表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣道少女が異世界に精霊として召喚されました  作者: 武壱
第四章 軍国編
214/398

子連れJK異世界旅~異世界の果てまでイッテQ~(3)

 まぁいずれアクアとは、エイミー()を賭けて決着を着けるとして。大筋で大体話も纏まり、食事も終えて早速行動開始となった。


 まずは確認の為、みんなを乗せた状態でジープを送還してみる。これは問題無くクリア出来たので、みんなにはそのまま精霊界で待機して貰う事になった。


 街の中で宿屋とかならまだしも、この時間に野宿でやる事も無いしね。せいぜい夜盗に襲われるか、さもなきゃ夜行性の害獣に襲われるかだろうから、下手に野宿してたら危険じゃない?


 襲ってきた方がさ(そっちの心配


 ベファゴとガチでやり合った面子ですよ?手籠めにしたいんだったら、一国の軍隊位持ってこいってのよ。


 まぁそんな心配は兎も角として、ジープ毎みんなを精霊界に送ったあたしは、ハーレーの方へと向き直り、その手前で既に準備を終えているアクアへと向き直った。因みに今の彼女は、いつも着ている青のヒラヒラゴスロリドレスじゃ無く、あたしと同じ動きやすい服装だ。


 車なら兎も角、バイクであんな恰好とか色々邪魔だからね。まぁ、スカートの中身見えても、カボチャパンツだし別に構わないとは思うよ?(ぇ


「さ、そしたら準備も整ったし、早速行きましょうか。」

「そうですね!」


 意気揚々と答えたアクアが、颯爽とハーレーに跨がりハンドルバーを握りしめ、あたしが後部シートに座るのを今か今かと待ち構える。やだ、ちょっと格好いい。


 流石世界にその名を馳せた高級車!ハーレー補正で普段ポンコツな上位精霊も、当社比2割増しで様になるのね!!


 けどそれもこれも、全てはエイミーの為なんでしょ?解せぬ…


「さぁ優姫さん!早く行きましょう!!」


 やる気に成ってんのが更にイラッてさせるわね~後ろに乗ったの良い事に、色々まさぐってやろうかしら。


 そんな邪な事を考えつつ、アクアの肩に手を突き勢いを付け、後部シートに着席する。と同時に、胸元からミリアに借りた時計を取り出し、それを彼女の眼前に持って行く。


「張り切るのは良いけど、3時間交代だからね?あんたが運転マスターするまで、付き合う気更々無いからね。」

「わ、解ってますよ!その3時間でマスターしてみせますって!!」


 そのやる気を、もっといろんな所で出して欲しいとは、面倒くさいので黙っとく。だってそれ、ウィンディーネかカーラさんの役目だし、なんで人ん家の子まで面倒見ないといけんのかと。


 色々釈然としない物を感じながらも、ともあれ程なく出発。車の操縦教えた時同様、後部シートに乗ったあたしが遠隔操作して、彼女にはバイク自体の乗り方にまず慣れて貰う。


 そんな感じであまり速度を出さずに30分位走行した後、徐々に速度を上げていく。やがて速度が時速120㎞を超えると、その辺りから風圧で目を開けているのが辛くなってきたので、やむなくフルフェイスメットを装着。


 日暮れ前までは、基本林の中で速度出さなかったし、林から出た後も車の影に入ってたから必要感じなかったのよね~転倒とかもしないしさ。


 その後は、特に問題も無く速度をガンガン上げていき、メーターフルスロットルで2時間ちょい走行。速度を上げた当初は、アクアがギャーギャー騒がしく運転教える所の騒ぎじゃ無かったけれど、とりあえず乗り方には慣れたっぽい。


 けど、まだまだ運転1人で任せるのには不安しか無いから、結局2周目もあたしと一緒に組む事に成った。バイクの運転は車の10倍難しいって言うし、今回だけでどうにかすんの難しいと正直思ってんだけど、本人やる気だしまぁいっか。


 ともあれ、予定していた3時間が過ぎた所で、精霊界に渡りエイミーとミリアを連れてくる。


「それじゃ2人共、よろしくお願いね。」

「I See!」

「えぇ、任せて下さい。」


 言いながらメットと借りてた時計をミリアに手渡して、後部座席に乗る際の注意事項をエイミーに伝えておく。車に乗るのと同じだと考えてたら、凄い痛い思いするだろうからね~


