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剣道少女が異世界に精霊として召喚されました  作者: 武壱
第四章 軍国編
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異世界うるるん滞在記~子連れJKが、肩をぐるんぐるん回してアップ始めました~(18)

 意外と言うより、素直に驚いたというべきかしら。昨日の今日で、随分と受ける印象が違うんだもん。


 昨日目を覚ました直後は、自分の足で立つのも危なっかしく見えたのに、今の彼女はしっかりと地に足を着けて立っている。勿論それは、肉体的な意味合いでは無くね。


 それもこれも、気分転換に無理矢理外の空気を吸わせたお陰か、或いはその胸に抱かれた夜天の影響か…


 どちらにしても、良い方向へと転がったみたいだし結果オーライかな。っと、それはそれとして早く返事を返さなくっちゃよね。


 …と、その前に。確認の為チラッとエイミーの事を伺う。


 直後、その視線に気付いた彼女が、こちらに向かって微笑みながら小さく頷く。その頷きに対し、あたしも小さく頷いて返した後、再び視線をメアリーへと戻す。


 見ると彼女は、今のあたし達のやり取りを見て不安にでも駆られたのろう。緊張で表情を強張らせ、次に何と言われるのかを内心ビクビクしながら待っているご様子。


 全く…コロコロと表情を変えて、まるで小動物みたいね。

 

 そんな感想が頭を過り、これ見よがしに苦笑を浮かべる。そのまま流れるような動作で、彼女に対して半身になると、左手を腰に当て空いた右手の人差し指でピッと指し示す。


 余りにも不自然で演技染みたあたしの態度を前に、緊張を更に募らせ固唾をゴックンコ。返ってきたその反応に、満足して人の悪い笑みを浮かべ――


「料理出来る?」

「えっ…」


 ――先程の申し出に対する返事を、満を持して口にする。がしかし、折角ここまで勿体付けたってのに、当の本人理解が追いついていないらしく、キョトンとしてる。


 まぁ狙い通りなんですけどね!( ゜∀゜)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \


「と、料理…ですか?」

「そそ。」


 待つ事暫く。ようやく理解が追い着いたらしいメアリーが、オドオドしながら聞き返してくる。


 それにあたしは、頷きつつ片目瞑ってウィンク。ばちこーんっ!


「別に本格的な料理とかじゃ無くて、軽食みたいな簡単なものでも全然構わないんだけど。」

「え、っと…簡単に作れる物でしたら…」

「ほんと!んじゃメアリーには、あたし達の後方支援として食事造って貰おうかしら。」


 そう言ってあたしは、メアリーから視線を外して仲間達へと向き直る。


「皆はどう思う?」

「良いんじゃ無いかい?異世界の料理ってのにも興味があるし。なぁ?」

「あ、はい!僕も食べてみたいです。」

「That' Nice!メアリー!みんなにステイツの味を知ってもらうチャンスよ!」

「は~い!はぁ~い!!姫華もお姉ちゃんの料理食べてみたい!!ねっ!?エイミー!!」

「ウフフ、そうねオヒメちゃん。」


 続け様にそう聞くと、リンダを皮切りに好印象な返事が立て続けに返ってき――


「あ、じゃぁ私の分も少し下さい。ママの所に持って行くんで。」


 ――…あのダメッ娘精霊は、何巫山戯た事をさも当たり前のようにぶっこいてやがんのかしらね?


『宜しいのでは無いでしょうか。』


 ポンコツ精霊は後で折檻するとして…仲間達の返答に概ね満足していると、リング越しからも反応が現れ、自然と意識を其方へと向ける。


『事を起こせば、悠長に食事を摂っている余裕等ありませんでしょうから。となれば当然、調理する余裕なんてありませんでしょうし。』

『同感です。我々精霊は食事を摂ら無くても活動出来ますが…皆さんもそうとは、流石にいきませんからね。』

「そうなの!?」


 そのまま、二人の語りを茶々も入れずに聞き進めていると、その変わりとばかりに別方向から素っ頓狂な大声が上がる。何事かと思いそちらを向くと、うちの長女が驚きに目を見開いてました。


「姫華達いっつもママと一緒に食べてるよ!ねぇ(ふー)ちゃん?」

「う…う~ん…」

『…そりゃ、あなた達はマスターにベッタリだからそうでしょうよ。』

「姫ちゃんってばぁ~…わたしや銀星、それにアクアちんが、何か食べてるとこなんて見た事無いでしょ~?」

「あぁっ!?そ、そういえばそうだね!!」


 マジで言ってんのか、この子…いやまぁ、餌付けしてるあたしが悪いんだけども。


 んま、それはそれとして――


「みんなもこう言ってるんだけど、どうかしら?」


 あらかたみんなの反応が出揃った所で、メアリーへと向き直り告げる。而してその視線の先、彼女の表情は思いの他暗い。


 理由は――


「私が戦力にならない事は解ってます。けど…」

「けど?」

「私の無茶なお願いで皆さんが危険な目に遭うのに、自分だけ安全な場所に留まるなんて…」

「自分が許せない?」


 その一言に、喉元まで出掛かった言葉を飲み込んだかと思うと、申し訳なさそうに俯いて黙り込んでしまうメアリー。何とも分かり易いその反応に、思わず呆れ返ってため息が出てしまった。


 あたしの出した提案に、当の彼女が乗り気じゃ無かったのは、とどのつまりはそういう事。戦力外通告されて、三行半叩き付けられたとでも思ってんでしょう。


 けど実際、戦力にならないのはその通り何だから仕方ないじゃん?だからまぁ、受け入れて貰いやすいように、話しの流れを持ってったって言うのに…


 実を言えば、メアリーにはあたし達の後方支援として働いて貰おうという提案は、昨日の時点から既に出ていたの。しかし諸々の観点から、あたし達の間でも意見が相当割れてたの。


 そりゃそうでしょ?つい先日まで酷い仕打ちを受けていて、気力体力共に危うい所まで低下してた訳だし。


 なので、彼女の方から何かしたいって言い出すまでは、身体を第1に考えて回復に専念させようって事になってたの。それなのに、ねぇ…

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