表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣道少女が異世界に精霊として召喚されました  作者: 武壱
第四章 軍国編
359/398

異世界うるるん滞在記~密着!子連れJK48時!!~(9)

「どうしたの、オヒメちゃん?」

「何か提案事でしょうか。」

「はい!あのね、姫華もお姉ちゃん達と一緒に行きたいな~って。」


 やっぱし…


「オヒメちゃんも?」

「うん!お買い物が終わって夜ちゃんに呼ばれたら、姫華がお迎えに行かなくちゃなんでしょ?」

「えぇ、そうね。」

「それだったら、最初っから一緒の方が良いかなって!ほら、銀ちゃんのお手伝いは、マリーがしてくれる事に成ったから、この後姫華する事無いし。」

「けど、あんたにゃあんたで、やる事があるから待機して無くっちゃなんだろう?」

「うん!でも、いつ呼ばれるか解んないし。それに呼ばれて行くだけなら、どこに居たって一緒だよ!」

「あぁ、そうなのかい。」

「うん!!それにねそれにね!お話聞いてたけどその魔道具が直ぐに必要なんでしょ?姫華が一緒だったら、わざわざ届けなくっても、その場でシフォンちゃんの元送ることも出来るよ!!」

「Oh!そんな事も出来るのね。」

「便利ですね。」


 待ってましたとばかりに、笑顔で自分の主張していくオヒメ。他の人の意見に対する返しも抜かりなし。


 寧ろ自分から能力アピールして、有用性を売り込む始末。しかもそれが概ね好意的に受け止められている。


 ここまで聞く限り。自分の手が空いてるのが不満で、何かしらみんなの手伝いをしたいって風に聞こえる。


 事実その通りだし、その気があるのだろう。でもあたしは知ってる――


「ねっ!ねっ!!お昼までに戻ってくるから、姫華も一緒に付いてって良いでしょ!?」


 ――この子、それ以上に寄り道する気満々だ!!


 ずっと静かだと思ったらこの子、ついて行く口実ずっと考えてたわね…


「ねっ!?良いでしょ、ママ!!」


 なんて思っていた所で話を振られ、思わず苦笑。直ぐに返事を返さず、シフォンに視線を向ける。


 動機や腹の底の考えはさておき。二つ返事で了承してあげたいけど、話し合いの場である以上、あたしの一存で勝手に許可する訳にはいかない。


 それに、オヒメがみんなに聞かせたメリットだけど、多分シフォンも解っていた筈。その証拠に彼女は、珍しく困ったような笑顔を浮かべている。


 まるで、その気になってる小さな子供を相手に、機嫌を損ねず如何に断ろうかと、頭を悩ませているかのよう。


 その反応からして、オヒメにはオヒメで、やって貰いたい事があったんだろう。だからメアリー達の班に、オヒメを組み込まなかった。


 そう読み取ったんだけど…


「ママ?」


 そんなこんなで勘繰っていると、返事がない事を気にして、怪訝そうにしながらあたしを呼ぶオヒメ。


「ダメ?」

「いや、駄目って訳じゃ無いんだけど、あたしの一存じゃ決められないからね。シフォンの意見も聞かないと。」

「シフォンちゃんの?」

「えぇ。多分だけど、オヒメにも何かやって貰いたいって思ってる筈よ。」

「えっ!ホント!?」


 あたしの言葉に、まるで思いも寄らなかったと言った感じで驚くオヒメ。そのまま、親子仲良くシフォンへと向き直る。


「そうでしょう?」

「流石、鋭いですわね。魔道具の件が纏まりましたら、相談しようと思っていましたの。」

「何ナニ!?姫華何すれば良いの、シフォンちゃん!!」


 自分の事が、話し合いの場に出る事がそんなに嬉しいのか。何時に無く、表情を輝かせ前のめりではしゃぐオヒメ。


 メアリー達に着いて街に行くより、自分の力が必要とされてるって方が、よっぽど嬉しいんだろう。


 なんとも可愛らしい反応だけど、それも多分今の内。オヒメにとっては、そんな喜ぶような相談内容じゃ無いってのが、あたしの予想なのよね~


「それなんですが…姫華さんには、敵アジトを破壊する為の眷属を、再び生産して頂きたいんですの。」

「えっ…」

「当初の想定では、多く見積もって二箇所と考えておりましたが…最大で三箇所ともなりますと、生産していただいた分では、少々心許ないかと思いますので…」


 ――えええぇぇぇーーーっっっ!!!???


