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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第5章

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222/303

220. 友を慕ぶ


カルロ視点



「カルロの良いところは、いつも皆に気を配ってさりげなく何かをしてあげたりするその優しさだよな」


そう言ったのはあの男だった。


あれは各師団の師団長が集まる飲み会の席だったか。

私が無くなりそうになっていた酒に気付いて注文した時、向かいに座っていた“トーイ・ヒューバート・レブーク”…当時第4師団長だった男に突然言われたのだ。

トーイは無愛想で口の悪い横柄な態度のロードと正反対の、人当たりの良いいつもニコニコしていた男で、周りの雰囲気を明るくするような人柄だった。

なのにロードとトーイは何故か親友という関係を築いており、なんとも不思議だと思っていたものだ。


何だい突然? そう驚いて返した記憶がある。

彼は何と言っていたか……そう、確か━━…


「突然じゃないけど? ずっとそう思ってたし、皆もそう思ってるから。だから女にモテモテでも妬まれて恨みをかったりもしないんだろうけどな~」


ニコニコと笑うトーイの言葉に追随してロードが「お前の周りの女共うるせぇからなんとかしろよ」と顔をしかめてきたんだったか。あの頃のロードはつがいもおらずピリピリしていたから。今は別人のように穏やかだけどね。


「ロードは自分につがいが現れないからって人にあたるなよ。いつかお前にもつがいが現れるさ」

「ぁ゛あ゛? あたってねぇよ。つがいなんて邪魔くさそうなもんこっちから願い下げだっての」

「ばっかだなぁお前! つがいが現れりゃその考え、100%変わるからな!!」

「変わらねぇよ。バカバカしい」


なんて言い合ってたが、トーイはその後私に「アイツにつがいが出来た時は、アイツが言ってた言葉全部つがいに暴露してやるんだ」と宣言していたな。生きていればミヤビ殿の前で暴露話をして騒いでいたんだろうと、つい口元に笑みが浮かぶ。


「何思い出し笑いしてんだよ。エロい事でも考えてたのか? 色男」


突然後ろから声を掛けられたのだ。

丁度思い出していた男の1人だった事に目を瞬き、ロードと名前を口に出した。


「いや、君が昔トーイに言っていた言葉を思い出してね。確か“つがいなんて邪魔くさそうなもん願い下げだ”と言っていたなぁ、とね」

「だあぁぁぁ!!!? おま、それミヤビに言ってねぇよな!? 絶対ぇ言うなよ!? 頼むぞ!? お願いだからっ」

「ハハハ。今日がトーイの命日だからかな。彼が生前やりたがってた事を叶えてあげたいと思っているんだが、どうだろうか?」

「いやいやいや、トーイも死んじまってんだから余計な事はすんなって思ってるって! 何しようとしてるか知らねぇが嫌な予感しかしねぇ!!」

「トーイが言ってたよ。いつかロードにつがいが現れたら、絶対暴露話をそのつがいにしてやるって」


トーイのようにニコニコ笑いながら話せば、ロードは顔を真っ青にさせて叫ぶのだ。

成る程、トーイがからかう気満々だった理由が分かった気がした。これは面白い。

あのふてぶてしくも横柄で強面なロードが、焦って下手に出てくるなんてね。

つがいが居るだけでこうも変わるものなのだと人族の七不思議の一つに色々考えさせられたのだ。


「そういえば、トーイの息子の…“アナシスタ“は元気にしているかい?」


確かトーイの息子は第3師団の副師団長としてロードを補佐していたが、ダンジョー公爵と共に反逆者として処罰されたと聞いている。つがいが病にかかりそれを助ける為に犯罪に手を染めたのだとか…。


「……ああ。冒険者として頑張ってるよ」


ロードは自身を裏切った彼を、今でも見守っているらしい。

王都からは追放されてしまったが、ロードの知り合いのギルドで冒険者として一からやり直しているアナシスタのそばには、いつもつがいが寄り添っているとか。


とても優秀な騎士で、トーイの後継として期待されていたが残念でならない。

魔素が満ちるのがもう少し早ければ…皆がそう思っているが、口に出さないのはそれが自分勝手な考えだと理解しているからだ。


「そうかい。元気ならそれでいいんだ」


もしアナシスタが罪を犯さなければ、もしトーイが生きていたら、もし私が王として頑張れていたら……そんな考えが頭の中を駆け巡るが、私は頭を振りロードへと顔を向けた。


「今日は久し振りにレンメイも誘って飲みに行かないかい?」

「最近は全然飲みに行ってねぇしなぁ…ま、仕方ねぇから寂しい独身男共の飲みに付き合ってやるよ」


まったくコイツは…これはもう、ミヤビ殿に昔の暴露話をする事決定だな。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ダンジョー公爵:

ルマンド王国、前王の兄で現王の叔父にあたる。第1章の悪役。

現在犯罪奴隷として強制労働中。



アナシスタ・ベルノ・レブーク:

ロードの親友、トーイ・ヒューバート・レブーク第4師団長を父に持つ。両親共すでに亡くなっている。

つがいの病を治す為にダンジョー公爵側についた。

元第3師団副団長。



※忘れた方は最初の方を読みなおして下さるとより詳しく知る事が出来ます。

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