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剣道少女が異世界に精霊として召喚されました  作者: 武壱
第四章 軍国編
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異世界うるるん滞在記~密着!子連れJK48時!!~(5)

「それでは、監視役の件はこれで解決と言う事で。マリーさん、報告会が終わりましたら、銀星さんと合流して下さいね。」

「は、はい!」

「この後すぐ、捕虜の尋問を行いますので、(わたくし)はご一緒出来ませんの。ですから、詳しい事は銀星さんよりお聞き下さい。」

「わかりました、ありがとうございます。」


 振り向くと同時、あたしを挟んで行われる業務連絡。それを何とはなしに聞きながら、食べかけの朝食に手を伸ばす。


 と――


「良かったね、マリー!これでママとも仲直りだね!!」

「あ、うん。ありがとう、姫華ちゃん。ごめんね、色々心配掛けたよね。」

「うぅん!全然へーき!!ね、(やっ)ちゃん!?」

「え?あぁ、うん。わたしはぜ~んぜん、気にも留めてなかった~マスターとマリペンの喧嘩なんてしょっちゅうだし~」

「「マリペン…」」

「いきなり変な呼び方してる!?」

「あれ~気に入らない?マリペン。可愛いよ、マリペン。白黒した水棲珍獣みたいで。ねぇ~メアリー?」

「えっ!?う、うぅ~ん…」

「珍獣って!?」

「ねぇねぇ銀~今決まったんだけど、今後アクアちんの事は、マリペンって呼ぶ事になったから、よろしく~」

『――はぁ?いきなり通信繋いだと思ったら急に何。意味分かんないんだけど…』

「ちょっと、夜天ちゃん!」


 …賑やかだなぁ。ってか、こっちの世界にもペンギンいるんだ。


 なんて事を考えながら、練乳トーストぱっくんちょ。もぐもぐもぐ…


「…後ろのアレ、止めなくて宜しいので?」


 ゴックン。


「別に良いんじゃない?今だけなんだし。それに、下手に緊張されるよかマシだわ。」

「そうですか。まぁ、皆さんが気にならないのであれば、構いませんわね。」

「しっかし、一時はどうなるのかと思ったさね。優姫よ、あんた納得いかなかったら、本気で突っぱねるつもりだったのかい?」

「もち。断ったとして、最悪あたし一人でアジトの様子を見に行けば良いかなって思ったし。」

「…つまりは、あたいに監視役を押し付けようって思ってた訳かい。勘弁しておくれよ…」

「駄目?」

「駄目っつぅ~か、あたいにそんな辛抱強い真似が、出来るって本気で思ってんのかい?」

「さも当たり前のように、そんな恥ずかしい事を仰らないで下さい。全く…」


 リンダを一瞥し、ため息交じりにそう告げた後、こちらに向き直るシフォン。


「マリーさんを試したい気持ちは判りますが、関係の修復もと言う事でしたら、二人の時にお願いしたいですわね。一体、何を見せられているのかと思いましたわ。」

「あぁ、それにゃあたいも同感。」


 続け様、やれやれと言った風にそう告げる彼女。それを聞き、ついでとばかりにリンダも同調。



 そんな二人にあたしは、肩を竦め苦笑する。


「そう言われちゃうと、返す言葉も無いわね。けど、この先二人きりになれるタイミングなんて、あるか判んないんだし、しょうがないでしょ?」

「そうですよ。それに、マリーにも手伝って貰うのなら、関係の修復は必須でしょうし。」

「それはそうでしょうが…そもそもの発端は、貴女にありますわよね、エイミー?」


 あたしの弁論を支持し、擁護してくれるエイミー。しかし、直ぐさまシフォンの反論を受け、何時もの困ったような笑顔を浮かべて沈黙する。


 そんな彼女の背中を――


「だからあたし、さっきエイミー馬鹿っつったのよ。」

「あれ私に対しての当てつけでもあったんですか!?」


 ――言葉でブスッと刺しつつ、残り僅かとなったトーストを口の中に放り込んだ。


 珍しく、動揺した様子だったけど知らん。ウワキ、ユルサント、デスヨ…


 さておき。


「それで、監視役の他に相談したい事って?」

「それについては、まずこちらをご覧下さい。」


