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剣道少女が異世界に精霊として召喚されました  作者: 武壱
第四章 軍国編
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間章・踊る阿呆に見る阿呆。同じ阿呆なら踊りだせ!(3)

『今、エイミー達が建物から出ました。予定通り、警邏の兵士に目撃され逃走中です。』


『了解。』


『エイミー!ジョーンー!がんばってぇー!!』


『ちょ!?姫華!大声出すんなら通信切ってからにしなさいよ!!』


『ハッ!?ご、ごめん銀ちゃん…』


『………』


『中間地点を通り過ぎました!』


『そろそろですわね。お二人とも、準備は宜しいですわね?』


『うん!!』


『何時でもオッケーよ。』


『……』


『承知致しましたわ。銀星さん、カウントをお願い致します。』


『解りました、カウントいきます。三…』


『ミリアさん、例の一団に目立った動きはありませんわね?』


『Yeah!中央の巨大街路に向かって、だらだら歩いてるね!』


『二…』


『承知致しましたわ。今暫く、その場で見張りをお願い致します。』


『OK!任せるね!!』


『…』


『リンダ、もう移動を開始して構いませんわ。』

『一…今です!』


『あいよ。』

『オヒメ!』

『うん!!』


 ――ドオオオォォォーン…ドカン、ドゴオオオォォォーン!


『爆発を確認しました!』

『したらあたいは、そのまま優姫との合流地点に向かうさね。』


『えぇ、お願い致しますわ。こちらからも爆発を確認致しました。』

『来た!エイミー!ジョーン!こっちこっち!!(お待たせしました、オヒメちゃん)(はぁ!はぁ!!)』


『姫華さん、エイミー達を精霊界に送り届けたら、次はミリアさんの元に飛んでくださいまし。』


『はぁーい!(にゃはははっ!この位で息が上がるにゃんて情けない少年にゃ!)(体力馬鹿の手前等と一緒にしてやるなよ)』


『賑やかなこって、楽しそうですなぁ~エイミー、ジョン、お疲れ様。』

『は、はいぃ~…』

『フフッ、ありがとうございます。』


『――


 ――下ブロック、巨大街路に通じる大通りの一角。其処に、十人程の兵士達が隊を成し歩いている。


 見回りの兵士達とは、装備が若干異なるその一団。頭まで鎧を身に着けた兵ばかりの中、兜を被っていない者が一名。


 その者を中心に隊列が組まれている事から、隊長格であるのは間違いない。黒髪白人の異世界人――


「――ったく。なんで俺まで見回りに出なきゃならないんだ。お前等だけでやってこいってんだよ。」


 部下を従え歩く様は、まるで規模の小さな大名行列。その最中、不意にチェコロビッチが不機嫌そうに文句を垂れる。


「まだ言ってるんですか、隊長?いい加減諦めてくださいよ。」

「そうですぜ。王からの命令なんですし、形だけでも参加して貰わないと後が面倒だって、シュナイダーも言ってたじゃないですか。」


 そんな上司に対し、前を歩く部下の中から窘める声。それを聞き、チェコロビッチの不機嫌さが一層強まった。


「そんな事は解ってんだよ!だからこうして付き合ってんだろうが!!俺の独り言にいちいち反論してんじゃねぇよ!!」

「「す、すいません!」」


 続け様、そちらをジロリと睨み付け、理不尽な物言いで一喝。声を掛けた部下達が、直ぐさま謝罪の言葉を口にする。


 その様子を、背中越しに伺う前方の兵士達。身を寄せ合い、ひそひそと内緒話をし始める。


「なぁ今日の隊長、何時にも増して不機嫌じゃねぇか?」

「あぁ。一昨日の振る舞い酒の途中からは、機嫌が直った様に見えたのになぁ…なんかあったのかな?」

「何だ、お前等知らないのか?」

「知らないって何がだよ。」

「一昨日の酒の席で、ロズ共が隊長と女を攫ってくる算段してたのをだよ。」

「はぁ?マジでか…え、相手は誰だよ?」

「それがよりにもよって、あのユエ・シマズだって話しでな…」

「将軍の孫娘だろ!?それは…幾ら何でも不味いだろ。」

「あぁ…だが本人達はえらく乗り気でな…飲みの翌日から、ロズ共が居なかったろう?」

「そういえば…って、もう実行に移ってんのかよ!?」

「この間、将軍に新しい玩具の入荷を邪魔された、意趣返しのつもりなんだろ。」

「だからって気が早すぎだろ…後の事とか考えてんのかね?」

「知らん。どうせ最後は、例のお偉いさんに丸投げだろ。」

「だろうよ。んで、機嫌が悪いって事は、それが上手く行かなかったって事か?」

「と言うか、今朝からロズ共の消息が解らなくなったなったらしい。」

「はぁ!?ちょ、それ不味くないか?」

「将軍の孫娘って事は、護衛が居てもおかしくないだろ。捕まってたりしたら、マジで厄介だぜ…」

「だな。その場合、俺達にまで火の粉が掛かるぜ…」


 等々。部下達の内緒話は後を絶たなかった。


 不機嫌な上司の目が届かなかった事も、それに一役買っていた――


 ――ドオオオォォォーン…ドカン、ドゴオオオォォォーン!!


「「「ッ!?」」」


 そんな折に、突如として街中に響き渡った轟音。都合三つの爆発音に、その場に居た兵士達のみならず、道行く通行人達も、何事かと立ち止まる。


「何だ!?」

「爆発か!?」

「あ、あっちだ!煙が上がってるぞ!!」


 続け様に上がる、人々の状況を把握しようとする声の数々。その内の一つに導かれるようにして、遠くで立ち上る黒煙に衆人の視線が向いた。


 と――


「大変さね!大変さね!!」


 ――火急の報せを告げる女性の声。


「登録に無い奴隷が逃げ出したさね!建物に爆発物物を仕掛けて逃げ出したさね!!」

「何!?」

「どういう事だ!!」


 その声は分かり易く、()()()()()()()()()()()()()()()。誰とも知れないその声に、衆人の意識は黒煙から声の主へと移っていった。


 やがて、道の先から姿を見せる、全身鎧の一人の兵士――


「大変さね!大変さね!!手の空いてる奴等は、急いで黒煙の上がってる方に向かってくれさね!!」

「おい!!」


 道の先から現れた兵士に向かい、チェコロビッチが苛立たしげに声を上げる。その声に反応し、彼へと視線を向ける()()


「あんたらも急いで向かうさね!!」

「それよりもお前――」

「人手が足りないさね!!消火活動と、逃げた奴隷の捜索!!」

「あぁ!?んな事よりも――」

「逃げた奴隷はエルフ三、獣人一!!」

「んな事聞いてねぇだよ!!それよりもまず――」

「あたいはこの事を早く他にも伝えないといけないさね!!ぐだぐだ言ってないでとっとと向かうさね!!」

「あぁ!?テメェ俺誰だと――」

「知るかウスノロ!!部下連れて馬鹿面晒してないでやる事やりな!!」

「ぐっ!!」

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