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剣道少女が異世界に精霊として召喚されました  作者: 武壱
第三章 精霊編

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異世界リサイクルショップ開店!(しませんよ?(1)

 イリナスとの会談を終えて一夜が明けた。おはようございます、知らない間に一児の母になってた鶴巻優姫です。


 アテクシは今、何人掛けよって思うような立派なダイニングテーブルの上に、無造作に積み上げられた物の山を半眼で眺めながら、頬杖ついてため息ついてる真っ最中です。ついでに言うとその山の手前では、オヒメが弾丸っぽい物を弄って遊んでたりします。


「…まさか、こんなに色々な物がこっちの世界に来てるなんてね

「ママ!ママ!これな~に?」


 そう言って、今まで弄ってた弾丸っぽい物を持ち上げて、楽しそうに聞いてくるオヒメ。それの正体と使い道知ってるあたしとしては、全然楽しくもなんともない訳で。


「あんま弄っちゃ駄目よオヒメ。危ない物も混じってるんだから

「は~い!」


 あたしの苦言に、何が楽しいのかニコニコ顔のオヒメが答える。返事は良いんだけどね~なのに相変わらず弾丸をおもちゃにしてるのは、流石にいただけないわ。


 ビシッ!「きゃん?!」


 そんなオヒメに、デコピンする要領で制裁を加えた。体罰禁止?うちの家系じゃ、この位相撲で言うところの、かわいがりにも成らないわよ。


「…誰と話しているんです?」


 不意に背中から声が聞こえて、あたしは肩越しに振り返った。そこには、ボサボサの黒髪に黒縁めがねを掛けた、無精髭を生やした成人男性が立っている。


 Tシャツとジーパンにサンダルと、何故か白衣を羽織った彼の名前は『佐々木浩太』さん。あたしをこの部屋まで案内してくれた、同じ日本出身の異世界人だ。


 いきなり過ぎて話に追いつけないって言う、そこのあ・な・た!の為に、ザッと経緯を説明しようと思います。朝起きて~日課こなして~拉致られた。


 ザックリ過ぎるって?クッ!お茶目に575に纏めたのに!!あ、はい、真面目にやります、サーセン


 コホン、え~では、改めて説明させていただきます。今朝起きて、何時ものように日課のトレーニングをこなして、宿に戻ってエイミーと朝食を済ませた辺りで、王宮からの使いと名乗る彼が訪ねてきた。


 昨日、非公式のヤマト王との会談であったけど、この国が所蔵している異世界製の武器や防具を、保管してある場所に案内するって言う名目で、彼が遣わされてきたのだった。てっきり、またマティスが来るのかと思ったけど、元々彼はクラマ公爵の護衛が本職だし、そのクラマ公爵には昨日出会い頭にのっけからカマしちゃったからね~


 それに、マティスが最初に選ばれた理由は、一応あたし達の護衛って意味もあったからで、帝都に着いた上に、御貴族様が利用するような高級宿屋がある一帯は、当然警備もしっかりしているから、護衛の必要も無いって事で、彼が遣わされてきたって訳。


 そして、彼の案内で王宮の敷地内にあるの建物、つまり今あたしが居るこの場所まで案内された…と、そういう訳です、はい。


 ちなみにエイミーは、王宮に着く迄は一緒だったんだけど、今は別行動中なのでここには居ない。何してるかって言うと、これも昨日ヤマト王が言っていた事だけど、今後の活動資金の準備も済んだって事で、それを受け取りに行ってくれてるのよ。


「普通の人には見えない妖精さんが居るんですよ

「成る程、そうなんですか。」


 彼の問いに対して、面倒だったのでありのままの事実を告げた。元の世界での感覚で言えば、イタい女って思われそうなそのフレーズも、こっちじゃ十分考えられる事だから、すんなり受け入れられたようだ。


「しっかし、思った以上に色々な物がこっちの世界に来ているのね…

「えぇ、僕も初めて見た時は驚きましたよ。あるだろうとは予想していましたけど、思った以上に年代もバラバラで、多種多様な物がこっちに流れてきているんですね。」


 そう言って、2人してテーブルの上に積まれた様々な物に視線を向ける。パッと見3割位はゴミだけど、残りの7割は間違いなく凶器の類いだった。


 日本刀に西洋式サーベル、警棒やトンファーなんかもある。そしてその中には、当然のように近代兵器の銃火器の姿もあった。


「トカレフ、グロック…これがマスケットね。それに、火縄銃…

「詳しいですね。」


 目についた銃を手に取りながら、その銃の名前を口に出して呟いていくと、浩太さんが驚いた表情で聞いてくる。それに対して、あたしは肩を透かしながら苦笑して返した。


 先に断っておくと、別にあたし最近流行のサバゲ女子じゃないのであしからず。だからって銃オタでもミリオタでも無いからね?これ以上変に属性追加する気無いから。


 まぁ種を明かすと、これが精霊としてのあたしの権能の1つなのよ。異世界物じゃよくある、いわゆる鑑定能力的なものなんだけど、鑑定出来るのはあたしが眷属に出来る武器防具に限るみたい。


