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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第2章

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37.新しい家族


『ショコラの魔力がドラゴン時の魔力を超えていますね…』


真剣な表情でショコラをじっと見るヴェリウスが固い声で言った。


「ちょっと待て。魔力がドラゴンを超えるなんてあり得んのか? 人間にゃあり得ねぇ程の魔力を内包しているからこそのあの巨体だろうが。人型でドラゴン以上の魔力なんて普通身体が耐えられねぇぞ」


それってつまり、500ミリリットルのペットボトルに浴槽にたっぷりためた水を全部入れようとしても絶対入らないのと同じって事だよね? 無理に入れようとしたらペットボトルが壊れてしまうって事で…なら今のショコラは壊れる寸前っていう事!?


思い至ってヴェリウスをみれば、落ち着き払った様子でショコラを未だにじっと見ていた。


『魔力が濃縮されているとでもいうのでしょうか…より純度の高い魔力だけを体内に留めている状態のようです。量というより質が増したというべきでしょう』


質…。要は同じ大きさのゴムで出来た軽いボールか、鉄で出来た重いボールかって事ね。

今のショコラの魔力は鉄で出来たボールみたいになってるのか。納得。


「なら、ショコラが魔力に耐えられなくなって身体が壊れてしまうって事はないんだよね!?」


私の心配事にヴェリウスは優しい声で『大丈夫ですよ』と答えてくれた。

ほっとして息を吐けば、下から「主様が私を心配してくれてる…」と感動したような少女の声が聞こえた。


『それにしてもミヤビ様、あれ程申し上げましたのになぜ名付けをされたのですか』


はぁと溜め息を吐いて私を呆れたように見てくるヴェリウスから目をそらす。

最近やけにヴェリウスの溜め息が増えた気がする。


「ゴメンナサイ…犬より聴力が良いなんて思わなくて…」

「おかげで俺ぁ良い目を見れたがな。ミヤビの貴重な耳打ちに、精力剤を使ってって一言。これでしばらくおかずにゃ困らねぇなぁ」


ハッハッハと笑うロードをぶん殴りたくなる。



「で、どうすんだこのガキ。ドラゴンの時なら放っておいても良かっただろうが、今は人間のガキだぜ?」

「う゛……ウチで育てるしかないよね…」


チラリとショコラを見れば、マカロンの意識をいつの間にか刈り取り、期待した眼差しでこっちをみていた。

マカロンが静かだと思ったら気絶するほどボコボコにしたのか。


『ミヤビ様、ショコラは…「主様ぁ! ショコラも主様のおウチで一緒に暮らしてもいいのですか!?」』


ヴェリウスの言葉を遮ってキラキラした瞳で嬉しそうに言うショコラに頷く他なかった。

子供を森に放っておくわけにもいかないだろう。


「じゃあショコラを結界内に入れるようにしないとね」


ヴェリウスがあんぐりと口を開けたまま目を見開いてショコラを見ている。どうしたのだろうか?


とりあえずショコラが結界内に入れるように願う。


「これでショコラも結界内に入れるよ」

「ありがとうございますー!! 主様大好きですー!!」


ぴょんぴょんと飛んで嬉しさを表現するショコラに、ロードの眉が寄った。


「オメェより俺の方がミヤビを好きだからな」


また対抗してるよ…。

ショコラは大して気にしてないのか「はーい」と適当に返事をして結界の境目に行き、出たり入ったりしている。楽しそうだ。

ちなみにマカロンは結界内に入れると家や畑を壊しそうなので絶対入れない。


しかし、2年前と比べて騒がしくなったなぁ。


尻尾を下げたまま呆然としているヴェリウスと、私を抱き上げてすり寄ってくるロード。そして結界の境目でテンションを上げているショコラに、意識を刈り取られて倒れている割に幸せそうな表情をしているマカロン。


独りでいいと思っていたけど、まぁこれはこれで良い…のかな?




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



【ーー……やっと魔素が満ちたか…まさか2年も動かないとは……っ 忌々しい神王め……まぁいい。せいぜい私の━━の為に働いてもらおうか…】




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