表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣道少女が異世界に精霊として召喚されました  作者: 武壱
第二章 訪問編
28/398

いちからはじめるいせかいかんこう(のーまる?)(3)

「面白い事を言うねぇ、あんた剣士じゃ無いのかい?

「あたしは別に、剣士だなんて名乗った覚えは無いわよ?ただ武器の中じゃ、(これ)が一番得意だってだけよ。」


 そう言いながら、あたしは自分の腰に下げられている兼定を、指で指し示してみせた。


「あたしには兄妹が居るんだけど、あたしの剣の才能って、実の所他の兄妹達には及ばないのよね~まぁ、だからって訳じゃ無いんだけど、剣以外の武術や格闘技なんかも、色々習っててね~結果素手(これ)が一番しっくりきたって訳。」ゴツンッ


 そう言いながら、両手で握りこぶしを作って、少し強めに打ち付けた。若干、乙女の拳の音じゃ無いなとも思ったけど気にしない!気にしたら負けよ、あたし!!


 さっきも語ったけど、あたしは10を超える習い事をしてたんだけど、その半数が格闘技に関する習い事だったりする。柔道と空手はもちろんとして、弓道と長刀術はうちの本家筋の影響で始めたし、じいちゃんの親友が経営している、合気道場に出入りするうちに、気が付いたら合気道もやってるのよね~


 あとはまぁ、部活の助っ人として、レスリングやボクシングなんかもやった事あるし~兄が昔よくやってた、某ゲームのタイの人や中国の人に憧れて、ムエタイと中国拳法をちょっと調べた事もあったりする、テヘペロ☆


 まぁそれは置いといて、うちの本家筋に感化されて、格闘技系の習い事は、結構見境無く習ってたりする。あたしん家の流派は、武神流剣術本家の流れから来ているんだけど、ここで言う本家は、武神流六家を統括する、武神流六芸総本家の事だ。


 武神流をちょっと説明すると、剣・拳・槍・双剣・弓・舞踊からなる、6つの流派から出来ていて、それぞれに本家があって、それを武神流六家って言うんだけど、その6流派を集約して、1つの流派として纏め上げた流派が、武神流六芸というんだそうだ。成り立ち的には、六家が先に出来たそうなんだけど、その辺の詳しい話までは、あたしもわかんにゃいです、サーセン。


 ちなみにどうでもいい話だけど、六芸では拳術ってなってるけど、六家じゃ闘術って呼ばれてたりする。江戸時代位の頃は、六芸でも闘術って呼ばれていたみたいで、それ以前は武術って呼ばれていたらしい。


 同じく双剣術も、江戸時代頃は忍術って名乗っていたらしいのよね~それ以前は、単に双術って呼ばれていたらしく、何でそんなにコロコロ変わっていたかって言うと、時代の流れと言うか、まぁその時その時の権力者のニーズに応えて的な話みたい。


 んで、この六芸本家とは、結構親交があって、幼い頃から年1~2位の頻度で通ってたりする。よくある年始の挨拶とか、時たま流派内での模擬戦的な集まりがあるのよね~


 そしてまたまたどうでもいい話。六芸総本家は、古くは室町時代から続く名家で、それはもう立派な武家屋敷って感じの、文化財に指定されててもおかしくないって建物だったんだけど、今年の年始で、それはもうとても素敵な古民家風の、小洒落た旅館風にリフォームされていました。


 門下一同びっくりしたんだけど、リフォームの理由が耐震化だって言うんだから、まぁしょうが無いよねって話。最近地震だ~異常気象だ~で、結構大変だったもんね~これも時代の流れの世知辛さよね。


 まぁその話はこの位で置いといて、軌道修正。その本家で剣の腕を披露したり、他の武術の稽古なんかを見てたりしている内に、あたしの性格もあって、感化されてしまいましたって訳。


 その中でも、特にあたしは拳術に対して、予想外な程の才能を発揮して、当時の六家の闘術の家の人に、本気で門下生にならない?って、スカウトされた位だったりする。近くだったらそれも良いかもって思ったんだけど、内弟子にならないと駄目な位には離れてたから、パパもママも反対したのよね~あたしも流石に家族とは離れたくなかったし。


 そんな事もあって、武器を持たない武道には、特に力が入っちゃってたりするのよね~それに拍車を掛けたのが、あたしの家の近くにあった、じいちゃんの親友が経営している、綾咲流合気道場に、幼い頃から出入りしている内に、気が付いたら門下生になってました、キラッ☆


