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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第5章

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297.結婚の挨拶10


自分を見なくなったご主人様兼恋人と距離をとっていた頃、現れた若く頼りなげな男。そちらに牽かれていく心の葛藤、そして相手から切り出された別れ。

一時は若い男へと溺れるが、その男もまた大人になり、そして妻子を持ってしまった。


しかし、知ってしまったのだ。元恋人が罰せられ、辛く険しい道を歩んでいる事を!!




もう二度と貴方の手を離したりしない━━━…




うぉぉぉ!! なんという腐女子受けしそうな話!!


オリバーさんの話を聞いていると、私の脳が腐ってくる!!

頭の中ではオリバー×ロードと、オリバー×アーディンに染まっているのだ。

これは是非トモコに報告せねばならない!!


私は一途で可愛らしいおっさんの恋愛模様が好物だが、こういう大人向けのドロドロはトモコの大好物だ。


久々に妄想本を創ってみようかな!




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




という事があったのだ。


なのでオリバーさんはアーディンを探す為にロヴィンゴッドウェル家を去ると決めたのである。

その決意は揺るがないだろう。


「……分かった。お前はこうと決めたら絶対に譲らんからな」


目を閉じ思案していた義父は、オリバーさんに顔を向けた後、表情をゆるめて優しい口調で答えた。


「それに、ロードが出ていった頃から覚悟はしていた」


寂しくはなるがなぁ。と笑う義父に衝撃が走った。

まさかの義父×オリバーか!!!! ロヴィンゴッドウェル家、腐の宝庫!!


オリバーさんはそんな義父の様子に一瞬目を見開くが、すぐに表情を崩し微笑むと、「有り難うございます。グレッグ」と目を細めたのだ。



その後、色々あったがやっと帰れる事になり、ロードが義父や義兄と話している間、オリバーさんのいれてくれた紅茶を応接室でまったり堪能していると、料理人達がやって来て深々と頭を下げられたのだ。


「便所虫が入ったスープをお出ししたなど、料理人として失格です!!」

「この腕を切り落とされても文句は言えません!!」


料理長と副料理長と名乗った彼らは、本当に真摯に料理と向き合っているようだった。


「虫を入れたのは貴方達ではありませんし、むしろ自分の作った料理に虫を入れられた貴方達は被害者だと思っています」

「「ミヤビ様…っ」」


50代位のおっさん二人が目を潤ませ、こちらを見てくる姿から目をそらす。

決して可愛いとか思ってない。思ったらロードに殺される。


「…しかし、虫を入れられたのは厨房でだったと聞きました。オレがもう少し周りを見れていたらと…ッ」

「料理長…っ 違う!! 私が貴方のサポートをしっかり出来ていればこんな事にはならなかった!! 貴方の料理が汚されるなどと…」


な、なんだと!? まさかロヴィンゴッドウェル家…料理人まで腐……!!


「そ、そんなに言うなら仕方ないなぁ~。もう、特別だからね!」


妄想本の新たな案を与えてくれた二人に、罰という理由でロードの作った料理を取り出し渡したのだ。


この世界の材料を使って作ってもらったロシア料理の定番、“ピロシキ”である。

揚げパンの中に挽き肉や玉ねぎ等を炒めて味付けしたものが入っている惣菜パンで、これがとんでもなく美味しい。


「こ、これは…?」

「一体…?」


二人は異空間から取り出した揚げたて熱々のピロシキを手にし(※紙に包んであります)、呆然と私を見た。


「食べてみてください」


私の言葉に戸惑いつつ、料理人としての好奇心が勝ったのか恐る恐る口にした二人は、衝撃を受けたようにカッと目を見開いた。


「何だこれは!?」

「旨い!!! 外はカリカリでサクッとした食感なのに、中はふわっと…っ」

「中の具は“モーリス(※牛っぽい動物の事)”の肉か!! なんという肉汁!!」

「モーリスの肉を細かく潰し、野菜と一緒に炒めたのか? それにしては複雑な味が…大体パンに挟むなど、野菜の水分でべちゃべちゃになるだろうに」

「このピリッとする味は…胡椒か!! 他にも様々な調味料が使われている!!」


と大興奮で、ああでもない。こうでもないと議論している二人は正真正銘料理バカであった。


「次に私達が訪れるまでに、それを作れるようになっていて下さい」

「「え!?」」

「それで今回の事は水に流しますので」




この事が、近い将来この二人を“ピロシキを生み出した料理界の神”、“この世の絶品料理はロヴィンゴッドウェル家にあり”といわしめる事になろうとは、思ってもみなかったのだ。



◇◇◇



「そんじゃ、ガキが生まれたらまた来るわ」

「お前はそれまで一切顔を見せんつもりか!!」


等と別れの挨拶をしているロードと義父の横で、私は義母と義兄姉に色んな手土産を持たされていた。やれ特産品の宝石だの、食べ物だのと…。

断れずなすがままになっていたが、別れの挨拶が終わったロードにお土産ごと抱き上げられてやっと解放されたのだ。


「じゃあな。ああ、親父達にもうひとつ嘘を吐いた事がある」


転移する直前にロードはそう言ってニヤリと笑った。



「俺のつがい、神じゃなく“神王”だから」



そう口にした瞬間、転移してしまった為その後どんな反応があったのかは分からず終い━━━…。


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