表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第5章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

238/303

236.大人


ロード視点




「━━…何だその目は」


パンッと乾いた音が部屋中に響く。目の前の男に頬を叩かれたのだ。

拳でないだけまだマシだと唇を噛みしめて前を見据える。


「僅かな食料しかないというのに、分けてやっている私に対して向ける目ではないように思うが?」


髪の毛を掴まれ引き寄せられた。

まだ子供のオレでは大人(コイツ)には力で劣ると思うと、悔しくてきつく拳を握り我慢する。

こんな奴、大人になりゃボコボコにしてやるのに!


「誰のお陰で雨風もしのげて生きていけると思ってるんだ」


お前じゃねぇよ。それは建物のお陰だ馬鹿野郎が! と心の中で叫ぶ。本当に口に出したらきっと殺されるだろうから言えないが。


「フンッ 役にも立たんガキを置いてやっているだけ有り難く思う事だ」


普段ならこの後殴られたり蹴られたりするが、今日は機嫌が良いらしい。

どうやら自分の息子が“聖魔法”の適性があったとかで、“聖人”になるだならないだと浮かれてるんだと。


バカバカしい。何が聖人だ。テメェら親子はオレらからしたら悪魔だよ。

信者からは根こそぎ奪い、ガキには暴力を与える場所。それがテメェら悪魔親子が君臨する教会だ。


魔法なんてもんはこの世界で使える奴なんてほとんどいねぇんだ。魔力があるとすぐ死んじまうらしいからな。

だから聖魔法(・・)って言ってるが、あれは多分魔法じゃねぇ全く違うもんなんだとにらんでる。黒魔術とかそんな呪いみてぇなもんだろう。


大体、その適性なんてもんの調べ方も怪しいんだよ。

王都にある教会でしか調べられないとかで、大昔は王侯貴族から一般人まで調べてたらしいけど、今じゃ廃れて教会関係者だけが遊びでそんな事をしているって酒屋のおっさんが言ってやがった。

遊びかよ。と思ったがこんな何もねぇ世界じゃそんぐれぇしか娯楽はねぇしな。


とはいえ、こんな田舎の町…つーより村みてぇな場所からわざわざ王都まで娯楽の為に行くなんて“トレイク”の教会は余程金や食料が有り余っているらしい。

こっちは日々の飯にも困ってるってのに━━…




***




また昔の夢だ。

早く大人になりてぇって思ってたガキん頃の……。


最近王宮で教会の人間をよく見かけるせいで神経が張りつめているからだろうか。

ミヤビには王宮に近付くなと言い聞かせているが全く聞いてねぇし。

まさか世界会議で各国の首脳が会議している場に行く事ぁねぇだろうが……心配でたまらねぇ。


と、さっさと警備の配置決めねぇと。


転た寝した遅れを取り戻そうと騎士の名前と所属、経歴等が書かれた書類を手に取り、配置図の中に記入していく。

レンメイなら部下の顔と名前、経歴や特技も覚えているんだろうが、生憎俺にゃそんな頭はねぇしなと地道に書類を見比べながら作業する。溜息しか出ねぇ。

この作業、レンメイが変わってくれねぇかなぁとやり始めたばかりなのに書類を投げ出し天井を見上げた。


「ダメだ。やる気が全く出ねぇわ。こりゃミヤビを補給するしかないな」


立ち上がり首をゴキゴキ鳴らすと、帰宅用の転移扉へと向かったのだ。

愛しい嫁を(R18の意味で)抱く為に!



◇◇◇



夜の12時を過ぎている為、家の中の電気は全て消されて真っ暗だった。皆寝静まり随分と静かだと思う。


ヴェリウスの気配は無いようなので外出しているのだろう。


音をたてないよう階段を上り、ミヤビの部屋の前で少し身形を整える。クリーン魔法で綺麗にすると小さめにノックをして部屋に入った。


ああ、ミヤビの甘い良い香りがする。


すん、と香りを吸い込み少し緊張しながらベッドへと近付けば、俺の可愛いつがいがすやすやと眠っている。


「ヤベェっ 可愛すぎる!」


口元を押さえニヤつく顔を隠しながらその寝顔を眺めていると、疲れた心が癒されるのだ。


「ミヤビ」


寝ている所悪いとは思う。俺だって寝かしてやりてぇよ。けど、こんなに可愛いつがいがベッドに居るってだけでムラムラすんだよ。人族の本能だから。まぁ今は鬼神だけどな。


「なぁ、ミヤビぃ」


柔らかな髪を梳くように撫でながら声を掛けると「ん…」と身動ぐつがい。それがエロくて体が熱くなってくる。

早く抱きてぇ。それしか考えられなくなってくるのがまさに本能だ。


「……ん?」


パチリと目を覚ましたミヤビと目が合う。その途端ビクッとミヤビの体が跳ねたので、抱き締めて謝った。


「驚かせて悪ぃ。俺だ」

「……ロード? あれ、もう朝??」


寝惚けているらしいミヤビを押し倒すと、目を見開きちょっと待てと抵抗してくるのでいつものように頬擦りをして甘えまくる。

ミヤビは甘えられるのが好きなようだから、こうすれば頭を撫でてくれたり抵抗しなくなるのだ。


「ロードさん!? これはR18小説じゃないよ!?」


何を言っているかわからねぇが、今は夫婦の営みの時間だ。じっくり愛し合おうじゃねぇか。


「おいぃぃ!? 話を聞け!!」

「ミヤビ、愛してる」


ガキの頃から早く大人になりてぇって思ってたが、つがいに出会ってからつくづく思う。



大人って良いもんだよな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