 その道場の一人娘、聖さんって言うんだけど、あたしの2つ上の先輩で、小中高とずっとお世話になってる、あたしにとってお姉ちゃんみたいな存在の人で、その人に憧れて始めたら、いつの間にか良いライバル関係にもなっていましたと。まぁそういう訳なのよね~


 もちろん自分ちの流派が一番大事だし、一番長く研鑽を積んできたのは事実なんだけど、正直兄妹達と比べてしまって、悩むような事も昔はよくあったのよね~その逃避って訳でもないんだけど、自分に一番合った競技を見つけたいと思ったのが、10を超える習い事を始めるきっかけになったのは確かだった。


 まぁ結果的に、別の才能である、驚異的な集中力を開花させる事にも繋がったし、何より複数の格闘技を修めた事で、取り入れられそうな動きを組み込んで、個々の技量の底上げが図れた気がするのよね。一芸に秀でる者は多芸に通ずって(ことわざ)があるけど、なら逆に多芸に秀でれば、一芸を更に引き延ばす事だってあると思うのよね。


 その結果が、剣道全国大会優勝という形で現れたんだって、あたしはそう思っていた。努力が報われるかどうかは、また別の話だけど、報われたいならやっぱり努力しか無いのよね~あたしは天才じゃないから。


「…ふうん。その口振りからすると、冗談って訳でもないみたいだね。」


 あたしの言葉に、まるで値踏みでもする様に、視線であたしをなめ回す様に見つめながら、そう呟くリンダ。もう少しかしらね~


「ちゃんと本気で言ってるのよ?それに…」


 そこで言葉を句切って、口の端をつり上げて笑い、顎でリンダの逞しく、見事なまでに鍛え抜かれた肉体を指してみせた。


「こう思った事はないかしら?この世で最も自分に相応しい武器は、磨き上げて鍛え抜いた、己の肉体以外他にないって

「…フッ、ハハッ!アハハハハッ!!やっぱりあんた、面白いねぇ!

「フフッ、そうでしょう?

「あぁ!全く、あたいもそう思うよ。良いだろう、その挑発乗っかってやるさね。」


 そう言ってリンダは、傍らの地面に差した戦斧から、離れるように前へと踏み出して、そのまま数歩歩いて、完全に自分の手の届かない場所にまで移動する。それを見てから、あたしも腰から兼定を外すと、振り返ってジョンの元まで歩き出した。


 ちょっと挑発としては、あからさまだったかしらね~けど、これで一番の懸念が無くなって、あたしも心置きなく全力が出せるわ。


 そんな事を思いながら、ジョンの元までやってきたあたしは、兼定を彼に差し出した。


「そういう訳で、ちょっとこれ預かっててくれない?大事な物だから、大切にね

「だ、大丈夫なんですか?わ、わわっ!」


 未だ不安そうな表情で、さっきと同じ台詞を繰り返しながら、差し出された兼定を素直に受け取って、その予想外の重さに危なっかしく取り落としそうになる彼を見て、あたしは微笑みながらウインクを1つ送ってみせた。


「ふふっ、心配してくれてありがと。まぁ得物無しなら、まず死ぬ事はないでしょ。それに…

「そ、それに?」


 あたしの言葉に、オウム返しで聞いてくるジョンを見て、くすりと笑いながら肩をすくめて誤魔化した。そしてあたしは、不思議そうな表情を浮かべる彼を置き去りに、リンダへと向き直り歩み出す。


 ま、これ以上彼を心配させるような事は、余り言わない方が良いしね。実の所あたしも、今のあたしの実力で、この世界の一線級の人にどの位通用するのか、知りたいと思ってるだなんてね。


 リンダは、この世界でもかなりの実力者だと思う。それは、彼女の鍛え抜かれた肉体や、挙動の端々で見える所作なんかでも、十分感じ取れたし、その自信に満ちあふれた態度が、何よりの証明でもあった。


 武器があっても無くても、多分あたしは負けるだろう。それ位に、あたしと彼女の実戦経験の差には開きがあるのだ。


 だけど、だからこそ本当の所は、あたしも全力で相手をしたいと、心底そう思っていたりする。最初乗り気じゃ無かったのは、単に居合が文字通りの一撃必殺の技で、不遜だけれど彼女を殺したくないと思っていたからだ。


 その憂いが無くなったんなら、あたしもどこぞの戦闘民族の台詞、言っても良いのかしらね?


 ザッ「待たせたわね。さぁ、始めましょうか。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