 その証拠に、古い携帯電話や雑誌なんかも在ったんで、真っ先に手にしたんだけど、何の反応も起きなかったからね。それに、解るって言っても、名称と作られた年代、後は扱い方位だから正直微妙かも。


 誰と一緒に、どうやってこっちの世界に来たのか~とか、そういった来歴とか由来とかが解れば、色々と面白そうだとも思うんだけどね。まぁ、wiki要らずなのは便利で良いけどさ。


「こんな物まで在るなんてね…AK-47カラシニコフ自動小銃…意外に軽いのね

「世界で最も製造された銃なんて言われている位だからね。逆にあって然るべき銃かもしれないですよ?

「へぇ~そうなんですか。」


 何気なく手に取った軍用銃から、名称を読み取って思った事をそのまま呟くあたしに、浩太さんがそう答えてきたので思わず納得してしまった。それなら確かに、こっちの世界に紛れ込んでたとしてもおかしくないか。


「ハハッ、妙に銃に詳しそうだと思ったのに、そう言った事は知らないんですね

「別にあっちでの常識って訳でも無いじゃないですか。それに有名な銃だったら、今時は漫画やアニメでも見かける機会位ありますし

「成る程確かに。」


 終始笑顔の彼は、あたしの言葉に納得したように頷く。ちなみに彼、ヤマト王からなんとなく事情を聞いているらしい。


 なのであたしが、精霊としてこの世界に来た事や、異世界の武器防具を眷属に出来る事も知られてる。けど、だからってペラペラ自分の能力を、喋る気にはなれなかった。


 そもそもあたし、イリナスの事もヤマト王の事も信用してないしね。そいつらの差し金だって言うんなら、警戒に警戒するぐらいが、きっとちょうど良いのよ。


 それはまぁさておき、とりあえず今し方手に取った銃を、目の前に並べていく。興味津々の様子で、近付こうとするオヒメをひょいと掴んで、服の胸元を開いてそこから中に放り入れた。


「危ないって言ってるでしょ、もぉ…邪魔だからそこに入ってなさい

「むぅ~」


 胸元からうなり声が聞こえてくるけど、とりあえず無視。並べた銃火器の1つに手を添えて、触れた指先に意識を集中する。


 イフリータとの試練を経て、精霊の力の初歩的な使い方は、なんとなくだけど解っていた。その時の事を思い出しながら、武器の眷属化ってのに挑戦中なのです。


 重要なのはイメージ力で、触れた指先から先の銃が、自分の身体の一部だと強くイメージする…なんて思えるのが、多分理想なんだろうけど、そんな風に思えないので、自分が銃を手足のように自在に扱うイメージをしてみる。


 漫画やアニメなんかで、そう言ったシーンはよく見かけるもんね~だから、そこに自分を当てはめてイメージするだけなら、そんなに難しくないと考えたのよ。


 それが功を奏したのか、少し待った後、指で触れた銃が淡く光り出した。


「…去りなさい。」フッ…

「お、消えた。」


 光が現れたのを確認して、あたしが呟くと同時に、触れていたトカレフが瞬時に消え去った。それを肩越しに覗き込んでいた浩太さんが、驚いた様子で声を出すのが聞こえた。


 あたしは、肩越しに振り返ってニッコリ笑いかけると、右手を握手を求めるような形で、彼の眼前に差し出して向ける。


「来なさいトカレフ。」ブンッ

「うわぁ?!」ドタッ!


 あたしが告げると同時に、右手の中にさっき消えた筈の銃が現れた。当然、何の前触れも無くいきなり銃口を向けられる形になった浩太さんは、慌てた様子で後ろに飛び退り、バランスを崩して尻餅をついた。


「イタタ、あ、危ないじゃ無いですか…

「興味津々なのは解りますけど、乙女の背後から覗き込むだなんて、どう考えてもセクハラですよ

「うっ…そ、それは…

「次後ろに立って、胸元覗き込んだら撃っちゃいますからね?」


 悪戯っぽくウィンクしながらそう告げて、手にした銃を上下に動かして、射撃した時の動きを再現してみせる。


「あっはは…すみません。けどキミの胸は見てないんで」ガタッ!

