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剣道少女が異世界に精霊として召喚されました  作者: 武壱
第四章 軍国編
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異世界うるるん滞在記~密着!子連れJK48時!!~(10)

『それより皆さん、お食事の方は済みましたか?』


 続け様、そう問われて視線を巡らせ残量を確認。見ると全員、ほとんど綺麗に平らげた後だった。


 残ってて、一口二口程度かな。ちな、あたしはとっくに終わってる。


「えぇ、大体終わってるわね。」

『そうですか、良かったです。こちらも先程日が昇り、住人達が表に出てき始めたので、その連絡でした。』

「承知しましたわ。」


 銀星からの報告に応えるや、円座に集ったあたし達の顔を、ぐるりと見渡すシフォン。


(わたくし)から、皆さんに相談したい事は以上となります。他に相談したい事、質問等ありましたらお願い致します。」


 続け様にそう告げ、待つ事暫く。誰も口を開かないのを確認し、こくりと頷いた後、オヒメ達へと視線を向ける。


「では、総括と参りましょう。まずは、マリーさん。」

「は、はい!」

「銀星さんと合流して頂き、バージナル国内の監視をお願い致します。」

「解りました!」

「銀星さん。そういう訳ですので、マリーさんに監視の手ほどきをお願い致します。」

『解りました。』

「続いて、メアリーさん、夜天さん、姫華さん。お三方はプラーダでの買い出しです。ポータル用魔道具の購入を優先して頂き、残った資金で医薬品の買い足しもお願い致します。」

「は、はい!」

「はぁ~い!」


 口早に、要点のみを告げていくシフォン。彼女達への確認事項を終えて、いよいよあたし達の段となった所で、ハタと何かに気が付き苦笑する。


「寄り道は、ほどほどにお願い致しますわね。」

「うぇっ!?え、えへへ~」


 そして告げられた注意。大事な事ですもんね。


 にも関わらず、返ってきたのは誤魔化す気満々な笑い声っていうね。ちょっとは否定しなさいよ…


「それでは、今後の作戦についての最終確認に移りますわね。まず私ですが、昨夜捕らえた捕虜二人より情報を引き出した後に銀星さん達と合流。街の監視と平行して、建物を破壊する為の計算を行います。本丸潜入時の陽動作戦決行地点は、それを終えてから銀星さんと検討しますので、もう暫くお待ちください。」


