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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第1章

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3.薬の効果と能力の全容

キュポンッと醤油と同じような音で開いた蓋。

匂いは薔薇の香水を滅茶苦茶薄めた、いわゆるローズウォーターのような香りで、飲むのは躊躇われる。

どちらかというと美容液にしたいような液体だ。しかもほんのりピンク色。これで桃の味と香りがしたらなぁなどと思えば、フワリと鼻腔をくすぐったのは桃の香り。

私が望んだからそうなったのだろう。飲みやすくなったのだから良いかと思い一口飲めば、やはりピーチジュースの味でとても美味しい。

量もマグカップ一杯分だった事もあり、調子にのって一気に飲み干した。


「美味い!もう一杯っ」

などとオッサン臭い独り言をつぶやきながら、空になった硝子瓶を机に置いた時、視界の端に捉えたのはやけに小さな手だった。

ん?何だコレ…やけに小さな手だぞ。明らかに幼児の手だ。だがウチに子供はいない。いるのは私だけ。そう、私だけだ。つまりこの小さな手はーーーワ・タ・シ!?


すぐさま納戸に収納してあった姿見を取り出し、自身の姿を鏡に映す。

「オーマイガッ」

鏡に映っている自身を見た瞬間崩れ落ちた。


案の定、姿見に映っていたのは4~5才位の幼児であった。我が家の古いアルバムに貼ってあった、自身の幼稚園時代の写真そのままな幼児が、今目の前の鏡の中に居るわけだ。


「は…ハハハッ」


乾いた笑いしか出てこない。

何だコレ。何なんだコレ。


若返り過ぎだろォォォ!!!


効きすぎだ。36の女がここまで若返って何の得があるというのか。むしろ損しかない。若返るなら20代でいいのだ。23、4が理想なのだ。体型にもお肌にも悩まされないそんな年齢が23、4なのだ。頼むっへっぽこな私の脳ミソよ。そこは考えよう。お願いだから。


ブツブツと項垂れて呟いていれば、いつの間にか身体は大人に成長していた。

鏡を見れば理想の23、4才位の自分が居た。



良かった。本当に良かった。


さすがに幼児はダメだもの。ズボラな幼児は終わってるもの。


そんな事より、自身の能力の全容が見えてきた。

初めは異世界トリップ小説とかでよくある創造魔法みたいなものかと思っていたが、どうやら違うらしい。

この能力、私が望めば何でも叶うっぽいのだ。ただし元の世界には帰れないようだが。


想像力が乏しくても、何らかの形で補ってあるので難しく考えるような事もない。つまり私のようなおバカさんでも扱える万能魔法のようなものだと思う。

ただし扱うものがへっぽこなら能力もやはりへっぽこ…ゴホンッ それなりなわけで、この能力を私に授けて下さったどなたかには悪いが、小説のように能力を駆使して世界を股にかけた壮大な冒険が今始まる! という事にはなりそうもない。残念ながら。


これからこの能力は私の引きこもりライフの為に使われるのだ。諦めてもらいたい。


そして、昨日からここが異世界と決めつけている私だが、果たして異世界なのかは分かっていない。

とりあえず、何かしらの能力付与+森=異世界というのはネット小説では定石なので、異世界だと思い込もうとしているだけだ。

異世界じゃなければリアルな話、人に見つかると土地の権利や税金諸々、法律の壁が怖すぎる。

家が消えたとかになってた日には母に申し訳がたたないし、仕事場にも派遣会社にも迷惑をかけてしまう。

何でも望みが叶うなら、どうか私の存在は初めからなかった事にしてほしい。そして家はこっちがコピーという事で母にはオリジナルの家で幸せに生きてほしい。


あーだこーだと考えていても現実は変わらない。起きてしまった事は仕方ないので、今はここが異世界かどうかを調べる事に徹底しよう。それが一番の精神安定につながる気がする。

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― 新着の感想 ―
[良い点] こういう物語ってDSとかスイッチであるどうぶつの森並みに面白い。未だに家族全員ハマってる。たぶんこの小説は何年たっても、読み返してる気がする。
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