 お尻とか、おまたとか。車体が揺れる時に怖いけど、慣れるまでは横座りの方が良いと釘を刺しておいた。


 伝える事を伝え終え、バイクで颯爽と去る2人を見送った後、とりあえず仮眠を取る為精霊界へ移動。ジープで寝ようと思ったら、みんなそこで休憩してて場所が無いと言う…


「――じゃから儂が姫華と行動すると言うとろうが!何?『儂だと頼りない』じゃと!?どう言う意味じゃワレェ!!」

「お、落ち着いておばあちゃん!」


 しかも、まだどっちがオヒメとバイクに乗るかで口論してるし。3時間もよく続くなぁ…


 そんな中に無理矢理入りに行っても休めそうに無いので、仕方無くシートを雲(?)の上に敷いてその上に寝転がる。前にチラッと考えた精霊界箱庭計画、ちょっと真剣に検討しようかな…


 建物一棟丸ごとこっちに持って来られたら、手っ取り早いんだけど出来るかな?そうすれば今後、わざわざ宿屋に泊まる必要だってなくなるから、宿代浮いて助かるだろうしね。


 まぁ別に、建物じゃ無いけどノーチス号の複製品(レプリカ)作って、それを魔改造するでも良いのよね。構造自体はバイクや車と比べて簡単だから、単純に時間と魔力さえ在れば作成出来るし。


 普通の家屋よりも、案外そっちの方が面白味が有って良いかもしんない。まぁ、陸に乗り上げた船住居として使うとなると、いかにも海賊のアジトです臭が半端なくするけどね。


 それはそれとして、んな事考えながら仮眠した所為で案の定夢にまで見てしまい、割と乗り気で前向き見当している次第です。ガチで戦艦DIYするかは兎も角、拠点になる建物はやっぱ欲しいしね。


 仮眠初めて3時間後、エイミーに召喚されて目覚めたあたしは、今度はオヒメと明陽さん達を連れてハーレーの前へ。話し合った結果、どちらも譲る気が無いらしく、結局3人で行動する事に成ったらしい。


 オヒメを真ん中にして、後部座席に譲羽さんタンク側明陽さんって形だ。背の順からして、まぁこうなるわよね。


「それじゃ、御2人ともオヒメの事お願いしますね。」

「うむ、任せよ。」コクッ


 あたしの言葉に、オヒメの前後に座るノーヘル2人が応えてくる。ただでさえ3人乗りな上ノーヘルとか、これ異世界じゃ無かったらもう逮捕案件よね~


 1度は渡そうとしたのよ?けどそんな物必要無いって、直ぐさま突っぱねられちゃったのよね。



 そんな所ばっかり、息ピッタリなんだから。まぁ、速度出てきて必要だと感じれば、オヒメが出すから良いけどね。


「オヒメも気を付けてね。」

「うん!任せてママ!!」


 あたしの言葉に元気よく頷くオヒメも、当然の様にメットをしていない。代わりに例の狐面が側頭部に掛けられている。


 いざとなったら、それで顔面ガードするらしいですよ?メットはお面外さないとだからイヤーだって。


 もう好きにしてと3人見送った後、ミリアの要望で彼女の所持品を眷属にする事になった。これによってコルトガバメントとベアボウを、眷属としてお出迎え。


 他にもスペツナズ・ナイフなんて、物騒な代物まで出てきたのでそれも眷属にして、着ている物もちゃっかり眷属化。ホットパンツ、あたしも良く履いてたからね~


 それはまぁ良いとして、眷属化とそれらに関する説明を一通りした後、彼女からドラグノフを譲って欲しいと切り出された。まぁ、そう言われるんじゃないかなと、最初から構えてたので別に驚きも無い。


 そもそもが、ドラグノフを諦めきれなかったから、あたし達を追ってきたんだしね。ずっと話を切り出すタイミングを、見計らっていたんでしょうね。


 これに対してあたしは、何の迷いも見せずに二つ返事であっさり承諾。まさかそんなアッサリOKされると思って居なかったらしく、ミリアが目を丸くして固まっていたのは、見てて面白かったわね。


「Really?」

「えぇ、勿論。」


 例のジュラルミンケースに入った状態では無く、既に組み上がった完全な状態で召喚してミリアの前に差し出す。これで彼女がドラグノフに触れてあたしが使用承認を行えば、それで必要な手順は終了だ。