「あたしの胸が!視界に収まらないほど小さいってか!!」ガチャッ

「そそそ!そんな事言ってませんよ?!」


 何気ないその一言に、あたしは椅子から立ち上がって、トカレフのスライドを引いて撃鉄を起こして浩太さんに向けた。それを見た彼は、慌てた様子で弁解を口にしながら、両手を上に上げてホールドアップする。


 はい、ここまでがお約束の展開デスヨネー今日もあたしは、バリバリの通常運転モードDEATH。


そんなこんなで作業に戻る。一応、『警戒してるんじゃオラッ!』ってのを匂わせる為の茶番だし、今のやり取りで、向こうも気軽に近づいてこないでしょ。


 本音を言えば、部屋から出てって貰いたいのよね~精霊化したりして、いろいろ試したりしたいし。けど彼も、口には出さないけど、あたしの動向を監視するのも目的なんだろうから仕方ない。


 とりあえず、今の要領で机の上に並べた銃火器を、手当たり次第に眷属化して消していく。何処に消えてんの?って気になるところだけど、多分精霊界のあたしの領域でしょうね。


 まぁ、あたし自身がまだ行った事無いから、どんな風になってるのかわかんないけど、それはひとまず横に置いとくしかないわね。


「…ふぅ。これで銃系は全部かしらね。」


 暫く黙々と作業を進めて、テーブルの上にそれらしい物が無くなったのを確認して呟いた。結果は以下の通りです。


 初期型の銃器、マッチロック式のいわゆる火縄銃と、雷管式のマスケットが都合3丁


 AK-47カラシニコフⅡ型1丁と、その改良型のAKMが1丁


 ポンプアクション式ショットガン、ウィンチェスターM1897が1丁


 USSRトカレフが1丁に、中国製の粗悪コピートカレフも1丁


 グロック17が1丁に19が2丁


 ベレッタM92が1丁


 そして日本のおまわりさんが持ってるでおなじみ、日本製リボルバーのニューナンブM60が1丁


 凄くね?元の世界で出回ってる、銃火器の全体量から考えれば、0.000…1%位なんだろうけど、異世界の一国に、これだけの銃器があるって普通に凄くね?


 一国にこれだけあって他の国にも同じ位あるんだとしたら、それらをかき集めたら中隊規模が編成出来そうよね。まぁ物があっても、圧倒的に銃弾が足りないから無理だけどさ。


 これ、探せばコルトパイソンとか、コンバット・マグナムとか、ワルサーP36とかもあるんじゃね?M-16も外せないわね…(全部アニメキャラの愛銃なのは言うまでも無く


 銃火器と一緒に、いくつかあった色々な大きさの弾丸も、眷属化出来るみたいだったのでしておいた。これで弾丸もコピー出来るようになると思うから、弾切れになる事も無いわね。


 まぁ、一応あたしは剣士というか格闘家だから、銃の扱いが解ったとしても、使う機会なんてそうそう無いと思うけどね~何よりこの世界には、魔法って遠距離攻撃の手段だってあるんだし。


 それでも、もしもの時に備えて、検証しておいて損は無いと思うけどね。まぁ、それも精霊化してからじゃないと、出来ないから今は放置っと。


 ガチャ「失礼します。優姫、お待たせしました。」


 なんて考えていたところに、部屋の扉を開いてエイミーが中に入ってくる。


「お帰りなさい、そっちは済んだの?

「えぇ。昨日言われていた資金、ちゃんと受け取ってきましたよ

「ちゃんと賠償金も貰ってきた?

「いえまさか。これだけでも充分過ぎるきんがくでしたし。」


 そう言ってエイミーは、ジャラジャラと金属音が鳴る麻袋を掲げて見せてくる。確かに、パンパンに膨らんだ麻袋の中身が、全部金貨だとしたら相当な金額になりそうね。


 まぁ、それだけ異世界の武器が、店で売られていたら高いって事の裏付けだと思うけどね。


「優姫の方は、終わったんですか?

「まだよ。ようやく半分って所かしら

「そうですか…オヒメちゃんは?

「邪魔だからここに押し込んだんだけど、いつの間にか静かになったし、多分寝てるわね。」


 そう言って、自分の胸元を開いて中を覗き込むと、案の定オヒメがあたしのスポブラに、しがみつくようにして寝てた。


「…よくこんな姿勢で寝られるわね、この子。」


 あたしが呆れながらに呟くと、同じく覗き込んでその姿を確認していたエイミーが、口元を押さえてクスクスと笑っていた。

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