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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第4章

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212/303

210.原因


ルーベンスさんの発言に精霊さんを見れば、


「バイリン国は、ジュリアス様の神域に侵攻しようとしていたから…っ」


と言うので確かにそんな話をしていたなとヴェリウスとルーベンスさんに視線を戻す。


「とはいえ私はただの人間ですし、まさか国を巻き込むわけにもいきませんから……そんな時にミヤビ殿の紙の件で神獣様に提案されたのです。“紙の権利を渡す代わりに、貴様をもらい受ける”と」


ヴェリウスーーー!!!?

何言ってるの!? 紙の権利の対価がルーベンスさん自身って!?


「しかし、紙の権利はあくまで“ルマンド王国”の問題であり、精霊様に関しては私事であった為に交換条件は受けられない旨を御伝え致しました」


そうですね!! 断って当然だと思いますよ!!


『この男は頑なで、国の問題と自身の問題は別だと言い張りました。ですので、 紙の権利はルマンド王国から相応の対価を要求し、ルーベンスに対しては精霊とバイリン国を何とかする代わりにもらい受けようと再提案致しました』


どうしてもルーベンスさんが欲しいんですかぁぁぁ!!!?


「お受けしました」


受けたの!? その提案受けちゃったの!?


「もうちょっと自分を大事にした方が良いと思いますよ!? ヴェリウスも人間を対価にしちゃいけません!! どうするの!? 生物(ナマモノ)ですよ!?」

『ですがミヤビ様、この男は使えます。手の内に入れておいた方が得策かと』


何に使うんですかァァ!?


「いや、でもルーベンスさんはルマンド王国の宰相だし!?」

『ミヤビ様、もらい受けるとは言っても宰相を辞めて神域に住めと言っているわけではありません。ただ、ミヤビ様が望まれる事をする為に利用する駒とするだけですのでご安心下さい』


余計安心出来ないんだけど!?

ルーベンスさんもこんな事言われて何ともないんですか!! と叫んでみるが、彼は悟りきったような表情で


「今の生活を変えずに神にお仕えできるのならば好条件ではないかね」


と断言した。

そりゃあバイリン国の問題や精霊さんの問題が一気に解決するし、好条件ではあるけども!?


「ロードは良いの!?」


確かルーベンスさんとは犬猿の仲だよねと振り返れば、「このおっさんが不審な行動取ってやきもきさせられるよりゃ、協力者としてミヤビの暴走を止めてくれる方がよっぽど良いじゃねぇか」とやる気のなさそうな声で言うので太腿をバシバシ叩いたが、何だよ、構ってほしいのか? と勘違いされて抱き締められたのでイラッとした。


『色々とございましたが、監視している限りこの男は問題ないと判断しました。よって罰は必要ないと考えております』


脱線していた話を軌道修正したヴェリウスは、そう訴えてきたので頷いた。


「そうだね。ルーベンスさんは巻き込まれただけのようだし、彼は元々不穏な事なんて考えていないしね」


ステータスを見た時にその事は分かっていた。だからこそこちらの世界の父親のように慕っていたのだし。


『そのようですね』


私を見上げてくるヴェリウスが可愛らしくて頭を撫でようと手を伸ばすがロードにその手をとられて触れなかった。


『ルーベンスよ、貴様も今回に関しては巻き込まれた被害者。魔神と精霊を前にして何か言う事はあるか? 怒鳴るなり何なり、今回ばかりは目をつむろう』


ルーベンスさんはこの言葉に首を横に振ると、


「…私は魔神様にも精霊様にも深く感謝しております。神獣様は私を被害者だとおっしゃったがそれは違う。魔神様も精霊様も、我々魔族を守ってくださっていたのだから…」


と穏やかな声で語り出した。

ジュリアス君はそんな彼を何も言わずにじっと見つめていた。

当事者の精霊さんは、ルーベンスさんの言葉に瞳を潤ませてごめんなさいと口に出していたのでこんな暴走は二度と起こさないだろう。



◇◇◇



皆が見ている中での話し合いの結果、精霊さんとルーベンスさんは和解し、ジュリアス君も反省したという事で許されやっとソファに全員で座る事が出来ている。

そして今、皆で顔を突き合わせて話し合っているのはバイリン国の事である。


グリッドアーデン国という人族の国をフォルプローム国と共に狙っていたと考えられていたバイリン国だが、今は何故かジュリアス君の神域に侵攻中なのだとか。


そもそもバイリン国が神域に狙いを変えた理由は、深淵の森に冒険者が入った事にあったのだとルーベンスさんは言う。


神域に人間が侵入する事は可能だとルマンド王国が狩りの解禁を発表してしまったが故に起きた出来事らしい。



つまり、原因はこの私にあったのだ。

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