 それでドラグノフは、ミリアの意志に従って召喚に応じるようになる。ただし、あたしの召喚要請の方が、彼女より優先順位が上だと釘を刺すのも忘れない。


 まぁ、あたしが狙撃銃なんて使う機会、まず無いだろうけどね~


 あたしが頷くのを見たミリアが、少し戸惑いがちにドラグノフへと手を差し伸べて触れる。直後、触れたその部分から、青みがかった銀の光が浮かび上がる。


「その状態で、強く『去れ』ってイメージしてみて。」

「…Oh!」


 あたしがそう言うや、それまで確かに彼女が触れていたドラグノフが、次の瞬間忽然と姿を掻き消した。その様子を間近に見て、ミリアが目を丸くして驚いている。


 まぁね、直に目の前で怪奇現象起こったら、普通そう成るよね。既に慣れちゃってるあたしは、大分この力に毒されてるなぁ~


 ともあれ、ドラグノフの使用契約はこれにて終了だ。と同時にミリアは、武具の精霊として眷属を分け与た、記念すべき第1号となった訳だ。


 なんだか、精霊として初めてお客さん取った気分ね~もっとサービスサービスゥしちゃおうかしら?


 それはさておき、ドラグノフの使用契約を終えた後、ミリアから代金として金貨3枚を受け取った。あたしとしては、使用権を渡しただけで所有権はこっちにあるんだし、別に必要無いって言ったんだけど、本人がそれじゃ納得出来ないって言うからね。


 それにアーチェリーの矢や、残り少なかった.45ACPって種類の弾に加えて、ドラグノフ用7.62×54mmR弾もしっかり眷属にしたからね。こっちの世界じゃ探すだけで一苦労な銃弾、今後購入しなくて済むってだけで、相当感謝されたからね。


 それで無償なんて言われたら、むしろ怖いってあたしも成っただろうからね。それに、予想以上の出費が続いたのも事実だし、事務手数料のつもりで受け取りましたと。


 これにてミリアの件は一段落となり、次の交代時間までは2時間ちょい。仮眠しても良かったんだけど、それより優先して確認しておきたい事があったので、例によって精霊の能力検証をする事にした。


 何を確認しておきたいかというと、今回の眷属召喚による瞬間移動とは、在る意味で真逆に当たる検証と言って良いだろう。これがもし可能とだったら、本格的に精霊式瞬間移動と呼んで良さそうな事が可能になる筈だ。


 今回行っている瞬間移動もどきは、眷属を召喚したりエイミーが契約であたしを召喚したりして、召喚術という仕組みそのものを応用している。ここでポイントになるのは、召喚する側が空間湾曲系瞬間移動で必要となる、『ポータル』の役割を果たしていると言う点だ。


 この『ポータル』を果たせるのが召喚する側ありきで在る限り、片道切符の一方通行でしか無い。この問題を解決し行き来出来るようになって、初めて移動方法として完成する。


 その為には、移動したい側――召喚される側が、召喚する側の『ポータル』をまず認識して、そこに向かって移動すれば良い。要するにあたしがオヒメの今居る地点に向かって、現実世界に飛ぶ事が出来れば、それで全て解決という訳だ。


 理屈はさておき、オヒメの居る元にあたしが移動するというのは、きっと可能な筈だ。そう思う切っ掛けとなった直近の出来事は、呼んでも居ないのに突然銀星達が、あたし達の居る船室に現れた時だ。


 あの時、初めて訪れた場所にも関わらず、銀星達はあたしの元にやって来た。これは紛れもなく、あたしと言う『ポータル』目掛けて移動して来た事に他ならない。


 親である精霊王から産まれた子精霊達は、本能的に精霊王の存在を感じ取っているんだろう。となると、少なくとも子精霊からすれば、移動手段としてしっかり機能している事になる。


 ならば当然、上位存在の精霊王が子精霊の存在を感知出来ない筈が無いのだ。現に意識を集中してオヒメの気配を探ると、確かな存在感を感じ取る事が出来るしね。


 より詳しく知る為にも、アクアに話を聞きたいんだけど…ヤツァ~脳天気に寝てやがるんですよ。


 と言う訳で、風華と銀星に協力要請。移動中のオヒメに、何の相談も無しに飛んだりしたら危ないし、うっかりこっちに呼び戻しちゃうかもしんないしね。


 因みに夜天は、ベファゴ戦終わってからほぼずっと寝てる模様。どんだけ眠れば気が済むのかしら…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