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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第1章

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25/303

25.OLのお昼休みの休憩室のごとく

「もう魑魅魍魎蠢く王宮はうんざりだ。ここは隊舎だけどさ」

「オメェ全く部屋から出て来ねぇのに何言ってんだ。大体あの扉の向こうは、オメェの家に繋がってんのを知らねぇと思ってんのか」


この部屋のトイレの扉を顎で指し、頬を引っ張ってくるロードの手をバシバシ叩く。


何故バレた。


「オメェから“シャンプー”の良い匂いがする」


頭上に顔を乗せられてクンクン匂いを嗅がれる。


止めろォ!!乙女になんて事しやがる!


身体を捻ってゴリラの腕から抜け出そうとするが無理だった。


「っとにオメェは仕様のねぇ奴だなぁ」


まるで子供の悪戯を親が優しく見守っているような、そんな目で見られているんだが。いたたまれない。


「1週間も滞在してるフリしてやってるんだから感謝シロヨ」

「一歩たりとも部屋から出て来ねぇクセしやがって感謝も何もねぇだろ」

「お城の見学は1日で飽きたし、騎士団の訓練はロードが連れてってくれないし、後は一体何を見るってんだ。もう居る意味がないんだよ!」


王宮を闊歩すれば罵詈雑言を浴びせられるしね!

特にメイドが怖すぎる。

ヒソヒソ喋っているようで、全部聞こえてくるから!


「城内に部屋を与えられていない時点で、陛下に冷遇されている事に気付かないものかしら」

「庶民はワタクシ達貴族と違い、相手の御気持ちを察知するような教育は受けていらっしゃらないのよ」

「まぁ、教育を受けていらっしゃらないなら仕方ないですわ。ワタクシ、てっきり厚顔無恥な方だと勘違いしておりました。ただ無知(馬鹿)なだけでしたのね」


ホホホ…って、OLの休み時間の如く恐ろしいから。

女って集団になると騎士団より強いから。


「オメェは観光客か。っとに、見るもんならここにあるじゃねぇか」

「あ゛?」

「俺だけを見てりゃいいんだよ」


…………。


「そういうのいいんで。それより王都名物とかないの? 美味しいものが食べたいよ~ママぁ~」


ロードの膝の間でバタバタ暴れていると呆れたような顔をされる。


「滅びそうになってたってのに、んなもんあるわけねぇだろ」

「ですよねー」


ならば仕方ない。


「ヴェリウス~お家に帰りますよ~」


大声を出したわけでもなかったが、さすが犬。聞こえたらしく尻尾を振りながら部屋の扉を開けて飛び込んできた。


『やっと帰るのですか。私、もう人の相手は疲れました。毎日毎日朝から晩までまとわりついて』

「うん。子供達に大人気だよね。ヴェリウスさん」


ヴェリウスは子供に大人気で、さながら遊園地の人気アトラクションの如く、120分待ちです。の勢いで並ばれて触られたり乗られたりしているのだ。

勿論大人がそれをやろうとすると、ヴェリウスが噛み殺す勢いで怒るので子供限定だが。


ウチの子、こう見えて子供好きなんです。

母性本能でもうずくのか?

さすがメス犬だけはある。


「おい犬っころ。ミヤビに近付くんじゃねぇ」

『貴様こそミヤビ様に触れるな』


また言い合いを始めたよ。コイツら顔を合わせば喧嘩するんだよね。ゴリラと犬、さすが犬猿の仲。


『ミヤビ様~さっさとここを出ましょう』

「ちょっと待て。ミヤビが帰るなら俺も騎士団を辞めてそっちに行くからな」

『調子に乗るなよ小僧。ウチにお前の住む場所は無い』

「テメェが調子に乗るんじゃねぇよ。あそこは俺とミヤビの家で、テメェの家じゃねぇよ」


お前ら二人とも調子に乗るなよ。あれは私の家だ。


この後メンチの切り合いから取っ組み合いの喧嘩に発展し、隊舎の庭で剣と魔法の殺し合いが始まったのはいつもの事だ。


「相変わらずスゲーわ。第3師団の師団長。神獣様の魔法に対抗できるのってあの人ぐらいじゃね?」

「魔法を剣で捌くとかどんだけだよ」

「お、また訓練やってんの?ウヒョー、師団長パネェ!!」

「あの人、人間やめてんじゃね?」


等と騒ぎを聞き付けて騎士達がやってくる。

もう名物と化している喧嘩だ。まぁ騎士達は訓練だと思っているが。


私は部屋から窓を開けて奴らの喧嘩をみています。

ザ・異世界って感じで結構面白いからね。もうこれを見る為にここに居るようなもんだよ。


で、この後は大概ストレス発散したゴリラと犬がすっきりした顔で私の部屋に戻ってくるパターンなんだが…


コンコン。


部屋の扉をノックしてくる音で、今日はパターンが違う事に気が付いた。


「…どちら様ですか?」


扉は開けずに声をかける。


「警戒させてしまい申し訳ない。怪しい者ではなく、この国の国王をやっている者だ。ここを開けてもらえないだろうか」

「怪しいのでお帰り下さい」


間髪入れずに拒否してやった。


国王が、“私はこの国の国王をやってる”なんて名乗るわけねぇだろ。むしろこんな粗末な隊舎に来るかボケ。そんなん私でもわかるわ。


そんな事を思っていると、喧嘩を終えたロードとヴェリウスの足音が部屋の外から聞こえてきた。今日は終わるのが早いな。だが好都合だ。


よしっ二人共、不審者を追い払え!!


「あ゛? 陛下じゃねぇか。俺のつがいの部屋の前で何してんだコラァ」



本当に国王かよォォォ!!??

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