表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣道少女が異世界に精霊として召喚されました  作者: 武壱
第四章 軍国編
364/398

異世界うるるん滞在記~密着!子連れJK48時!!~(14)

「それよか、次の制圧場所なんだがよ…」


 なんて考えていた所にその一言。申し訳程度に、言いずらそうに切り出した彼女に思わず苦笑。


「解ってる。次は風抜きで行かせろってんでしょ?」

「流石、察しが良いねぇ。」

「わざわざ理由でっち上げてまで、風を二階に置いてくるだもん。それ以外に考えられないでしょ。」

「さいで。悪いねぇ、活躍の場を譲って貰って。」

「別に構いやしないわよ。活躍なら昨日したからね、この後もあるし。だから今は体力温存に務めるわ。」

「よく言うよ。その程度でへたばる優姫じゃ無いだろうに。」


 そう言ってきたので、ここぞとばかりに真顔となり…


「筋トレで乳酸溜まって筋肉パンパンだしね!」

「いやそれは知らんが…ってか、何時までその格好続けてんだい。」


 テヘ☆ってしてから、ツッコんでくれた事に満足して、ようやく姿勢を正しました。


「さて。冗談はこの位にして、手早く情報共有といきましょうか。隣地のアジトに居る、敵と捕まってる人の総数は解ったの?」

「勿論さね。残ってる敵の数は、全員其処に居たとして六。捕まってる奴は、こっちの建物に居るので全員らしい。」

「そう。って事は、シフォンの読み通り、二拠点だったのは店舗と倉庫で分けてたって訳ね。」

「だねぇ。なもんで、地下とかで繋がってんじゃ無いかと疑って、問い質してみたんだがね。」

「まぁ、普通そう考えるわよね。けど、その様子じゃどうやら大丈夫そうね?」

「あぁ。そもそももう一方にゃ、地下室自体無いらしい。」

「ふむ…」


 そう呟きつつ、少し前の事を思い返す。潜入前、建物をまるごと精霊界に飲み込んだ時の事だ。


 過集中が万全じゃない今のあたしでは、人数同様に建物の詳細な構造まで、把握するのは無理だった。けど、建物間を繋げる規模の通路が存在したなら、幾ら何でも気付く筈。


 何より、建物同士が繋がってれば、一つと判断されてたかも知んない。精霊王の権能って、割と大雑把な感じだしね~


 だから多分、大丈夫だと思うけど…


「…一応、もう一方の方も精霊界に飲み込んで確認してみるわ。地下に居る人達を盾にされたら厄介だし。」

「あいよ。ちゃんと前もって教えといて貰えて助かるよ。」


 僅かな思案の末に出した結論。これに彼女は、頷くと共に嫌味を口にする。


 あら、根に持ってるのね。ごめ~んちゃい☆


「んで、その後はどうするさね。あたいの好きに動いちまって良いのかい?」

「そうね…外に騒ぎが漏れなきゃ、別にそれでも良いけど。」

「状況にもよるねぇ。良いとこ、半々って所じゃないかい?」

「そう…なら、サイレントの腕輪を使いましょうか。」


 そう提案しつつ複製品(レプリカ)を召喚。


「良いのかい?んな事しちまったら、中に居る奴にバレちまうよ?」

「うん。だから、サイレントの魔法を発動するのは、リンダが潜入してからきっかり五分後。」

「五分…それ迄に、アジト内の人員配置を把握しろって事かい?」

「そういう事。話が早くて助かるわ~」


 悪戯っぽく笑いながらそう答え、召喚した腕輪を右腕に装着。あたしの準備が整った所で、詳細を説明すべく口を開いた。


「襲撃がバレる事自体は、そこまで問題じゃ無いわ。むしろ敵の動揺を誘えて、有利に状況を運ぶ事が出来る筈よ。」

「いきなり無音になりゃ、そら混乱もするわな。おまけに、意思疎通も出来なくなる訳だから、状況の把握に時間が掛かると。」

「えぇ。逆に直ぐに冷静さを取り戻すよう奴が居たら、それだけの実力が在るって事が解るでしょ?」

「成る程、そいつらから倒しちまえば、残る奴等は烏合の衆って訳だね。」

「えぇ。ただ問題もあって、長い間サイレントを発動させておくと、その内通行人に気付かれるかもだから、作業は迅速にね。」


 簡潔に説明を終え、最後に注意すべき点を述べた所で…


「殺っちまっても良いんなら、一瞬で終わらせてやるけどねぇ。」

「物騒な事言わないの。」

「あいよ。」


 冗談とも、本気とも取れるその発言。それを冗談と捉えたあたしは、ため息交じりにそう返した。


 ったくもう、簡単に言ってくれちゃって。捕縛した犯罪組織の構成員の処遇については、みんなも納得済みだって言うのに…


 …試されてるのかしらね。


「アジトの制圧が済んだら、どうやって連絡を取るんだい?」

「無音の状態でも、風を呼び出す事は出来るから大丈夫。あの子には、リンダに呼ばれたらあたしに連絡するよう伝えとくわ。」

「アジト内の人数数えて、情報通り揃ってなかった場合は?」

「それならそれで、その場に居る人数を制圧して構わないわ。その後に尋問して、居場所が解るようなら捕獲に向かえば良いし。そうでなきゃ、その後の作業で一人見張りを立てておくしか無いわね。」

「なんだい、結局運任せかい?」

「まぁそう成るわね。リンダの引きの強さ、期待してるわよ。」

「んなモンに期待されても困るんだがねぇ…」

「勿論、腕っ節にも期待してるわよ。」


 あたしの軽口に対し、これが答えだとばかりに、肩を竦めてみせるリンダ。その反応に苦笑で返しつつ、彼女の腕を掴んだ。


「そろそろ行きますか。」

「あいよ。」


 その返事を聞くと同時、インビジブルの効果を発動。互いに頷き合い、玄関の扉へと移動する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