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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第4章

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219/303

217.一件落着とは言えないが


この世界の人々は数多の神を信仰している。

何故なら、種族ごとに神は居り、それらは皆人間達を守護してくれる存在だと思われているからだ。

だからこそそれぞれの国の街や村ごとに教会が存在するのだが、どこの教会にも共通点がある。


それは、創造神である“神王”を必ず祀っているという事だ。


“神王”とはこの世界を創った神で、神々もまた“神王”が創ったとされる。

中でも“創世の神”と呼ばれる神々は、世界と同時に生まれ“神王”に最も近い存在だ。


竜神・神獣・魔神・獣族の神・エルフ族の神・人族の神・竜人族の神・ドワーフ族の神・小人族の神・巨人族の神


この10神が創世の神と呼ばれている。

その他の神々はこの10神誕生後の数千年のちに創られたと言われる。


本来この10神は他の神々のように寿命もなく、代替わりする事もないが、つい先日10神の中で初の代替わりが行われた。


エルフ族の神である。


彼は他の10神(ドワーフの神を除く)とは違い、妻を娶り子を生ませ、そして自身の血が繋がる者を増やしていったのだ。

しかし妻を喪った時から、子を喪った時から、寿命のないエルフ族の神は考えるようになった。


“亡くなった者の魂は世界に還り巡る。ならば私も世界に還ろう”


そうして前代未聞の創世神の世代交代が起こったわけである。



話は逸れてしまったが、とにかく教会とは、そんな10神の他にも様々な神を祀る、日本でいう神社のようなものである。


ルマンド王国には多種族が住んでおり、様々な種族に対応出来るように、一つの教会に数多の神が祀られている場所もある。

勿論人族の国ではあるので、それとは別に人族の神の教会もあるのだが。


つまり、他国に比べ教会の数は多いといえるのがルマンド王国等の人族の国であった。


しかし他と比べても信心深い教会関係者が近年、とてもそうとは思えない行動をしているとの噂が広まりつつある。




と、ヴェリウスから聞いたのはつい今しがただ。


成る程、織田信長の比叡山焼き討ちの様相を呈してきたぞ。と考えながらさっき意味深に呟いていたロードを見上げた。


「教会ねぇ…」から何も喋らなくなったロードの眉間には、深いシワが刻まれている。


「ロード、教会が気になるの?」


思いきって聞いてみるが、ん? ん~…いや。となんとも煮え切らない返事にモヤモヤが募る。


「んな事より、今回の事はほぼ解決したみてぇだし、後は宰相やレンメイに任せて帰ろうぜ」


確かにリンの次期王様の件は人間に任せた方が良いだろうし、ジュリアス君と精霊さんの件は謝罪も受けたから後は二人の問題だ。トリミーさんに会うか会わないかは本人次第だし、神域侵攻の件は神罰(?)も与えた。

ただ何かモヤっとしてるんだよね……なんだろう?


「ミヤビ?」


ロードに顔を覗き込まれてハッとする。


「あ、えっと…」


ヴェリウスやトモコの顔を見てロードを見れば、蕩けるように微笑まれたのでドキリとした。


「ウチに帰ろっか」


そう言えばヴェリウスは尻尾をブンブン振り、トモコはうんっと大きく頷いていたので家に転移したのだ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




ルーベンス視点



「ルーテル宰相、教会の調査とはどういう……」


神獣様に指示され、教会の調査の許可を陛下から貰う為に訪れた国王の執務室。

私の言葉に戸惑いを隠せないルマンド王は困ったように眉尻を下げた。

まだ若いこの王は腹芸が得意ではない。そもそも王族に生まれながらも王になる事を想定されていなかった方だ。


魔素の枯渇で王族が亡くなったのは何もスドゥノーム国だけではなかった。

同じようにルマンド王国でも、前王、王太子、それに続く王位継承者が次々と亡くなり、末の王子であった現国王と前王の兄しか残らなかったのだ。

しかしこの方は、まだ幼いにもかかわらず王となる事を決めた。国を守る事を決めたのだ。

“つがい”が居たからという事もあるだろう。

人族とはどんなに弱々しい者でも“つがい”の為ならばどこまでも愚かに、強くなれる種族だ。



この若い王を見るといつも思うのだ。

カルロ様をあのように劣等感で動けなくさせてしまったのは私だろう、と。


「ルーテル宰相? あの、聞いてま、す……?」

「教会の調査依頼は神獣様です。今すぐ許可を」

「神獣様!?」


ヒィィッと悲鳴を上げて王印を書類に押す。

気の弱い方だが、この国が平和なのもこの方の人徳によるものが大きいのだ。


「では失礼します」

「あ、う、うん。ご苦労様!」


涙目だが、必ず部下に労りの言葉をかけるこの王は良い王なのだろう。


王の執務室を出ると、今回調査を任せる人員のいる場所へと足を進めた。


厄介な事に教会とは国家とは別物と考えられており、国と同等の権力をもっているのだ。


カルロ様の率いる第2師団はルマンド王国の貴族の子息が多く在籍しており、王侯貴族の集まる場での警備や調査をメインとしている。従って今回の教会の調査もカルロ様の師団担当となる。


カルロ様の執務室の前まで来ると扉をノックし返事を待つ。そしてゆっくりと扉を開いた━━…


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― 新着の感想 ―
[一言] 相変わらず国王の蚊帳の外っぷりWWW もうルーベンスが王になった方が良いだろWWW
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