表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣道少女が異世界に精霊として召喚されました  作者: 武壱
第二章 訪問編
35/398

間章・とある妹のお姉ちゃん観察日記

○○年○月××日


 ゆうちゃんは つよくてかっこいい!

 れいも ゆうちゃんみたいになりたくて きょうからじーじに けんどうを おしえてもらえることになった

 れいもゆうちゃんみたいに なれるかな?


○○年○月×□日


 きょう じーじに れいきはすじがいいね ってほめられた

 れいが ゆうちゃんみたいになれる? ってきいたら けんにいちゃんくらい つよくなれるよ だって

 でもれいは ゆうちゃんといっしょがいいな~


○□年□月○×日


 ゆうちゃんといっしょに、けんどうをじいちゃんに教えてもらうようになって、1年くらいがたった。

 けっきょくまけちゃったけど、今日はじめてゆうちゃんから1本とれた!うれしい!

 じいちゃんにもすごいねってほめられた!


○□年□月○○日


 ゆうちゃんが、いつにもましてれんしゅうをがんばってる。

 何かあったのかな?


○□年■月○日


 さいきんゆうちゃんが、ならい事をふやした。

 そのせいで、れいとあまり遊んでくれなくなって、つまんないな~

 ママもじいちゃんも、ゆうちゃんの事しんぱいしてるし…

 ゆうちゃん、だいじょうぶかな…


○□年■月□○日


 今日は学校もおやすみなのに、ゆうちゃんは朝からおけいこと、れんしゅうばかり。

 この間たおれたばかりなのに、またじいちゃんにおこられないかな…


○×年△月○日


 今日はじいちゃんに連れられて、ゆうちゃんと一緒に、しんせきのお家に遊びにやってきた。

 じいちゃんは毎年来てるみたいで、兄さんたちも何度か来た事があるらしいけど、ゆうちゃんと私は、今日が初めてだった。

 じいちゃんが言うには、本家のお家なんだって。

 すごい大きくて広いし、道場もうちより広いからビックリ!

 じいちゃんがなんで私たちを連れてきたかって言うと、ゆうちゃんと同年代の子で、すっごい強い子がいるから、ゆうちゃんのきぶんてんかんがてら、良いライバルになるんじゃないかって、じいちゃんが思ったみたい。

 それに私もついて来ちゃった☆

 明日、ゆうちゃんはその子と手合わせする事になったけど、年上の子だって言うけど、ゆうちゃんならきっと勝てるよ!


○×年△月×日


 ゆうちゃんが、手も足も出せずに負けちゃった!

 ゆうちゃんの2才年上のお姉さんで、中学2年生の(すめらぎ)凛花さんは、私から見ても本当に強かった。

 ゆうちゃんがストレートで負けた所なんて、今まで見た事無いよ…いつも大人の有段者の人にだって、かんたんには負けないのに…

 だけどゆうちゃんは、悔しがるどころか、なんだか嬉しそうだったな。

 凛花さんも、ゆうちゃんの事を、すごく感心してたし。

 今年、剣道の全国大会で再戦しようって約束してたけど…大丈夫かな?


