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剣道少女が異世界に精霊として召喚されました  作者: 武壱
第一章 召喚編

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各々方討ち入りでござる〜バナナはおやつに入ります?(2)

「ねぇ?2人共そろそろ席に着いたら?折角の朝食、リンダさんが全部食べちゃうわよ?」


 タイミングを見て、あたしは2人に向けて声をかける。百合ゆり〜んな光景は、個人的にはご馳走ですが、そろそろ話を先に進めたいでござる。


 あたしの言葉に、2人は一瞬顔を見合わせると、エイミーはニコニコ顔のまま空いている席に移動し、シフォンも名残り惜しそうに、もう一方の空いている席に着席する。


 結構大きめのテーブルの一方を、エイミーを真ん中に両隣にあたしとジョンが座り、対面にリンダとシフォンが座っている形だ。


「「いただきます。」」


 そう言って、朝食を始めようと、大皿に盛り付けられた料理を、自分の皿に取り分けようと手を伸ばした2人は、迷わずガザ虫を自分の皿に載せる。え〜、もうこのくだりは、いい加減飽きていると思いますが、今しばらくお付き合い下さい。


 だって、この異世界には、お決まりのメニュー画面なんて無いんだもん!あればきっと、その中にスキップボタンもあった筈なのよ!


 あたし基本ソシャゲとか、習い事の合間にやってたから、時間限られてるから、シナリオとか全部スキップ連打だったのよね〜え?シナリオはちゃんと読む派?いい加減な奴でサーセン


 でもですね?あたしの気持ちも考えて欲しいんですよ。リンダは手掴みでむしゃむしゃ行ってるから、まだ良いんだんだけどさ、このお上品なお2人は、ご丁寧にナイフとフォークで丁寧に1口大にして食べるもんだから、断面がその…ね?


「…リンダ。他所様のお宅ではしたないですわよ

「固い事言うなよ大将。飯位自分の好きに食べさせてくれよ。なぁ?

「うふふ、えぇ。たくさん食べて下さいね、足りない様でしたら、また持ってきてもらいますから

「へへっそうかい?腹が減ってちゃ、この後に響くってもんさね

「全く、図々しいですわよ。

「けど、リンダさんの意見にはあたしも同感よ。腹が減っては戦は出来ぬってね、あたしの世界じゃ、そう言う格言がある位だし

「おっ!いい事言うじゃないか異世界人

「優姬よ。呼び捨てで構わないわ

「んじゃぁ優姬。良い事言うなら、実践しないとね?はい

「い、いらない…」


 そう言って、あたしの皿目掛けて、手に持ったガザ虫を差し出すリンダ。それを皿を持って、身体毎横向いて回避するあたし。


「こちらに来られたばかりの異世界人の方々が、食文化の違いに驚くのは有名でしょう。無理強いは宜しくないですわよ

「別に無理強いさせる気は無いさね。要は単なる食わず嫌いみたいなもんだろうし、栄養価が高いのは間違い無いんだし。

「ぐっ…そう言われると辛いけれど、でも虫を食べるのは無ー理ー!

「…リンダ、貴女楽しんでますわよね?

「うふふ。こんなに賑やかな朝食は、久しぶりね。あら?そう言えば、ジョンもガザ虫を食べていないようですね

「あ、はい。実は僕もガザ虫が苦手で…」


 エイミーに話を振られて、照れくさそうに答えるジョンの返事に、あたしは内心ガッツポーズを取る。おっしゃ!仲間発見!!


