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剣道少女が異世界に精霊として召喚されました  作者: 武壱
第二章 訪問編

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幕間2

 時間は少し進み、優姫達が帝都ヤマトに付いてから、約2日後の事…


 ダリア大陸西端に位置する港町『クローウェルズ』、いくつかあるダリア大陸とライン大陸の海洋交流の拠点の中で、最も大きなこの場所には、様々な物資が大陸中からかき集められる。


 当然、人の往来も多いこの海洋都市は、集まる冒険者の数も多く、昼間から営業している街の酒場には、その手の者達が情報交換という名目で、集まっている事が常であった。


 そんな、この街にとってに日常と言って差し支えない光景の中に、褐色肌でブロンドヘアーにビキニアーマーを身に付けた大柄な女性と、彼女と比べると余りの差に、遠近法でも使っているのかと思うような背丈の、小柄なエルフの少年が居た。


「やれやれだねぇ。ようやく酒にありつけるよ

「もう…飲み過ぎないで下さいよ?僕までシフォンさんに怒られちゃうんですから…」


 空いていた丸いテーブルに、向かい合う形で座った2人。心底疲れたと言った雰囲気で、リンダがそう呟くと、呆れ気味にジョンはブツブツと文句をこぼし始める。


「一仕事終わったんだ、固い事言うなってのさ。オーイ!エールおくれ!!それと、こっちのボーヤには、ミルクをおくれよ!

「ちょ、止めて下さいよ、もう。恥ずかしいなぁ…」


 そうして大声でリンダが注文を口にすると、店員の元気な返事と同時に、周りからクスクスと笑い声が聞こえてくる。その笑い声の真意が、よく解っていないジョンは、顔を赤らめながら恥ずかしそうにリンダに告げる。


 そして、その笑い声の()()の矛先が、()()()()()()()()()()()()()()()()()と、正確に理解していたリンダは、凄みを効かせた眼光で、辺り一帯を睨み付けて黙らせた。


「…どうしたんですか?」


 対面に座る女性の表情を目に、不審に思ったんだろうジョンは、訳もわからないと言った表情で問い掛ける。それに対しリンダは、表情を緩めて自嘲しながらため息を吐いた。


「…なんでもないよ。あたいの配慮が足りなくて、恥ずかしい目に合わせちまったってのを、悪く思っただけさね。」


 ジョンに対してそう告げると同時、店員によって運ばれてきたエールを掴み、一息に飲み干しておかわりを注文する。


「ちょ?!もう…言った側から、そんな身体に悪い飲み方しないで下さいよ…」


 そう言って、ちびちびミルクを飲むジョンを見て、苦笑を浮かべたリンダだった。


『やれやれ、大将も人が悪いねぇ。半分はあたいに対する嫌がらせだろうけどさ、酒も飲めない駆け出しのルーキーを、こんな所に連れてきたら、笑いの種にしかならないって言うのに…まぁ、当の本人が、なんで笑われてるのか、気付いてないようだし良いけどねぇ。』


 そう心の中で独りごち、再び運ばれてきたエールを手に、目の前の少年に併せて、今度はちびちび飲み始めた。


 商人系の冒険者とは違い、戦闘系の冒険者は、基本的に他者に舐められる事をよしとしない、完全な実力主義の世界なのだ。商人ならば、無様だろうとなんだろうと、下手に出て舐められてでも、『利益』という勝利を最優先に考えるだろう。


 しかし、戦闘職の冒険者は、そんな行為に決して走らない。下手に出て舐められでもしたら、個人指名の依頼が、入らなくなってしまうからだ。


 基本的に、ギルドに登録している戦闘職系冒険者の、主な収入源は3つある。1つはギルドに届け出られた依頼を受けて、その成功を以て報酬を受け取る方法。


 これが1番オーソドックスであり、かつ1番収入が少ない。理由は至極単純で、ギルドも慈善事業で運営されている訳が無く、どうしても資金が必要になってくるのは当然だった。


