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異世界で神様になってたらしい私のズボラライフ  作者: トール
第1章

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10.私は魔物の女王様!?

「…剣持ってて、マッチョで、毎日欠かさず鍛練して

、勇者でも冒険者でも、宿屋の主人でもないならもうその三択しかなくない?」


私の言葉に明らかにホッとした顔をするロードは、腹の探り合いは苦手なタイプのようだ。


「まぁ、さっきポケットに忍ばせた植物と軟膏は、個人的に欲してるというより帰ったら専門家に渡して調べてもらおうって感じだったし、私を見る目は常に観察してますって目だし」


ロードの目付きが鋭くなる。

私が気付いてないとでも思っていたのだろうか。


「それで、私は何で監視されてたのかな?」


私が興味を持ったのは、騎士が何故この森にいたのか。何故必要以上に監視していたのか、の二点だった。



思い起こせば最初からおかしかったのだ。

2年も人に遭う事がなかったこの森に、人が入ってきた事。そして半ば強引にここへ住むと言い出した事。


ロードが騎士だとしたら、国の命令で何かを調べに来ていたのだとしたら、辻褄は合う。

例えばこの森で何かが起きていた、とか。

この森が原因で何らかの異常が起こった等の理由で調査に来ていたなら追い出そうとしても出ていかないだろう。




「……悪かった」


しおらしく頭を下げるロードにぎょっとした。


「何が?」

「オメェを騙すような真似をした事だ…」


別に何も騙されてはいない。軟膏や植物をポケットに入れたのは手癖が悪いな、とは思ったが。

それとも、名前や独身だという事が嘘だったのだろうか?

そんな事を伝えれば、ロードは慌てて否定した。


「っ…名も、独身だという事も嘘じゃねぇ!!」


独身って所は、同じく年増で独身な私が言うのもなんだが、嘘の方が良かったんじゃあ…。


「まぁ、どこからどこまでが嘘かなんて分からないけど、その辺はいいよ。私が知りたいのはこの森に来た理由」


軟膏や道具を片付けてロードに向かい合う。


「教えてもらえるかな?」


一瞬戸惑いを見せたロードだったが、刹那、顔付きが変わった。




「……改めて、俺はルマンド王国、王立騎士第3師団・師団長のロード・ディーク・ロヴィンゴッドウェルだ。この“深淵の森”の調査を目的にやってきた」


成る程、ここは“深淵の森”というのか。ベタだな。


「調査って?」


聞けばロードは呆れた顔を向けてきた。


「ミヤビ、オメェ本当に何も知らねぇのか」


どういう意味だろうか?

ロードの言葉にキョトンとしていると、ため息を吐かれる。


「…この深淵の森に住む魔物が最近…と言ってもここ2年の間だが、レベルが上がって活発化してんだよ。

まぁ、ここの魔物は森からほとんど出てくる事はねぇが、稀にこの森にしか生息してねぇ植物や生物を求めて人が立ち入るもんでなぁ。

そういう奴がものすげぇヤベェのに襲われて大ケガを負ったり死んだりする事が増えたんだ。

ほら、俺が怪我を負わされた爪の鋭い魔物覚えてるか?

“ディルバ”っつーんだが、奴らも通常は俺1人で倒せるぐれぇの強さなんだぜ」


あのモグラに似てる魔物の事かと頷く。

というかあんなの1人で倒せるの!?


「で、国がギルドに森の調査を依頼したんだが、この森に入った冒険者はことごとく帰って来なかった。それで俺ら騎士団が調査に乗り出す事になったってわけだ」


おー。“ギルド”。あるんだな、“ギルド”。


しかし、師団って、旅団より大きくて軍団より小さい集団だよね? そんな団の師団長が何で1人でここまでやって来たんだろうか?


顔に出ていたらしく、言いにくそうではあったがその答えが返ってきた。


「あ~…その、あれだ。ちょうど暇してた時にその依頼が目に留まってな…ハハッ」


つまり仕事をサボってた時に依頼を見つけて勝手に来ちゃったという事か。


「運悪くあのディルバ共に遭遇してな~。あん時ぁ、オメェが助けてくれなかったらヤバかったぜ~」


ハハハと豪快に笑うロードに胡乱な目を向けると顔を反らされた。


「で、魔物が強くなった理由は分かったの?」

「いや、だからこうしてオメェを観察してたんだよ」


はぁ?

意味が分からないんだが。何故それで、私が観察されなければならないのか。


「オメェ本当に分かってねぇんだな」

「どういう事?」

「…この場所に近付く程な、魔物の数が増していったんだよ。それに、オメェがここに来たのは“2年前”だって言ってただろ」


嫌な汗が背中を伝う。


畑で収穫しながら魔物に挨拶した時、頭を下げられた気がした事を思い出した。



「奴らのレベルが上がり活発化し出した時期と重なる上に、この場所を守るかのように増えていく魔物共。となると、原因は……」


私を見ているロードに後ずさる。




「まさか…まさか私は…っ 魔物の女王様!?」

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