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剣道少女が異世界に精霊として召喚されました  作者: 武壱
第四章 軍国編
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異世界うるるん滞在記~実録!子連れJK24時!!~(2)

『それならば何より。では、手短に要点のみお伝えしますわ。昨日渡した地図はお持ちですわね?』

「えぇ。」


 そう答え、昨日渡された手書きの地図を取り出すあたし達。それに視線を落とすと同時に、ブリーフィングが始まった。


『まず始めに、その地図の見方から説明致しますわね。縦と横、等間隔に2本づつ線を引き、マス目状に合計9ブロックに分けさせて頂きました。』

『指示の出しやすさを考慮して、バージナル城のある中央ブロック以外は、北を上にした状態で、上下左右と言う形で指定しますので、皆さんもそのつもりでお願いします』

「解ったわ。みんなもそれで良いわよね?」


 視線を上げてそう聞くと同時、仲間達全員首を縦に動かす。それにあたしも頷き返して、再び視線を地図へと落とした。


「銀星、続きをお願い。」

『はい。では次に、昨日から監視して見えてきた、各ブロックの特徴を説明します。』

『まずは西側、左縦三列から行きますわね。こちらの列は、所謂市街地ですわね。中央ブロックのバージナル城から、左ブロック端にある軍門まで、真っ直ぐに伸びた幅の広い街路と、その両端に商店が並んでいますわ。』

『続いて左上と左下のブロックですが、こちらは縦長の住宅がほとんどです。左ブロックの巨大な街路から分岐した路には、商店も多少在るみたいですが、それ以外はほぼ宅地で、それら行き来する為の細い道が、蜘蛛の巣の様に張り巡らされています。地図には其処まで書き込めなかったので、行き来する際は十分注意して下さい。』


 言われて地図を見返すと、でかい街路から分岐した路は、上下合わせても8本程度。それ等から延びる無数の小路を、こんな小さな手書きの地図に書き込んでたんじゃ、そら見にくいわな~


「成る程了解。昼間の移動は、この地図に載ってる路を利用するのが賢明そうね。」

「だねぇ。これで迷子なんかになった日にゃ、大将に笑われちまわぁ。」

「笑われる前に呆れられるわよ。」

「ハッ!確かに。」

『そう思うんでしたら、素直にそうして下さいな。左側3ブロックの説明は以上になります。続きまして、中央の縦3ブロックの説明に移りますわよ。』


 顔を見合わせ、軽口を叩き合うあたし達。けれど次に聞こえて来た一声で、一瞬で切り替えて地図に視線を向ける。


『中央の3ブロックは、左側に多少の市街地が続きますが、街を分断する様に作られた壁と堀から先は、雰囲気が一変しますわ。中央にそびえるバージナル城は言うまでも無く、上下の各ブロックは、特定の地位にある方々の住居と思われます。構造上、壁から向こうへの行き来は、王城の城壁を通って進むか、上ブロックの通用門から行き来するしかありませんわ。』

「下ブロックには通用門が無いのか…」

『はい。ですので下ブロックにある建物が、造りの豪華さから見ても、貴族や高位の官職の住まいかと。』

『そして上ブロックの建物ですが、スメラギさんから提供頂いた情報と照らし合わせて考えるに、そちらに異世界人達の住居や、近衛兵の寮等があると思われます。』

「ふ~ん…なら、この辺りに島津将軍や、あの…なんだっけ、変な名前の異世界人も居そうね。」

『チェコロビッチですか?恐らくですが。』


 その返答を聞きながらあたしは、食い入る様にその一角を見つめる。さて、どう忍び込んだものか――


「優姫?これ以上、余計な事考えてませんよね?」


 ――なんて。考えてませんよ?


「釘刺されちった…」

「それ、本音と建て前逆になってないかい?」


 oh…とりま、テヘペロってして誤魔化そう☆


『…続けますわよ。』

「どうぞ、どうぞ。」

『全く…中央ブロックの、我々の見立てとしては以上となります。下ブロックに我々の探す方々が捕らわれているとは、余り考えられませんが、決めつけるのも良くありませんので、可能ならば情報の収集をお願いしますわ。』

「あいよ大将。」

『では最後に、右側3ブロックについてですが…こちらも、スメラギさんから提供して頂いた情報とすり合わせると、全て軍の施設と見て間違いないでしょう。』


 その説明に、思わず眉間に皺を寄せて該当の箇所を検める。縮尺の関係で解りずらいけど、それって…


「これ全てって…マジ?」

「そうなるとかなり広大な敷地面積ですね…」

「ですね。これをリンダさん1人でカバーするのは、流石に…」


 他のみんなも、同じ事を考えたのだろう。それぞれが険しい表情で、地図を見つめている。


 中でも、取り分けて厳しい表情をしたのは、該当のブロックを担当する事になっているリンダだ。ソレが自分に出来るのか、真剣に検討しているのだろう。


『確かに。そう考えると途方もありませんわね。しかし、別にその全てを見て回る必要は無いので、皆さん安心して下さいまし。』


 とそこへ、からかう様なシフォンのその台詞。それを聞いて、みんなの意識がそちらへと向いた。


『右側ブロックの上下ですが、そのほとんどが広大な空き地で、演習や訓練等で使われるスペースかと。それでも幾つか建物が見えましたが、恐らくは全部倉庫ですね。人の出入りがありませんし、明かりも灯りませんでした。』

「って事は、拘留されてる人も居なさそうって訳ね。」

『えぇ。昨夜行われた進軍以降は、兵士の一人も見ておりませんわ。ですので、こちらの右上下のブロックは、最初から捨てて宜しいかと。』

「ふむ…」


 二人のその説明に、改めてその該当ブロックを見てみる。手書きだから解りずらいけど、他と比べて大きな四角い記号が、どうやら件の空き地を示しているらしい。


 そうと解ると、成る程確かに。上下ブロックの約3分の2が、空き地と言う事になる。


 加えて、二人が話し合って断言するのであれば、最初っから除外して平気だろう。って事で、ペケしとこペケ×


「了解。んでも、なんか変化が起きたら連絡頂戴ね。」

『解りました。』

『では本題に移りますわね。右側真ん中のブロック、こちらの大部分を占めている建物が、軍国バージナルの中枢である軍部になります。』

『この施設は外周を壁で覆われていて、行き来の仕方は見た限り3パターン。王城から延びている渡り廊下を通って、正面から入っていく方法、上ブロックの住居から延びた路を進み、通用口から入る方法。』

『そして最後に、バージナル国の外周、東門から繋がる路を通る方法もありますが、こちらに面した通用口は、各国からの支援物資が届いた際にしか利用されていないのでしょう。固く閉ざされ、見張りも居りませんわね。』

「成る程。んじゃ最悪、怪しまれない様にするなら、そっちに回って忍び込むってのもアリかも。」

『えぇ。ですが…』


 あたしの出した提案に、シフォンが真っ先に同意する。彼女としては、それが一番望ましいのだろう。


 けれど、その思いとは裏腹に、続いた言葉が頼りない。ソレもコレも――


「なんでわざわざ遠回りしないといけないのさね?まどろっこしい…んな事せず、正面から堂々と入った方が早いさね。」


 ――そのブロックを担当する人の性格上、んな事しないだろうって、解りきってるから。


 あたしの提案を、真っ向から否定するリンダに思わず苦笑。


『言うと思いましたわ…』

「うん。あたしも…けど、一応提案してみたのん。」


 続けて聞こえてきたシフォンのぼやきに便乗し、二人仲良くため息を吐いた。


 そんなんだから、猪娘とか脳筋娘とか言われんのよ、リンダ…

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