 要するに、ギルドを通して出された依頼は、その報酬の4割がギルド側に上前として、入る仕組みになっているのだ。4割は多いと思われるかもしれないが、基本的に中規模以上の街には、この世界の何処にでもギルドは存在する上、性質上どの大国の命令系統からも、完全に切り離されて運営しているのだから、その位は必要になってくる。


 そもそも、冒険者登録の際に、1番問題になりやすい金銭面の事柄なので、その辺りは徹底的にしっかりと説明もしているので、冒険者になってから不平不満を口にされても困ると言うのが、ギルド側の総意なので、この件に関して問題が起きた場合、ギルド側の対応が冷徹だというのが、冒険者間では暗黙の了解となっているので、これに関して文句を言う者は居ない。


 2つ目は、国や街が不定期に発行する、犯罪者や凶暴な危険生物を捕獲、あるいは討伐して懸賞金を得る方法だ。この場合、ギルドの仲介が入らない分収入も多いが、申告制で仕事の権利を得られる訳では無いので、今ひとつ安定性に欠ける。


 その上、危険度によって懸賞金の額も違ってくるので、一攫千金の要素も強い分、誰でも手軽に挑めるというものでも無いのが実情なのだが、1番人気がある花形もこれであった。


 そして3つ目は、ある特定の冒険者やパーティーを指名して、ギルドを通し依頼が出されるか、あるいはギルド側の意向によって、指名を受けるという物だった。ギルドを通している以上、上前が取られるのだが、指名を受ける場合に限り、ギルドが受け取る額は、通常の1割にも満たない程度なのだ。


 これに関しても、冒険者登録の際にしっかりと説明を受ける事になるし、多くの冒険者が、そうなる事を夢見て、実力を示して信頼と実績を積み重ねようと努力している。何故なら、有名になればなるほど、定期的に安定した収入が得られるからだ。


 だからこそ、多くの冒険者は、他者に舐められる事をよしとしないのだ。舐められて、良いように使われたり、実力を示す機会を奪われてしまったりするからだ。


 と、実の所多くの冒険者が、そう勘違いしているのが現状だった。実力を示して、信頼と実績を積み重ねるというのは、腕っ節の強さをひけらかすだけでは駄目なのだ。


 多くの冒険者が、有名になる事を夢見て、実力を示そうと躍起になって、花形の討伐依頼などにこぞって参加したがるが、本当の意味で信頼と実績を積み重ねたいのならば、ギルドの発行する任務依頼を、地道にコツコツと続けていくべきなのだ。


 これはそもそも、冒険者を評価するのが一体誰で、その評価基準が何かという問題なのだ。ただ腕っ節を披露して、凶悪犯や凶暴な危険生物が相手だからと言って、周りを配慮せずに暴れるような者なら、その相手と立場が違うだけで大差は無い。


 戦闘職の冒険者とは、その個人に対する信用が無ければ、ただの無頼漢と変わらないのである。それを理解していない者は、精々が青銅止まりで冒険者稼業を締めくくるか、最悪の場合は野盗に身を落として、元同僚に退治されるかだ。


 そして、それを理解している者こそ、銅以上のベテラン勢へと登っていけるし、先ほどジョンを笑っていた大半が、その『解っていない側』だったからこそ、リンダがひと睨みしただけで、それ以上相手にするのを止めたのだった。


 自分が舐められないようにと気を張りつつ、他者の隙は目ざとく見つけて笑っていて、そのくせそれ以上の実力者からは、呆れられているのを解っていないという、可哀想な連中なのだ。そう言った連中は、放っておくに限ると、経験上リンダは知っているのだ。


「でも、良かったんですか?僕たちだけ、先に切り上げてきちゃって…

「適材適所ってヤツさね。あたいは昔っから、事後処理ってのが苦手でね、いっつも大将に押しつけてたしねぇ。オーイ!お姉さん!おすすめ3品くらい頼むよ!