 そこで言葉を切り、左隣へとずらすシフォン。


「エイミー」

「はい。」

「ションさんとミリアさんと共に、左上ブロックのアジトと思しき地点を調査。確定しだい潜入し、速やかに制圧してください。」

「解りました。二人共、改めてよろしくお願いしますね。」

「はい!足を引っ張らないよう頑張ります!!」

「Yeah.お手柔らかにね。」


 そう言い合って、チーム一丸の様子を見せるエイミー班。一方…


「続きまして、リンダと優姫さん。お二人で左ブロック二箇所の調査を行い、そうと断定した場合まずはご一報を。状況を精査し指示を出しますので。」

「りょ~かい。」

「あたい等だけで、十分対処出来ると思うけどねぇ。」


 素直に頷いたあたしに対し、不満を隠そうともせず口に出すリンダ。隣の芝生が青いなぁ…


「皆さんご理解の上だと思いますが、犯罪組織の拠点制圧はあくまでも通過点。後にまだ、為すべき事が控えておりますので、両チーム共に無理せぬようお願い致します。」


 それはさておき、総括もいよいよ終盤。


 しつこいと言えばしつこい。けど、らしいと言えばらしいその注意事項。


 それを受け、仲間達全員真剣な表情で頷き合う。遅れて彼女も頷くと、直後に目付きが鋭くなった。


「今日中に決着を着けますわよ。」


 そして続け様に一言。その決意表明にあたし達は、力強く同意して見せた。


 と、言う訳で!潜入二日目、スタ~ティ~ン☆


………

……


 所変わって、やってきました左ブロック。


 例の覆面男から提供された情報を元に、捜索する事一時間弱。犯罪組織の拠点と思しき、二つの建物をあっさりと特定。


 地図に書き加えられた例の文字だけど、建物の特徴だけじゃ無くって、あたし達の世界で言う所の、所謂住所も書かれてたっぽ。


 付近に着くなり、ちょっと聞き込みしたら苦も無く判明。なので、捜索に掛かった一時間ってのは、ほぼほぼ移動時間だったり。


 …なんだかなぁ~


 さておき現在。犯罪組織の拠点と思しき二つの建物から、数メートル離れた地点に、あたしとリンダは身を隠してま――


「んじゃま、早速乗り込むさね。」


 ――いきなり何言い出しちゃってんのよ…


「いやいや、まだ乗り込まないから。気が早すぎるから。」

「あん?なんでさね。」

「何でって、あんた…あそこが犯罪組織のアジトか、まだ確認取れてないでしょうが。勢力がどの位かだって、解ってないのに。」

「なんだい、まだるっこしいねぇ。んなの、乗り込んじまえばハッキリするさね。」

「あたしが言うのもなんだけど、極端過ぎ…慎重に行動しようって、話し合ったばっかでしょ?」

「なんだい、それ本気で言ってたのかい?あたいはてっきり、大将の手前そう言ってんのかと思ってたよ。」

「後でシフォンからガチ説教されるって解ってて、んな事する訳ないでしょ。」

「なんだい、ツレないねぇ。ダチなんだし、一緒に説教される位良いじゃないかい。」

「どうせ説教されるなら、エイミーの方が良いわね。友達も大事だけど、お互いパートナーも大事にしなきゃでしょ?」

「なびきゃしねぇ…わ~ったさね。」


 舌打ち混じりにそう言って、プイッとそっぽを向くリンダ。兜の所為で表情は読めないけど、ふて腐れてるみたい。


 か~わいい~なんて、またぞろ表情に出して、ツッコまれそうなもんだけど。


 今回その心配はありません。何故ならあたしも、今は全身鎧に身を包んでいるから。


 手配書対策で、兵士の格好をさせてるリンダと、私服のまま一緒に行動したら流石に目立つし。それに、警邏の兵士はニコイチセットらしいからね~


「ならどうするのさね。あの建物を監視して、出入りする奴を見定めるのかい?」


 そうこうしていると、ふて腐れから立ち直ったリンダに、そう問われたので状況を精査。周囲を軽く見渡してから、例の建物へと視線を向ける。


「慎重に行くならそうすべきでしょうけど、我らがビックボスは、今日中の決着をご所望だしね。人通りもまばらだし、多少強引に調べましょうか。」

「是非ともそうして欲しいもんだねぇ。んで、作戦は?」

「まず二人で透明化して、どちらか片方の建物に侵入。入り口の安全が確認出来たら、一人はその場で待機。もう一人で建物内の探索って感じかしらね。」

「退路の確保に一人割くって必要かい?それよか、二人で別々の建物を探索した方が、手っ取り早くてビックボスの意向に沿うんじゃないかねぇ。」

「入り口に一人残すのは、退路の確保じゃ無くって、外から誰か入って来た時の為の保険よ。今朝の話し合いの時にも、その可能性は指摘したでしょうに。」

「あれ、そうだったかい?」


 あたしのお小言に対し、惚けた風を装い誤魔化す彼女。そのあからさまな態度を見て、思わず苦笑。


 顔が見えなくたって解る。今の絶対覚えてて言ったわね。


「まっ、しゃ~ない。その方針に従うとしようかねぇ。」


 なんて考えていた所に次の一言。


 なんでそんな恩着せがましいん?って思いもしたけど、とりあえず黙っとこ。


「んで、探索が終わって、確証が得られたらどうするんだい?まさか、一旦引くなんてまだるっこしい事を、言う気じゃ無いだろうねぇ。」


 更に続けてもう一声。その質問にあたしは、ニヤリと不敵な笑みを…


 って、兜被ってるんだし伝わんないかz


「子供のお遣いって訳でも無いし、解ってるって。」

「おっ!んじゃ、確証が得られた時点で、制圧に移って良いさね?」

「えぇ。」


 そう頷きながら応えると同時、自分の掌を拳で打ち付けると共に、全身に気合いを漲らせる彼女。


「そう来なくっちゃねぇ…」


 続け様、面頬の奥から聞こえてきた、獣の唸り声を彷彿とさせるその声。


 作戦開始からずっと、似つかわしくない地味な作業続きで、フラストレーション溜まってんだろうなとは、思ってたんだけど…


 コレは、もしかしたら想像以上かもしんないわね~


「判ってると思うけど、騒ぎは最小限にしてよ?外まで響いて、本物の警邏が来ちゃったら面倒なんだからね。」

「わ~ってるさね。」

「それと、捕まっている人が見つかったら、制圧よりもその人達の身の安全が、何よりも最優先だからね?」

「わ~ってる、わ~ってるさね。」


 あたしの口にする注意事項に対し、軽くあしらうように返事を返し続けるリンダ。平気だと思うけど、正直不安。


 仕方ないので、言う相手を変える事にする。と言う事で、視線をちょいと横にずらし、彼女を兜越しに見つめる。


「悪いんだけど(ふー)、リンダがこの調子だし、あなたも注意しておいてね。」

「はぁ?」

「う、うん…わかったよ、ママ。」

「ちょ、おい!?そりゃねぇ~さね、二人共!!」


 あたし達親子のやり取りに、あんまりだと言いたげな反応を示すリンダ。


 けどしょうが無いわよね?心配で注意してんのに、生返事で返すんだもん。

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