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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第1章

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17.訪問者っていつも突然だよね

ヴェリウスを飼いだしてから1ヶ月。


美味しい食べ物に誘われて飼う事にしたが、ヴェリウスが美味しいといって狩ってくるウサギのような動物や、鹿のような動物を生で食べろとすすめてくる。何でもそれが一番美味しい食べ方らしい。


そう。ヴェリウスは犬だった。


『ミヤビ様、私は犬ではなく狼ですが…』


狼も犬も同じようなもんだろう。


『全く違いますから』


ヴェリウスはどうやらツッコミ体質らしい。


『ミヤビ様がボケ体質すぎてツッコまざるを得ません』


初めの頃のひれ伏すような態度とうって変わり、この心に突き刺さる冷たい言葉と目。1ヶ月という月日の流れはこうも犬の心を変えるものなのか。


『やめてくださいっ私の心は最初から変わっていませんから! 後犬じゃありません。狼です』


あーそう。というかさっきから私の心の声と会話するの止めてくれない?


『…全部声に出してますよ』

「ウソ!?」



ひと月で主従関係というよりは友人(犬)関係を築いた私達。

人間不信な私だが、相手が犬という事もあり、すんなり受け入れられたのだろう。


そんなヴェリウスだが、当初3メートルもある巨体だったので外で飼う気でいたのだが、サイズを変えられると本人(犬)が言い出したので、それなら縮んでもらいたいとお願いすれば、本当に小さくなった。

中型犬位の大きさに変化したどや顔のヴェリウスは、『これで家の中に入らせていただいてもよろしいですか?』とおずおず聞いてくるので、抱っこして家に連れ込んだのだ。計算高い奴め。


それから一緒に暮らし始めたが、その暮らしぶりは犬そのものだった。

最初の3日は緊張していたのか礼儀正しかったが、段々リラックスしてくれば、私と同じようにソファの上でお腹を出して寝ていたり、温泉に入ってくつろいでいたりと飼い犬まんまであった。

ちなみに亡き愛犬クーちゃんも、よくソファに転がって仰向けで寝ていたものだ。


食事は自身で狩ってきたものを生で食すワイルドな一面もあったが、それ以外は神様とは思えない飼い犬っぷりだ。




そんなダラダラとした生活で気を抜ききっていた頃だった。


いつもと同じように私がソファで寝転がって本を読み、ヴェリウスがラグマットの上で仰向けに眠っていた時だ。


突然、結界外にいる魔獣達が家の周りに集まって来たのだ。


さすがのヴェリウスもそれに気付き、身体を伏せの体勢にして、耳を動かしている。


『主様、こちらに何者かが近付いて来ております』


伏せの状態から立ち上がり、窓から森を眺めだしたその姿は、凛々しいドーベルマンと重なる。

なんという頼もしさ。


この森には騎士団の師団長でも苦戦する魔物がいるというのに、さらに強力な魔物に守られているここに近付いてくるという事は、 ロードが来たのだろうか。

彼には魔物避けの御守りをあげたから、ここまで来る事は容易だろう。


警戒しているヴェリウスにロードの事を伝えようとしたその時、ガサガサと草木を掻き分ける音がして人影が現れた。


窓越しに見える人影は、木漏れ日を受けてキラキラ光る金色の髪と、碧の瞳を持つ青年だった。

身長はロードより低いが、それでも180センチはありそうだ。

外国人モデルのような細マッチョな体型に、端正な顔立ちをしているまるで王子様のような人物に厄介事の匂いを感じ、顔をしかめた。


ヴェリウスも鼻の頭にシワを寄せ、青年を睨んでいる。


『ミヤビ様、喰い殺しましょうか』


ウチの犬は物騒だ。

やめろ、とヴェリウスを止めて青年の様子を見る事にした。



「“ミヤビ様”!! どうか、どうかお姿をお見せ下さい!!どうか…っ」



私の名を呼んだ、“見ず知らず”の青年はそのまま結界の前に跪いたのだ。

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