「もう…」


 後ろめたさを感じながら、呟くジョンに対して、全く悪びれた様子の無いリンダが応え、呆れ気味にため息を吐いた。


 優姫達と別れて行動していた彼女達は、当初の目的を果たす為、奴隷商を追ってこの街に入ったのが約1日前。そこから情報を集め、敵のアジトを割り出し、襲撃を掛けたのがつい1時間前の話だった。


 それから制圧までに、30分も掛からず、見事連れ去られた人達を救出し、事後処理をシフォンに丸投げし、リンダはそのままこの酒場までやって来たのだ。お目付役を任命されたからとは言え、ジョンが後ろめたさを感じながら、小言の1つも溢したくなる気持ちも解るというものだ。


「ま、あたいが居ると、かえって仕事が増えるって言われるし、これで良いんさね。あんたも、あたいのお目付役を頼まれたんだ、気にすんのはおよしよ

「…それ、言ってて悲しくなりませんか?

「ハハッ、あんたも言うようになってきたねぇ。まるで優姫みたいだったよ?」


 そうリンダが口に出した瞬間、ジョンの表情に影が差した。


「…優姫さん、そろそろ帝都に着いた頃でしょうか…

「あぁ、だろうねぇ

「じゃぁ、もしかしてもう…」


 そこまで呟いて彼は、続く言葉を飲み込んだ。その表情は暗く寂しげで、まるで枯れていく花のように、どんどんと俯き加減になっていく。


 そんな彼を一瞥して、リンダはため息を吐きながら、ちびりちびりとエールを口に運んでいく。


「…さぁ、どうだろうねぇ。噂じゃ次の返還式は、延期になったって話だし、案外これから帝都に向かえば、あっさり合流出来るんじゃ無いかねぇ~

「え?!じゃ、じゃあ!!」


 リンダが気楽な感じでそう告げると、それまで俯いていた彼は、顔を上げて一気に期待に満ちた笑顔を浮かべる。そんな彼を見てリンダは、ニヤリと人の悪い笑顔を浮かべた。


「あんた、優姫の事が好きなんだろう?」


 何気ないリンダの一言で、ジョンの動きが一瞬止まる。そして一瞬遅れて、湯気が出るんじゃ無いかと思うくらい、耳まで一気に赤く上気した。


「な、ななな?!そ、そんな事無いですよ!

「アッハハハッ!別に女としてだなんて言ってないだろうに、分かり易すぎるねぇあんた

「リ、リンダさん!!」


 分かり易く動揺して、狼狽え始めたジョンに対して、腹を抱えて笑い始めるリンダ。その言い分を聞いて、自分がカマを掛けられたと察した彼は、顔を真っ赤にしたまま、彼女に詰め寄った。


「まぁまぁ、悪かったよ。けど良い事じゃないかい。応援するよ、あたいは

「もう…

「けど、あんたも大概、面倒な女を好きになったもんだねぇ。ありゃ絶対、自分より弱い男にゃなびかないタイプだよ

「うっ…やっぱりそうですかね?

「あぁ。おまけにあの子は、気が付いてないフリして、実際にゃあんたの好意に、気付いてるだろうねぇ

「え?!」


 思いも寄らなかったその言葉に、それまで赤かったジョンの表情が、一気に青ざめていく。その表情に、少し可哀想な思いを感じながら、視線を彼の後方へとずらした。


「なぁ、大将?

「えぇ、あれだけ勘の鋭い方ですもの。貴方の想いはちゃんと届いてますわよ。」


 背後から聞こえた声に、慌ててジョンが振り返ると、そこには彼もよく知る人物が、気配も感じさせずに立っていた。


「何の話をしているのかと思えば、ジョンさんの恋のお話ですか。どうせ貴女が、変にカマを掛けたのでしょうが、趣味が悪いですわよ

「ハハッ、まぁそう言うなって。大将はワインで良いかい?

「えぇ。」


 そう言って、空いている席に優雅に腰を掛けるシフォンを、若干焦点の合っていない視線で追いかけるジョンは、おずおずと話を切り出そうと口を開く。


「あ、あの~…シフォンさんも気が付いて…?