○×年△月○○日


 思った通り、ゆうちゃんは家に帰ってから、また練習量が増えたみたい。

 だけど、めいかくな目標ができたからか、なんだか嬉しそうで、止めるに止められないよ…

 身体、壊さないと良いんだけど…


○×年×月□◇日


 新学期を迎えて、私は4年生に、お姉ちゃんは中学生になりました。

 中学生になったお姉ちゃんは、部活必須だって言う事に、ぶーぶー文句を言っていたけど、どこか嬉しそうだった。

 それはきっと、お姉ちゃんと仲の良い、うちの門下生2人に誘わたって言うのと、本家の凛花さんと公式の試合で、再戦できるチャンスだからだと思う。

 この調子で、お姉ちゃんも剣道や居合だけに、打ち込んでくれたら良いんだけど…きっと、他の格闘技や習い事も、これからも続けるんだろうな~


○×年◇月○○日


 事件が起きた。

 お姉ちゃんが剣道部に入部してから、先輩達とあまり上手く言っていないって、2人から聞いていたけど…

 今日ついに、お姉ちゃんがその先輩達と喧嘩して、やり過ぎて怪我をさせてしまったらしい。

 さっき、その親たちがうちに怒鳴り込んできて、ちょっと大騒ぎになっていた。

 けど、その先輩達にも問題があったみたいで、パパもママもじいちゃんも、お姉ちゃんの事を信じて、かばってくれていた。

 学校もその事は解ってくれていたみたいで、停学なんて事にならなくて済んだみたい。

 だけど…なんの罰も無しって訳にはいかなくて、今年いっぱいの部活動禁止になっちゃった。

 お姉ちゃんは、部活に出られない分、他の事に集中できるって言っていたけど…

 凛花さんとの公式戦、あんなに楽しみにしていたのに…


○×年◇月○●日


 あれから、お姉ちゃんの練習量がまた増えた。

 何かを吹っ切るように、のめり込むお姉ちゃんの集中力は、今更だけど本当に凄いと思う。

 今まで何度かお姉ちゃんと練習試合をしたけど、対峙しただけで、お姉ちゃんの集中力の凄さが伝わってくる。

 じいちゃん曰く、お姉ちゃんの集中力の凄さは、剣や運動の才能なんかよりも、よっぽど希有(けう)稀少(きしょう)な才能なんだって。

 それは、小さい頃からずっと、お姉ちゃんの後を追っていた私にだって、簡単にわかった。

 お姉ちゃんは、私や兄さん達より全然凄い才能の持ち主なんだって。

 だけどお姉ちゃんは、そんな自分よりも、私や賢兄さんの剣の才能の方が、よっぽど凄いって思っている所があるんだよね…

 私や賢兄さんだって、お姉ちゃんみたいな練習量や、いくつも掛け持ちで習い事なんて、絶対無理なんだけどなぁ…


△○年☆月○□日


 今日はお姉ちゃんにとって、初めての公式戦での決勝戦。

 県大会を苦も無く突破して、全国大会決勝まで一気に勝ち続け、あっさり優勝してしまった。

 まぁ、お姉ちゃんの実力を考えたら、それも当然の結果なんだろうけどね~

 ただ、残念なのはやっぱり、お姉ちゃんと凛花さんとの、公式での試合を見れないって事よね~

 高校生の凛花さんと、公式の場で戦える機会は、再来年か~


△□年☆月○日


 もうすぐ高校全国大会が始まる。

 姉さんと凛花さんとの、3年越しの約束が、もうすぐ叶うのね。

 あの頃に比べて、姉さんは本当に強くなったと思う。

 相変わらず、練習量は凄い多いけれど、昔に比べてどこか余裕を感じるようになった。

 その集中力の凄さにも、一層の磨きが掛かって、俗に言うゾーン体験に、自分の意思で入り込めるようになってる節さえある位だった。

 けど、自分を過小評価する癖は、なかなか無くならなくて、姉さんは剣の才能では、私に敵わないって、考えているみたいだった。

 純粋な剣の才能では、確かにそうかもしれない…それはじいちゃんも認めてる事で、それが悔しくて、子供の頃はムキになって、無茶な練習をしていたんだって、今なら私にだって解る。

 だけどね、姉さん…いくら才能があったからって、それを磨かなかったら、開花する事なんて無いんだよ?


△□年☆月○○日


 今日は、いよいよ全国大会決勝。

 団体戦じゃ惜しくも2回戦で敗退しちゃったけど、個人で姉さんは順調に勝ち進み、決勝の相手はあの皇凛花さんだ。

 結果は、残念だけど姉さんが一歩及ばず、負けてしまったけれど、剣道とは言え本家の人を相手に、互角以上に戦って見せて、本当に凄いと思う試合内容だった。

 試合後、凛花さんとたまたま会って、話す機会があったんだけど、凛花さんもやっぱり、姉さんの進化している集中力に、寒気さえ覚えたって言っていた。

 そんな姉さんの相手が出来る人なんて、私の知る限りじゃ数人くらいだし、同年代じゃほとんど居ないと思う。

 このまま、孤高の人になっちゃわないか、私心配だよ…


△□年☆月○×日


 今日、ずっと昔に疑問に思っていた事を、姉さんに聞いてみた。

 なんでそんなに格闘技や習い事をたくさん覚えるのかって。

 昨日凛花さんに同じ事を聞かれて、私も今更過ぎたから、聞きそびれて忘れていた事だった。

 私の疑問に、姉さんは不思議そうな顔をして答えた。

 『一芸に秀でた人は、万芸にも秀でるって言うじゃ無い?なら、その逆だってあり得るでしょうし、万芸に等しく秀でる事が出来たら、一芸を極める事だって出来そうじゃ無い?』って、事もなげに。

 そんな考えが出来る人が、こんな身近に居るんだって、自分の姉ながら軽く畏怖した。

 それを凛花さんにも伝えたら、それは武神流六芸が、生まれるきっかけになった思想と同じだって驚いてた。

 そんな姉さんは、将来何に成りたいんだろう、やっぱりスポーツ選手かな?

妹はお姉ちゃんが大好きです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