 期待に満ちた表情から一転。愕然とした表情からの絶叫が、精霊界内に響き渡る。


 あたしに次ぐ序列の所為か、めっちゃ響いた。そのお陰で、みんなして仲良く両耳を塞ぐ羽目になりました。


 やっぱね、そんな事だろうと思ったのよ。前にもそんな話ししてたもんね。


「オ、オヒメちゃん…」

「なんて馬鹿でかい声なんだい…」

「み、耳がキーンってします…」

「Yeah.,,」

「申し訳ありません。三箇所になると判明した時点で、相談すべきでしたわね。」


 突然の絶叫に、みんなが苦悶の表情で呻く中。いち早くそれを察知し、耳を塞いでノーダメージだったシフォンが、申し訳なさそうにしながら謝罪する。


 抜け目無いなぁ~まぁ、あたしもだけど。


「大変であることも重々承知しております。ですが魔法器を作成出来るのは、優姫さんと姫華さんのお二方のみ。どうかお願い出来ませんか?」

「うぅ~…」


 真剣な表情で向き合い、そう説得するシフォン。しかし、オヒメの反応は一向に良くならない。


 それもその筈。能力付きの複製品(レプリカ)作るのって、本当にしんどいからね。


 しかも、シフォンが作らせようとしている魔法器は、威力の微調整も行わないとなので更に大変。それを大量にってなったら、あたしだって躊躇うわ。


「マ、ママ~…」


 不意に、服の裾を掴みながらあたしを呼ぶオヒメ。こちらもこちらで、凄く申し訳なさそうにしている。


 更に言うと『快く受け入れたいけど、しんどいから躊躇われて。そんな自分が情けなくて、どうしたら良いの?』って、顔に書いてある様だわ。


 しゃ~ないわね~


「あ~、シフォン?割り込んで申し訳ないんだけど、質問良い?」

「えぇ、勿論。なんでしょうか?」

「例の魔法器だけど、後どの位作って貰うつもりなの?」

「そうですわね…最低でも三十かと考えておりますわ。」

「そ、そんなに!?」


 と、驚きの声を上げたのは、あたしでなくオヒメ。


「結構な数ね。元々何本作らせたの?」

「八十ですわ。一箇所につき、予備込みで四十と考えておりますの。」

「その数って、バージナルの一般的な家屋が、アジトだったと仮定して算出した数?」

「一応は。無論、測量して計算した訳では在りませんので、正確では在りませんが。」


 その説明を受け、ふむと考え込む。


 正確では無いとは言え、魔法器が三十も在れば十分足りる筈。となると、楽観視して十も作れば足りるんじゃないかしら?


 そう上手く行かなかったとしても、あたしが直接現地に赴く事になった訳だしね。一箇所位なら、作成しながら設置すれば、なんとかなるんじゃね?


 それはそれで大変だろうけど。手伝うって言っちゃった手前も在るしなぁ~


 そこまで考えて、チラッとオヒメの事を見やる。相も変わらず、申し訳なさそうにしている彼女。


 しゃ~ないわね~(二回目


「その位だったら、あたしが現地で作成するわ。」

「えっ!?」

「宜しいのですか?」

「えぇ。正確に計算して出した訳じゃ無いんでしょ?なら、予備分がまるっと余るかもだし。それに、今回っきりの代物なんだし、あまり多く作成しても仕方ないじゃない?」

「それは確かにそうですが…」

「勿論、正確に計算して足んないって場合も考えられるけど。三箇所全ての構造計算終わるのって、早くても昼以降でしょ?それまでには帰ってくるんだし、正確な数字が出てから、オヒメに手伝って貰っても十分間に合うわよ。」


 難色を示すシフォンに対し、あたしの考えを言って聞かせる。すると、今度は彼女が考え込む仕草を見せる。


 もう一押しかな。


「それに、折角プラーダに行くんなら、物資の補充とかもしておいた方が良くない?アジトが三箇所に増えたってんなら、単純に捕まってる人達の人数も増えるかもだし。食料ならまだしも、医薬品とかが不足したら後が面倒よ。」

「そうですわね…」


 不意に彼女が、そう呟いたかと思うと、続けてため息。観念した様子でオヒメを見やる。


「承知致しましたわ。ではその様に致しましょう。」

「本当!?」

「えぇ。」

「わぁ~い!ありがとう、シフォンちゃん!!」

「良かったわね、オヒメ。」

「うん!ママもありがとう!!」


 満面の笑みであたし達にお礼を告げたオヒメは、そのままメアリー達へと向き直る。


「夜ちゃん!お姉ちゃん!!姫華も一緒に行って良いって!!」

「良かったね~姫ちゃん。」

「えっと、よろしくね?」

「うん!!」


 そして、楽しそうに和気藹々とするその姿を見て、思わずほっこり。この光景が見れただけでも、負担を買って出た甲斐はあったかな。


「甘いですわね。」


 不意にそう言われ、顔を正位置へと戻す。見るとシフォンが、呆れた表情で苦笑しながらこちらを見ていた。


 それに気が付くなり、あたしも彼女に対し苦笑で返す。


「否定はしないわ。んでも、甘いってんならそっちも一緒でしょ?結局折れてんだからさ。」

「えぇ、全く。その通りですわね。」

「フフッ、ちゃん付けで呼ばれるのを、許してましたものね。」

「あれは…まぁ、呼び方でいちいち目くじらを立てても、仕方在りませんでしょう?」

「よく言うぜ。あたいだったら絶対怒ってるだろうに。」

「当然ですわ。」


 そう言って、途端に不機嫌そうになるシフォン。その反応を見て、他のみんなと顔を見合わせ肩を竦める。


 余りにもナチュラルに、そう呼んでたからスルーしてたけど、やっぱ気にしてたのね~


『――こちら銀星。今良いですか?』


 そうこうしていると、不意に通信リングから銀星の声が。気の抜けた雰囲気から一転、みんなの表情が引き締まった。


「シフォンです。勿論、宜しいですわ。」

「優姫よ。悪いわね銀星、あなた一人に見張りを押し付けちゃって。」

『いえ、そんな。夜中で特に動きもありませんでしたからね、そんな大変な事でもありませんでしたし。』

「んでも、暇だったでしょ?悪いわね。」

『暇は暇でしたけど、慣れていますから平気ですよ。何十年と壁に飾られてきましたし、夜天と二人きりの時だって一人で居るのと変わりませんからね。』

「そ~そ~」


 聞こえてくる感じからして、本当に気にしていないんだろう。けど、逆にそれが拍車を掛けて、申し訳なさが一層増した。


 おまけに、当人は冗談のつもりなんだろうけど、出した例えがブラックユーモアだったから余計にね。


 誰に似たんだろう…


 って、あたししか居ないか。気を付けようz


 ってか夜天。さっきのあんたへの嫌味も籠もってそうだし、そんな風に相づちしてると、後でまた蹴られちゃうわよ…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