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閑話休題 雄介の想い、リノンの想い。

「…。」

僕は日記をそっと閉じ、カレンダーを目にする。

時は2月半ば。

日記が現れてから、約6か月が経過している。


「…リノン…。」


最初は駆け出しの勇者だったが、今では魔王城のそばで

経験値稼ぎをしている。


「…現実にいるのかい…。」


いや、リノンは異世界に居る。

だから、現実世界には居ない。


「…よくわからないよ…。」


こんな状況、わからない…。

もしかすると、架空の人物かもしれない。

…現実世界からすると、架空の世界だけど…。


「…僕はリノンを信じるよ…。」


リノンは魔王城の手前まで頑張ったんだ…。

そのリノンを僕が信じなくてどうする?


「…うん!」


僕はその迷いを振り払う。

まっすぐに…リノンを信じて見せる!


「…。」


ふと、ノートが消える話しを思い出す。

少なくとも、リノンが魔王を倒すと、

どうなるかわからない。

でも、異世界ではハッピーエンドになることは、

間違いない。


「でも…。」


僕たちには、ハッピーエンドになるのだろうか?

日記が消えない保証はない。

そういえば、ゲームでも勇者自身はハッピーエンドなのだろうか?

とあるゲームでは、お姫様と結婚して幸せになってる。

また、とあるゲームでは、その後の勇者の表現がされていない。


「…この物語は、リノンも幸せにならなきゃいけない!!」


僕は、リノンを信じぬく…。

何があろうと…。

たとえ、日記が消えても…。


「…リノン、絶対に幸せにしてやるからな!!」


僕は覚悟を決めた。



・・・・・・・



「…。」


私は異世界の住人…。

でも現実世界は聞いたことがある。

ユウスケは、絶対に向こうにいる!

それはわかる。

けど…。


「…魔王…。」


勇者の使命を受けている…。

倒さなければならない…。

でも…。


「私のハッピーエンドって何かな…。」


魔王を倒せば、この異世界は幸せになる。

でも、勇者はその後どうなったんだろう?

幸せにその後を生きたのだろうか?

聞くところによると、隠居して細々とくらしたり、

婚約者と結婚したりしたと聞く。


「…ユウスケ…。」


私にとっては、ユウスケが一番。

ユウスケと離れたくない…。


「…お姉ちゃん…。」

「…私、魔王を倒すの、怖くなっちゃった…。」


いつもは頼もしいお姉ちゃん…。

なのに、今日はシルビィに弱音を吐いてしまった…。


「…。」

「ねぇ、お姉ちゃん…。」

「…。」

「辛いときは、泣いてもいいんだよ?」

「!?」


…シルビィ…。


「優しいのね…。」

「私、お姉ちゃんに一杯教わったからね。

私にとっては、大切なお姉ちゃんなんだから…。

だから、寂しい顔はしないで?

辛いなら、泣いてもいいんだから…。

ね?」


私は、シルビィに抱き着いてしまった。


「…。」

「お姉ちゃん…。

誰だって弱くなることはあるんだよ?

たとえ勇者だって…。

そこまで強くなくていいと思うよ?」

「…。」


シルビィは、私の頭を撫でる…。


「…ねぇ…。」

「なぁに?お姉ちゃん…。」

「しばらくこうしててもいいかな…。」

「うん♪

今日はお姉ちゃんが甘える日だよ♪」


シルビィに優しく頭を撫でられる…。

私は涙が出そうになる…。


「お姉ちゃん、日記の事…心配なの?」

「!?」

「そんなに不安にならないで?

お姉ちゃんの事だから、きっと何とかなるよ?

今までも、お姉ちゃんやってきたんだもん。

それに、私、剣士なのに、

最強魔法覚えさせちゃったり…。

だから…きっとお姉ちゃんなら…。」

「…。」

「それにね。」

「?」

「私は、裏エンディングに何かあると思うの。

だから、それ目指して…。

お姉ちゃんなら、何とかしちゃうと思うの♪」


私の頭を優しくなでる…。

私は、シルビィに抱きつきながら、

声を出さずに泣いてしまった…。



・・・・・・・


魔王…二人にとって、運命を変えてしまう存在…。


異世界と現実世界の二人は、意を決して、裏エンディングを目指す。


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