 そう言ってシフォンは、懐から取り出した物を地図の上に載せる。それは、立方体状の黒い木箱と思しき物体。


「これは?」

「空間魔術の基礎となる『ポータル』。それを封じ込める専用の魔道具ですわ。」

「へぇ~そんなのあるんだ。」


 そう返しつつ、その黒い木箱を手に取り、興味本位でマジマジと観察。見た目の割に結構重いわね。


「それを使って、離れた場所から建物の構造を解析するのよね?」

「えぇ、そうですわ。」

「I See!ならそれを、制圧した後の拠点に設置すれば言い訳ね!」

「えぇ。まぁ、そうなんですが…」

「…何?凄く言い難そうだけど、そんな深刻な問題なの?」


 シフォンの様子から、何か重大な問題でも起こったのかと思い、そう問い質す。すると彼女は、何故か諦めた様子で深々とため息を吐き出した。


「在る意味で深刻ですわね。実を言いますとそちらの魔道具、今手元にあるのはそれ一つのみなのですわ。」

「そうなんだ…うん?」


 直後に返ってきた、質問に対する答え。それを聞き、思わず深刻に受け止めて返事をする。


 けど、次の瞬間には頭に別の疑問符が浮かんだ。三箇所を調べるのに、一個しか物がないってのがそんな問題なんだろうか…


「詳しく説明すると長くなりますので、要点のみ話しますわね。」


 考えが表情に出ていたのだろう。シフォンにそう言われ、思考を切り替え意識を向ける。


「ポータルを始めとした空間魔術は、物質に対し付与させる事が難しいのです。出来無い事はないのですが、無理に行っても効果が不安定になりますの。専用の魔道具が在るのは、その為なんですわ。」

「成る程、そうなんだ…」

「ですが、シフォン。今回はその場凌ぎなんですし、無理じゃないなら付与魔術で乗り切れませんか?」


 その説明を受け、何故か困った様子でそう切り出すエイミー。それにシフォンは。口で返事するよりも先に首を横に振って答えた。


「転移先の目印程度であれば、着地点が多少ズレる程度ですから、設置箇所さえ気を付ければ使えなくもありません。しかし今回は、そもそもの用途が違いますわ。精密な構造を把握しないといけない現状、効果が不安定では心許ない。」

「oh...それは問題ね。」

「そうね。って事は、試しに付与魔術を施した武器を、眷属化させても使い物になるか怪しそうね…」


 そう漏らしつつ、手に持った木箱に視線を落とす。


「この箱を眷属化出来れば良いんだけど…ん~、武器として認識出来ないから無理そうね。」

「出来たとしても、勝手に行わないでくださいましね。」

「そりゃ、人の物だし勝手にはしないわよ。けど、なんで?」

「眷属化を行いますと、元となった物質は勿論、其処に籠められた魔力の性質も、優姫さん方ヴァルキリーの物へと、置き換わってしまいますわよね?」


 そう言われて、そこでようやくハッとし気が付く。


「そっか、感知する先があたし達の魔力じゃ駄目なのか…」

「全く駄目という訳では無いのですがね。通信魔術等の利用であれば問題ありませんが、今回の使用目的とは主旨が違いますわね。」


 続け様にそう言われ、嫌が応にも納得する。詰まる所…


「なる早で、同じ物を買ってくるしか無いって訳ね。」

「えぇ、そういう事ですわ。」


 あたしの出した結論に、伏し目がちに同意する彼女。不承不承と言ったその様子に賛同し、ため息一つ。


 この期に及んで、食料以外の買い出し決定。でもまぁ、仕方ないか~


「ですが、シフォン。その魔道具って確か…」


 なんて考えていると、エイミーの口から気になる一言。視線を向けると、先程以上の困り顔。


 困っているというより、もう不安がってると言った方が良いかもしんない。


「ですから、相談なんですわよ。」


 それに答え、伏し目がちのまま深々とため息を吐き出すシフォン。そして――


「こちらの魔道具なのですが、お値段にして金貨五十枚。それが最低価格でして、ものによっては百枚になる場合もありますの。」


 ――………………・・・・・・へぇ......(; ´ω`ก)エッ?

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