「えぇ、言いにくいのですが、貴方の態度を見ていれば大体察しが付きましたわ。まぁ、それに気が付いて、やたらスキンシップを楽しんでいた優姫さんが、1番の問題なのですが…

「なぁ?わっるい女だよな~!将来は立派な悪女になるさね

「気付いて居ないのは、恐らくエイミー位ですわね。あの子、昔からそう言った機微には疎いですから…」


 なんて会話を続ける2人に対し、ジョンは心の中で『女の人怖い!』と、強く思うのだった。こうして彼はまた一歩、大人の階段を上ったのである。


「…さて、その話はひとまず置いておくとして、良い報せと悪い報せがあるのですが、どちらから聞きたいですか?

「あん?何だよ改まって。」


 運ばれてきたワインを、場違いな程優雅にすすり、唐突に話を切り出すシフォンに、訝しがりながらリンダが聞き返す。


「そうさねぇ…んじゃ良い方から聞かせて貰おうか。」


 暫く考えた末、リンダはそう答えた。シフォンがそう告げる時は、大体良い方が悪い方よりも、重大な案件の場合が多いだ。


 なので、大体良い方を先に聞いて、その後大した事無い悪い知らせを聞いて、鼻で笑い飛ばして対処にあたるというのが、彼女のいつものスタンスなのだ。


「先ほど、ギルドに報告を届けた際、帝都のエイミーから手紙が届いていましたの。」


 そう言って、懐から一通の便せんを取り出し、2人に見せびらかしながら、シフォンは顔を緩めて柔らかく笑う。


「…これによれば、どうやら優姫さんは、この世界に残る事を決めたらしいですわよ」ガタッ!!


「え…え?!

「ほんとかい!そりゃ良い報せだねぇ!!」


 2人にとって、予想以上の嬉しい報せに、立ち上がって喜び合う2人を見て、満足げな表情で頷くシフォン。


「えぇ、ただ…少し面倒な事になっているようで、私達(わたくしたち)に合流出来るのは、まだ先になりそうだとの事ですけれども

「ハハッ!その位大した事じゃ無いねぇ!!その面倒事って言うのも、あたし達から合流して、手伝ってやろうじゃないかい、なぁ?

「え、えぇ!そうですよ!!すぐ出発の準備に掛かりましょう!」


 そう言ってはしゃぐ2人に、しかしシフォンは、それまで浮かべていた笑みを消して、真剣な表情を浮かべて2人を見据える。


 その表情を見て、リンダは自分の勘違いに気が付いた。シフォンの言う悪い報せが、面倒事の所為で合流が遅れる事になった、彼女達の事だとばかり思っていたのだ。


 そりゃ、エイミーを心から慕うシフォンに取ってみれば、それはとても悪い報せだったろう。本人は隠しているつもりだろうが、ここ数日エイミーの話題を持ち出す事が増えた相棒の、胸の内の期待値が高い事は、他の誰よりもリンダには解っていた。


 しかし違うのだ。彼女の持ってきた悪い報せは、良い報せと同じくらいに重大な案件なのだと、長年の経験から悟ったのだ。


「…悪い方の報せってのを聞こうかねぇ。」


 相棒の真剣な表情につられて、自然とリンダの表情も強張る。そして、そんな2人の雰囲気にのまれて、ジョンは不安げに表情を曇らせた。


「…事後処理中、敵のアジトで見つけましたの。()()()()()()()()を…」


 そう呟いてシフォンは、再び懐から冊子のような物を取り出し、テーブルの上に静かに置いた。奴隷商の商品とは、つまり…


「ギルドで軽く尋問した所、ほんの2日前に出荷されたようですわ…

「タッチの差ってやつか。だからそっちに人手を割いて、アジトの人員も手薄だったって訳かい。」


 情報を集めアジトを割り出し、突入してから30分と掛からず制圧した。それはもう、彼女達からすれば、それまでの前段階の方がよほど苦労だと感じる程、それはもうあっさりと…


