間、私は一切外に出なかった。



森に来て一週間経つけれど、ここが異世界なのかは結局わからずじまいだ。

窓から空を見ても月は1つだし、色も変わらない。植物も喋りだすわけでもないし、妖精が飛んでるわけでもない。魔物もやはり現れない。熊すら姿をみせないのだ。

考えてみれば結界が良い仕事をしているのかもしれない。目に見えないけれど、信じる価値はあるのかも…。


そんな事を考えていた矢先だった。


グヴヴヴヴヴ…


低く響くような唸り声が聞こえてきたのだ。


動物園でライオンが出す唸り声よりももっと低くて響く声。木々が大きくしなる音も聞こえる。

一気に恐怖が襲ってきた。


私は急いで2階へかけ上がると、自分の部屋へ飛び込んだ。強化したとはいえ、窓に近づく事すら怖くて、でも視線は窓の外へと向いてしまう。

窓の外に見える森の木が大きく揺れたのが見えた。


来る。


刹那、現れたのは巨大な恐竜だった。


「っ…ぐっ…」

叫びそうになる口を押さえ、見つからないように屈んで身を固くする。

怖い怖い怖い…!!!

誰かカーテン閉めて!!


心の中でそう叫べば、シャッとしまるカーテン。それはそれで見えないから怖い!


カーテンが閉まった事で少しだけ冷静になれたが、未だ身体は震えている。

窓から一瞬見えた恐竜みたいな奴は、一階の屋根より少し大きかった。デカイ。あんなものは見たことがない。

やはりここは異世界なのだ。だってあんなのがいたらニュースになってる。というかあれ一匹で町が滅びそうだ。人間が相手を出来るもんじゃない。見るからに銃とか効かなそうだった!


カーテンの閉まった窓に目をやると、嫌な想像をしてしまう。もう庭に入ってきていて、窓の前に居るんじゃないか。とか。

怖すぎる!! しかしカーテンを開ける勇気もない。一体どうしたらいいのか…っっ


恐怖に震えて20分位経っただろうか。外からは木々のしなる音も唸り声も聞こえなくなっていた。

恐竜は去ったのだろうか…。

震える足で恐る恐る立ち上がり窓へと向かう。そっとカーテンの隙間から外を覗けば……



居るーーーー!!!庭には入って来てないけど、多分結界の外だと思う辺りに寝そべってたーーーー!!!


何でやねん!!人様の家の前でリラックスすな!!はよ帰れっ心臓に悪いんじゃああぁぁ!!


等と心の中で叫んでいると、恐竜は突如消えてしまった。多分私が帰れと思ったから強制送還されたのだろう。


「ハハハ…そうだよ。この能力があったんだよ。何故気付かなかったかなぁ私」


あまりの事に口に出してしまっていた。

まだ震える足と、独り言を呟きながら震える声に情けなくなりながらも、しばらくその場から動く事が出来なかった。



◇◇◇



恐竜との遭遇から一年が経った。

あれから毎日のように色々な恐竜が我が家の周りにやってきた。さながら城を守る兵士のごとく、ローテーションで巡回しているようだった。きっと奴らはシフト制に違いない。


初めは姿を見れば強制送還していたが、結界内には絶対入って来ないとわかれば放置した。そりゃあ怖いけど、結界内に入って来ないなら観察する余裕も出来る。


恐竜にも様々な種類があるようで、爬虫類みたいな見た目の羽のないドラゴンみたいなものから熊みたいに毛のあるものまで多種多様であった。

“恐竜”と呼んではいるが、魔物とかモンスターとか、そのようなものである事はもう理解している。だって炎を吐いたり雷を出したりするのだから。ただ、魔物だ!と言うより恐竜だ!という表現の方が私にはしっくりきただけなのだ。


グルルルルル


「お、今日もお勤めご苦労様ー」


2日に一度は見る馴染みの爬虫類型恐竜に、薬草畑から葉っぱ等を収穫しながら声をかける。結界内に絶対入って来ないから出来る事だ。

心なしか恐竜もペコリと頭を下げている気がしてくるのは情がわいたからであろうか。

向こう側からこちらは見えないので気のせいだろうが。


薬草畑と美容畑から収穫した花や葉っぱを3ヶ月前に増設した研究室へ運ぶ。

面倒臭がりといいつつも、収穫したものから作る薬や美容グッズはもはや趣味と化している。ズボラな私だが、仕事はズボラではないのだ。

まぁ何だかんだ言っているが、つまるところ暇なのである。テレビを観ようにも、HDDに録画されているものと家にあるDVDしか観れないし、本も勿論家にあるものだけ。能力で出そうとしても私の知っているものしか出せないらしいのですぐ暇になる。

マンガの続きを自分で妄想して出す事は可能だったので、たまにそれで暇潰しをしているけれど。それはそれで面白いのだ。ちなみに私の部屋は好きな漫画家の絵で私の考えたストーリーの同人誌のようなものが大量にある。腐女子な私にはウハウハなこの能力。

授けて下さったどなたか。ありがとう!!

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[一言] 地球人から見たら最早発狂モノの光景WWW
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