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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第5章

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286/303

284.明かされた正体


リン視点



「━━…だからね、新入りの神は膨大な力のコントロールが出来るように修行しなきゃいけないの。で、一日に一回は“かくれんぼ”してコントロール力を磨いてるってわけだよ~」


トモコが説明してくれたのは、“かくれんぼ”とかいう遊びが実は新入りの神様の修行だったという事と、俺が職質したガラの悪いエルフの男が新入りの神様だという事実だった。


「だから何が言いたいかって、遊んでるんじゃないんだよって事なの!!」


キリッとした顔で言い切るが、どう見ても子供の遊びにしか思えない。それより、


「ちょっと待て。この男…この方が神様だって事だけど、住んでる家がここだって…」


神々はこの浮島よりさらに上に浮かんでいる神殿に暮らしてるもんだと思っていたが、このガラの悪い神様は浮島の裏路地にあるわりと小さめの家を自分の家だと言っていたのだ。


「ここに住んでちゃ悪ぃかよ」


ギロリと睨まれて気まずくなり目をそらす。


「い、いや、そういう事では…」


ただ神々の住まいは天空にある神殿だと…としどろもどろに話せば、ああ、あの神殿な。と空に浮いている神殿を見る。


「あそこは神王様の別荘兼神々の宿泊施設だったり会議する所だったりだから、お家ではないよね~」


と笑いながらとんでもない発言をするトモコにぎょっとする。


「し、神王様の別荘!?」


そんな所をあのバカ夫婦は人間に見学させようとしてんのか!?


「リン君どうしたの? 顔色が悪いよ??」

「と、止めないと…っ」

「何を~?」

「ミヤビの奴、よりにもよって神王様の別荘をっ 明日人間達に見学させようとしてんだよ!!」

「みーちゃんが?」


お前の精霊だろ!? 何とかしろよ!! という目でトモコを見れば、


「みーちゃんが良いって言うなら良いんじゃないの?」


と不思議そうに見つめられた。


「何でだよ!? お前ミヤビが神々の怒りをかって消滅させられてもいいのか!?」


ツアー客も全員殺されるかもしれないんだぞ!! と必死で訴えるが、キョトンとした表情のままなのだ。


「何で神王様(・・・)が神々の怒りをかって消滅させられんだ? そんな不敬な神なんていねぇだろ。居たらオレがその神消すっての!!」

「ショコラが消します~」


ガラの悪い神とショコラがおかしな事を言い出し、はぁ? とつい口に出してしまったものだから、ガラの悪い神に睨まれた。


「リン君、神王様が自ら見学しても良いって言ってるんだから問題ないよ?」

「見学しても良いって言い出したのはミヤビだろ? ん? 神王様から許可が出てるって事か??」


どうもコイツらと話が通じてない気がしてならない。


「リン君何言ってるの~。みーちゃんが神王様でしょ」


は…?


「常識です~」

「お前神王様のつがい神様の部下だろ。もしかして人間に神殿穢されたくねぇクチ?」


つがい神様の部下!?


「やだぁリン君、人間が穢れって考えてるの? なわけないでしょ~」


人間が穢れ…? いや、俺も人間だけど? 神様の部下じゃねぇけど?


「穢れてる奴はいるけどな。少なくともツアー客の中には居ねぇよ」


そんな事は聞いてない。


「リン君~? あれ、何か固まってない?」

「もしかしてリンさんは主様が神王様だとは知らなかったのではないですか~?」

「まっさかぁ~。だってトリミーさんもルーベンスさんも、ピンクの王様も知ってるよ。みーちゃんの友達の中でもリン君が一番仲良いし、ロードさんの部下なんだから知ってるって! あ、私はみーちゃんの心友だから規格外の仲良しだからね!!」


ルーベンスさん…宰相か? それと陛下も知って…? いや、本当にミヤビが神王様?


「おい、神王様はミヤビとは似ても似つかない、ご老体の男性だっただろう!?」

「あれはみーちゃんの“器”コレクションの一つだよ~」


何だよ器コレクションって!?


「やだ。リン君本当に知らなかったの~?」


知らねぇよ!! ミヤビは人族の神(オマエ)の精霊じゃなかったのかよ!? それに師団長が神ってどういう事だとパニックになる頭で叫ぶ。

トモコはあれ~? と首を傾げてショコラとガラの悪い神を見るが、顔をそらされてショックを受けていた。





「━━━…で、ミヤビが神王様っていうのは嘘じゃないんだな?」

「嘘じゃないよ~」


混乱してい自分を落ち着かせ、冷静になってトモコに聞けば、そう返事が返ってきたもんだから大きく息を吐いた。


確かに、精霊にしてはちょっとおかしいとは思っていた。常識もないし、神々に対しても精霊とは思えない態度が…なんなら神獣様なんてペット扱いしていた気もする。

ショコラは護衛だと言っていたじゃないか。精霊に護衛なんていねぇよ!! 何で気付かなかったんだよ俺!!


「俺、ミヤビにすげぇ失礼な態度をとってた…っ」

「え~? リン君は私が神だって知っても態度は変わらなかったのにソコで悩んじゃうの~?」

「それはお前が態度を変えんなって言ったからで…ッ」

「みーちゃんだって言ってたでしょ。今更跪いたりしたら、みーちゃんに吃驚されるよ~」


確かにミヤビはああいう奴だから、態度を変えたらおかしくなったと思われそうだけど……。


「リン君はそのままで良いんだよ。トリミーさんもルーベンスさんも態度を変えたり、付き合いを変えたりしてないでしょ。リン君も、“みーちゃんの友達”でいてあげて?」


トモコの真剣な眼差しから、言葉から、神王様ではなくミヤビ個人として見てやって欲しいという事がありあり伝わってきたのだ。


「…俺はただの人間だけど、不敬にはならないだろうか?」

「友達に上も下もないでしょ!! そんな事考えなくていいの! ロードさんなんて、そんな事微塵も頭になくみーちゃんを口説いて口説いて、落としたんだからねッ」


師団長……。


「そういえば、師団長で思い出したが…あの人って人間じゃないのか?」

「ロード様は元々人族でしたが、ミヤビ様と交わる事で鬼神へと進化されました」

「ポケモ○みたいだよね~」


何だポケモ○って。


「て、鬼神!? 鬼神って、あの“鬼神”か!?」

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