 それは良い…そのおかげで、捕らわれていた人達は全員救出来たのだから。良くなかったのは、こぼれ落ちてしまった人達が、まだ居たという事実だけだ。


「それで?そいつらも救出しようって言うのかい?そこから先は()()()()()。最初に大将が受けた依頼、各村から連れ去られた全員は、()()()()()()()()()()。おまけに数名おつりもあったくらいさね。」


 そう言いながら、リンダは机に置かれた冊子を手に取り持ち上げ、逆側の手でパンパンと叩く。


「けれども、可哀想だが、この子等は()()()()()()()()。行き先が軍国でなけれれば、少なくともまっとうに生活は出来るだろうさ。働いて自分を買い戻しゃ、解放だって出来るさね。」


 そう告げて、彼女は冊子を再び机に戻した。厳しい事を言っているようだが、リンダの言葉は理にかなっている。


 彼女達冒険者は、基本的にはその全てが自己責任なのだ。身の安全を犠牲にして、生活の為に対価を稼いでいるのが、彼等彼女等なのだ。


 己の安全を確保するのは自分自身であるし、ギルドに所属しているからと言って、では生活の保障をしてくれるのかと言えば、勿論そんな事はないのである。全てが自己判断であるし、全てが自己責任なのだ。


 勿論、そうは言っても人の心だ。あるいは救えたかもしれない人に対して、ならばと無償で手を差し出すのも良いだろう…その結果、命を落とした冒険者を、彼女達は幾人も知っているのだ。


 だからこそ、そんなリンダを誰も責めないし、シフォンもまた攻める気は無い。しかし、今回ばかりは違うのだ。


「本当に悲しいお話ですが、この方々の行き先は、あの軍国のようですのよ…」


 そう言って冊子をめくるシフォンは、めくったページの一カ所に指を置いて、ため息を吐きながらトントンと叩いて見せた。


「問題はココ…ココですのよ。本当に…

「…チッ!クソッタレ共め!!」ダンッ!「そう言う事かい…」


 その箇所を目にして、相棒が何に拘っているのかを察したリンダは、憤りの余り拳をテーブルに、壊さんばかりの勢いで叩き付けて、呻くように呟いた。


 その行為に、それまで騒がしかった店内は、一気に水を差したかのように静まりかえり、騒ぎを目にした店員が、恐る恐る近づいてくる。


「…さ、では休憩はこの位にして、そろそろ向かいましょうか。今からなら、まだ間に合うかもしれませんわ

「あぁ、そうさね…すまないねぇ、騒がしくして。釣りはいらないよ。」


 そう言って立ち上がり、まるで何も無かったかのように、近づいてきた店員に金貨を1枚手渡して、そのまま店の外へと向かっていこうとする。


「…あ!待って下さい!!何処に向かうんですか?!」


 それまで、いまいち話しについて行けていなかった上、突然のリンダの憤慨を前に、完全に固まっていたジョンが、慌てた様子で我に返り2人を追って駆け出した。


 彼は未だ経験も浅く、駆け出し故に知らないのだ。犯罪組織がよく使う、ある単語を示すその符牒を…


 シフォンの示した冊子には、この世界の数字と文字が、リスト順に並んでいた。例えば『1 女 獣人 20』といった感じで。


 最初の数字は、商品に対する単純なナンバリングで、その次に性別と種族と年齢が続く。例で言えば『番号1番、女性で獣人種だが何族かは口を割らず、見た目のみでは不明。おおよそ20才』と、このように紐解けるのだ。


 そして、シフォンが指し示した部分には、『00 女 00 16』と書かれていたのだ。この、性別の両隣を『00』で挟むのは、異世界人の事を示す符牒なのだ。


 シフォンは暗に、リンダに対してこう告げていたのだ。『異世界人の友人を持つ我々に、その彼女と同い年くらいの少女を、見殺しにするのか?』と…

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