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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第5章

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284/303

282.皆で行きたい○○○○!


「さっきこの宿内を一通り見て回ったが、トモコの姿はなかったから部屋に居るんじゃないか?」

「あ~そうかも。ところでトモコの部屋ってどこ?」


騎士らしく困っている人を見過ごせない質のリンは、トモコを一緒に探してくれるというのでお願いしたのだが、肝心のトモコの部屋がわからない事に気付いてムムッと唸る。


「ムムッ じゃねぇよ! 何で知らないんだ!? ったく。宿の従業員に聞いてくるからここで待ってろ」


ロビーの高級ソファに座らされて、そこを動くなよ! と念押しされ、リンは受付カウンターへ行ってしまった。


斜め前…といっても少し離れたソファに、数人が座ってパンフレットを真剣に見ている光景が目に入る。

どうやらどこに行くか悩んでいるらしい。


一応ガイドである私は、彼らに声を掛ける為に席を立った。

動くなとは言われたが斜め前だし大丈夫だろう。



「何を悩んでいるんですか?」


女性2人と男性1人という組み合わせの獣人族らしき人達は私の声に驚き、慌てて姿勢を正し立ち上がった。


「せ、精霊様!!」

「この度はこのように素晴らしい場所へご招待頂きありがとうございます!!」

「しかも精霊様自らお声を掛けていただけるなんて…っ 恐悦至極にございます!!」


3人にすごい勢いで頭を下げられ周りの目が気になってそっとうかがい見たが、ホテルのスタッフは当然だと言わんばかりに頷いているし、ポツポツいたツアー客は羨ましそうに3人を見ているだけだった。

唯一ぎょっとしていたのは受付カウンターにいたリンだ。急いで戻ってくるのが目の端に移った。


「いえいえ、それで…何やら悩んでいた様子だったのでお声を掛けたのですが」


聞けば、やはりどこに行くか迷っていたのだそうだ。


「ミヤビっ お前何やって…」


3人に話を聞いていた時にリンが戻ってきて、私と3人を見比べている。


「リン。彼等がどこに行くか迷ってるみたいだから、ガイドさんとして話を聞いてたんだよ」


畏れ多くも精霊様にお声を掛けて頂きました。と3人がリンに説明し、リンも眉間を押さえながら溜息を吐いて話に加わったのだ。


「実は、“天空神殿”を駅から拝させて頂きたいと思っておりまして…」

「ダメよ!! あそこは神々の聖域ですものっ 畏れ多いわ!! ここから拝するだけでも不敬になるというのに…っ」

「と、このようにさっきから揉めている次第なのです」


成る程、天空神殿は敬虔な信者の彼等にとっては神々の住む場所で、おいそれと近づけないが近くまで行って拝みたいと。


むしろ中に入っても構わないんだけどなぁ。


「今は神々も来てないと思うから、行っても大丈夫だけど?」

「おいっ ミヤビ」


私の言葉に真っ青になったのはリンで、呆気にとられているのは3人だ。


「あ、何なら神殿内案内しましょうか?」

「ば…っ 何言ってんだお前!! 一介の精霊が神々の住まう神殿内に人間なんて入れたら…っ」


リンが止めに入るが、神殿の入り口辺りなら大丈夫じゃないかなぁ? と首を傾げる。


リンだけでなく、何故か3人の顔も青くなっているがどういう事だろうか?


「し、師団長!!」


何故か慌ててバーへと走っていったリンに、何で? という顔で3人を見るが、青い顔で首を横に振られるだけだった。


暫くするとバーからお酒を片手に持ったロードと、ロードに何やら言っているリンが顔を出し、こちらにやって来るではないか。


「リンサン、何でロードサンを連れて来たのカナ?」

「お前が恐ろしい事言い出したからだろうが!!」


何故か怒られたが、ロードは上機嫌に手に持っていたお酒を飲み干すと、「っかー!! これもうめぇな!!」と笑っている。


「で、どうした? てかオメェいつの間に俺から離れたんだ?」


酒臭い息を吐きながら私を抱き寄せたロードに、「ツアー客を天空神殿見学に連れて行こうと思って」と口にすれば、ロードは「あ゛?」と私を見て、リンと3人に目を移す。


「んなとこに何しに行くんだ?」

「何か拝みに行きたいんだって」


私達の話に青い顔の3人は頭を横にぶんぶん振って涙目になっているが、私は気付かなかった。


「拝むだぁ? 神殿に祈りを捧げる場所なんてあったかぁ?」

「入り口の“光の大回廊”を進んだ先にあるホールとかは?」

「ありゃただのホールで祈る場所じゃねぇだろ。それなら“光の大回廊”で祈る方がそれっぽいんじゃねぇか?」

「確かに光が射し込んで綺麗だよね」

「それに、案内するにもそこまでにしねぇと神々が嫉妬すんぞ。アイツらゴシック建築ゾーンにしかまだ入った事ねぇし」

「え? そうなの? 日本建築以外なら入ってもいいのにね」


日本建築ゾーンは別荘なので招いた神でないと入れないけど、と話していると


「あ、あの…私達は決して神殿に入ったり、神々に拝顔させていただこうなどと畏れ多い事を考えてはおりません! 遠くからでも感謝の祈りを捧げられたらと…」


申し訳ありませんと何故か謝罪される。


「いやいや、大丈夫だよ? 神殿案内できるよ?」


そんな畏れ多い!! というやり取りを繰り返していれば、ロードが「なら神殿見学を明日の午前中にでも組んで、皆で行きゃいいんじゃねぇか?」と言い出したので、成る程とそのアイデアをいただいたのである。


「ちょっ 師団長本気ですか!? 酔ってそんな適当な事言ってるんじゃないですよね!?」


神々の怒りを買うんじゃないですか!? と青い顔で食い下がるリンに、大丈夫だよ。と声を掛けるが、お前の大丈夫が一番信用出来ねぇんだよ!! と叫ばれた。

3人には、じゃあ明日楽しみにしててね~と声を掛け、ドラゴンの浮島をさりげなくオススメしておいたが、行ったかどうかは定かではない。

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