異世界うるるん滞在記~密着!子連れJK48時!!~(7)
「あぁっ!?す、すみません!!メアリーさんの気持ちも考えず、無粋な話をしてしまって…何の心配も要りませんから、どうか頭を上げてください。ね、優姫!?」
「そ、そうよ!メアリー!!横領罪とか、牢屋にぶち込まれるとか、色々言ったけど全部冗談だから!冗談!!ユーモア溢れる、It's a Black Joke!!」
彼女の様子を目の当たりにし、慌てふためくあたしとエイミー。
そんなあたし達の反応に――いやさ、あたしの発した言葉を耳にして、ビックリした様子でこちらを見やる彼女。
「そ、そうなんですか…」
「勿論よ!確かに高額で、レンタル出来ないらしいけど、事が済んだら売却すれば良いだけなんだし!!」
「え?あっ!」
と、今の気づきは目の前からではなく背後から。しかし今は、そんな事に構ってらんない。
「そりゃ多少金額が減るかもだけど、大部分は戻ってくるから!!だからメアリーがそんな気に病む必要無いから!大丈夫だから!!」
続け様、掴み掛からんばかりの勢いでそう告げた後、そのまま背後を振り返りシフォンへと向き直る。見ると彼女は、やはりと言うべきか、呆れた様子で状況を見守っている。
それは良い。それよりもっと恐ろしい者が、視界の端に居る気がするけど…
怖いので無視!
「ね!?そうよね、シフォン!!」
「…えぇ、まぁ。こちらの魔道具の性質上、直ぐにとはいきませんが、それさえ問題無ければ売却出来ます。物の価値が価値ですので、差額もほとんど出ませんわ。」
「ほら!!」
シフォンの返事を聞くや、再びメアリーへと向き直るあたし。見るとその表情は、驚きから困惑へと変わっている。
そして何故だか、あたしの背後を気にしていらっしゃるご様子。けど、怖いので敢えて触れない!
「ね!ね!?聞いたでしょ、だから大丈夫だから!」
「は、はぁ…」
触れてこなかったのに…
「あ、あの優姫さん…」
「ん?何かしら?」
恐怖は向こうから触れてきた…
――ポンッ
っと、あたしの肩に手が置かれ、思わずビクッと身を震わせる。
「…優姫?もしかして私の事、からかってました?」
続け様に聞こえてくる、普段とまるで変わらない彼女の声音。まるっきり変わらないってのが、逆におっかなくて仕方ない。
「あ…の…エイミーさん?からかってたって、何の事でせぅ…」
「惚けないでください。売却って考えが私の中に無かった事ですよ。」
「えっ、と…途中から薄々…けど、決してからかってるつもりは…」
「じゃぁ、なんで指摘してくれなかったんです?」
「うっかりだろうなって気がしたし…それに、確信したのが思い悩んでた時だから、あのタイミングで指摘したら、逆に恥ずかしいかな~って…」
「へぇ…」
と、彼女が漏らした瞬間。あたしの肩に置かれていた手に力が籠もる…
って!いやいやいや!!
そりゃ確かに大げさに言ったりもしたけども!それだけだからね!?
『あ、多分コレ気が付いてないな。それに気が付いたって、気取られないようにしよう』って、気を遣ってモノローグでもスルーしたのに!!
逆ギレよねコレ!?シフォンだって気が付いててスルーしたのに、あたしばっか酷くない!?
…なんて、言える雰囲気じゃなく。ここまで、怖くって背後振り向けにゃい…
したらば、ここで取るべき手段は、父さん直伝の――
「メアリー」
「え?あ、はい。」
不意の呼び掛けに反応して、メアリーがこちらへと視線を向ける。続け様にあたしは、彼女に向かって右手を差し出し小指を立てる。
「コレが――」
更に続けて、握りしめた両手を自身の頭部左右に宛がい。その状態から、左右それぞれの人差し指をツンと突き立てる。
「コレなもんで――」
そして最後。人差し指を立てた両手を胸元に移動させて合体。
忍々な例の手印を、ぽかんとした表情を浮かべる彼女に見せびらかしつつ…
「コレします。」
そう言い残してあたしは、独り精霊界を後にした。
…直ぐさま召喚されましたorz
うん、知ってた☆
父さんも、これやってママから逃げられた試しが無いからね!!(そこじゃ無い




