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剣道少女が異世界に精霊として召喚されました  作者: 武壱
第四章 軍国編
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異世界うるるん滞在記~子連れJKが、肩をぐるんぐるん回してアップ始めました~(15)

『その言葉、忘れないでよね?』

「う、うん!」

『ちゃんとエイミーの言いつけ守るのよ?』

「大丈夫だってばぁ〜もう!少しは()()()()()の事信じてよ!!」


 尚も続く銀星のお小言にいい加減カチンッときたのか、可愛らしく頬をぷく~っと膨らませ、ぷんすこ怒りながら言い返すオヒメ。それだけならまだしも、自分の方が姉だぞって主張までしだした。


 やっぱりと言うかなんというか…少し前に銀聖が口にした嫌味、字面だけ受けとって間に受けているらしい。


 よもや、ここまでピュアっピュアだとは…将来結婚詐欺とかに遭わないか、お母さん不安だわ…


 然して、あたし以上に不安に感じてるのは、その気にさせちゃった張本人である銀星でしょうね。それまでのお小言が嘘のように、急に黙り込んじゃったわよ。


 きっと今頃、リングの向こうで頭抱えてんじゃ無いかしら?んで、『信じて欲しけりゃ、嫌味位理解しなさいよ!』とか思ってそう。


 けどそれ口にしちゃうと、まず間違いなくオヒメがギャン泣きするのが目に見えてるし。それで拗ねられて、大事な時に大ポカやらかしでもしたら台無しだからで、諸々グッと飲み込んだってそんな所かしらね?


『そ…そうね。』


 なんて他人事みたく分析しつつ、間に割って入った方がいいかな?なんて考えが頭を過る頃。不意にリング越しから、銀星の返事が聞こえてきた。


 その返事を聞いた途端、ご機嫌斜めだったオヒメの表情がパッと明るくなった。なんて分かりやすくて単純な子なんだろう…


 けどまぁ、銀星からするとそう返事するより他ないのよね。また下手に嫌味含ませて余計な事言って、勘違いされるのが一番厄介だもん。


 そんなリスク背負う位なら、その気にさせたまま御機嫌取った方が、何かと扱い易いかんね〜銀星からしたら、相当不本意だろうけど…


 その証拠に、さっきの返事なんて無理矢理捻り出した感が強かったもんね。あの子が今、一体全体リングの向こうでどんな表情してんのかしら?


 …想像するだけでもおっかないわね――


『――皆さん、話が逸れてしまいすみませんでした。気を取り直して、作戦概要の確認を再開します。』


 なんて事を考えつつ苦笑した次の瞬間、再び淡々とした口調で総括の続きを再開した銀星。切り替えの速さもさる事ながら、生真面目に謝罪する辺りが何とも彼女らしい。


複製品(レプリカ)の設置が済んだら、今度は奴隷救出作戦を実行に移すまで、アジト内で身を隠してもらいます。』

『と言いましても、前提としてその時点で優姫さん方の準備も整っていますので、待機と言ってもさして時間はないと思って下さい。』

「解ったわシフォン。優姫達との足並みを揃える為の小休止と言った事ですね。」

『えぇ。ですが、この時点ではまだ敵に発見されたくありませんので、十分注意して下さいましね。』

「は、はい!」


 横から割り込む形で、シフォンの注意喚起に誰よりも早く反応し返事したのはジョンだった。それがあまりにも強引だった為、直前までやり取りしていたエイミーが思わず振り返ってしまっている。


 しかし当の本人は、彼女が振り返った事にさえ気付いていない。ってか返事を返した直後から、両手を力強く握り締めると、それを険しい表情でジッと見つめている。


 自分で自分を奮い立たせてるのか、或いはミッドガル港での失態を反芻しているのか…


 どちらにしても、前向きな理由で集中しているみたいで何よりだわ。これで肩の力が少し抜ければベストなんだけどね〜


 なんて、同じ様な事を考えているんだろう。ジョンを見守るエイミーの表情が、いつもの困った様な苦笑に変わっていた。


『では次に、肝心の救出作戦の概要について確認したいと思います。』


 そんな中、お構いなしに聞こえてきた銀星の台詞に、意識を話し合いの方へと再び戻す。


『現状、何人捕まっているのか解りませんので、ここでは想定しうる最悪のケースを元に、話を進めていきたいと思います。』

「最悪のケース…って事は、捕まっている人の人数が大勢で、且つそのほとんどが戦闘未経験者――って認識で良い?」

『はい。』

『私と銀星さんで話し合った結果ですが…エイミー達3人で対応できる人数は多く見積もって6人程度。しかもその全員が非戦闘員、という想定ですわね。』


 続け様、気になった部分に対し即座に自分の考えを口にする。然してその通りという銀星の返事の後、シフォンの口から具体的な内容が示される。


 一般人で6人か…エイミーが居るとはいえ、即席パーティーである事を考慮すると妥当な人数かしら?


 とは言えシフォンの事だし、きっと後2〜3人位増えたとしても問題ないって思ってそう。なのに、敢えて少ない数字を示したのは――


『行動開始と共にまず行って頂きたいのは、捕まっている方々への事情説明です。解禁場所から解放するよりも先に、まずコレを行って下さい。』


 ――最悪、救出する相手を力づくで従わせなくちゃならなくなった時、対処出来る上限がその人数だと判断した…って所かしらね。


 前提として、今からあたし達が救出しようとしてるのは、非合法で無理矢理バージナルまで連れてこられた一般人だ。やんごとなき理由で奴隷という立場しか選べなかった訳でも、まして何かしら犯罪を犯して売買された訳でも無い。


 今この瞬間もずっと、ただただ不運に見舞われ続けているだけの、奴隷なんて立場に身をやつす必要さえ無かった一般人――善良かどうかは別としてね。


 そうした人達を助け出す上で、エイミー達が一番気を遣わなくちゃいけないのはズバリ『勝手な行動をとらせない事』。有り体な話、人としての尊厳と自由を無理矢理奪われ、長い時間拉致監禁された人間の心理状態が、どうなるかなんて想像するに難く無い。


 怒りや悲しみ、憎しみに恐怖…そう言った負の感情で、ただでさえ心の中がぐちゃぐちゃになっているだろうに、更にそこへ長時間の心的ストレスが加わって、正常な判断が出来る様な思考状態にない事請け合いでしょうね。


 そんな状態にある人達を、いきなり監禁場所から連れ出したらどうなるか?精神的に限界まで追い詰められてるんだもん、我先に助かろうって考える人が出ても可笑しくないわよね。


 然して、そんな人が1人でも出たら、最悪他の捕まっている人達にも伝播して、めでたく集団ヒステリー現場の出来上がりってね。そうなったらもう、救出どころの騒ぎじゃなくなるわ。


 それを回避する為の手段として――成程、銀星の提案は確かに有効か。


『これを怠ってしまうと、後々面倒な事になったりしますから、必ず行うようにして下さいましね。しかしだからと言って、事情説明に長々と時間を掛けるのも宜しくないので、分かり易く端的にお願いします。その為でしたら、私やエイミーの名を出すのも、1つの手ですわ。』

「解ったわシフォン。」

『この時、捕まっている方に異世界人の方が居たら…ミリアさん。』

「I know!そこで私の出番って訳よね!!」

『はい。』

『お願いしますわね。』


 そうこうしている内にも話は進み、終始反論も出ないまますんなり話がまとまった。ボケ担当が話に加わらないと、こうも話がサクサク進むのね…


 …物足りないとか思ってないわよ?(←

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