 そんな事を考えて顔を向けると、不意にリンダが瞳を輝かせ、手に持ったガザ虫をジョンに向けている所だった。


「それはいけないねぇ!ならまずあんたが、優姬に手本を見せてあげなよ

「あ、えっと…丸のままの食感が苦手で、潰して野菜と混ぜて焼いたりすれば、普通に食べますよ。」


 リンダに差し出されたガザ虫を、困った様に見つめながらも、彼はそれを自分の皿に載せた。なんだよ〜仲間じゃなかったよ〜しかも潰してとか言われて、想像しちゃったわよ馬鹿〜


「なんだい。つまらない反応だねぇ

「「タチが悪い(ですわ)」」


 彼女の明らかな悪ふざけに、思わずあたしとシフォンの台詞が被り、そんなあたし達のやり取りを、まるで聖母の様な微笑みでエイミーが見つめていた。


 そんなこんなで、賑やかながら楽しい朝食の時間が過ぎて行った。いやぁ、本当に1時間位前の、あの喧々轟々な話し合いが嘘のようだわ。


「それで、結局どうするかまとまったの?」


 朝食を済ませたあたし達は、食器を片付けテーブルの上を空けると、そこに近隣の地図を広げていた。ここからは真面目さんのターンと言う事で、食後の紅茶(味が緑茶の例のヤツ)をひと口啜り、真っ先にあたしが口火を切った。


「はい。やはり優姬さんの案で行くのが妥当と言う事で、里の者達も納得しました

「そう。」


 エイミーの言葉に頷いたあたしは、そのままテーブルの上に敷かれた周辺地図を見つめる。実は、リンダとシフォンによってもたらされたのは、何も戦力的な物だけではなかった。


 2人がこの里にやって来たのは、エイミーの依頼が原因だった訳だけれども、似たような被害が近隣の村々でも頻繁して起きていて、恐らくは同一の犯行だろう依頼書が、多数出回っていたそうなのだ。


 もちろん、既に何組かの冒険者達が、討伐に乗り出していたらしいのだけれども、その尽く(ことごとく)が返り討ちにあい、近く討伐隊を編成しようかと言う流れにまでなっていたそうだ。


 規模は40人〜50人程度で、そのほとんどが冒険者崩れのならず者達。その盗賊団の頭目と思われる男は、元騎手の可能性があるらしい。


 この世界で言う所の騎士は、単純に言うと冒険者の上位互換の様な階級職の様だった。冒険者で戦闘に関する依頼を、受けられる鋼階級になる為には、エンチャントアビリティというスキルと、もう一種の基本スキルを習得しないといけない訳だけれども、騎士見習いになるには、基本スキルと言われるスキルは、全て習得するのが最低条件なんだそうだ。と言っても5種類位らしいけどね。


 まぁそこまで厳しいのは、国を守るにあたって、下位冒険者程度に後れをとるようでは、国民を護る事すら出来ないからだろうね。戦闘職の冒険者なんて、信用と信頼がなければチンピラやならず者と変わらないんだろうし。


 ちなみに、大国と呼ばれる国の騎士団には見習いと言う制度はなく、基本スキル全ての習得に加え、筆記から実技までの入団テストで、資質を計られるそうだ。邪神兵との戦闘を目的とした軍国は当然として、大国は邪神兵との戦争が起きれば、即座に対応するのが当たり前だから、実力主義なんだって。


 話を元に戻すけど、冒険者崩れのならず者達を、4〜50人もまとめ上げる事が出来るとしたら、それはもう元騎士位なものだろうね。冒険者崩れのならず者なんて連中は、実力はあるけど品行や人格に問題のある連中が、何時までも階級が上がらない事に腹を立てて、安易に犯罪に走る様な連中とはリンダの説明。


「ですが、優姬さんの言う通り、事が運ぶんでしょうか?」


 と、不安そうに訪ねてきたのはジョンだった。


「まぁ、確証は無いけれどね。もし相手がただの冒険者崩れだって言うんだったら、そりゃアジトで待ち構えて、物量に任せてたかもしれないけれど、騎士が相手なら、多少は頭も使うでしょうよ

(わたくし)も同意見ですわ。相手はこの里の方々に、アジトの位置を知られたと考えて要るでしょう。エルフ達の種族間の結束の強さは有名ですし、恐らく乗り込んで来ると考えている筈ですわ

「そこで、不確定要素があるとしたら、このあたしでしょうね。昨日逃した連中から、あたしの事は真っ先に警戒するでしょう

「同時に異世界人ってのは、裏じゃ結構な値段で取引されてるって話だし、それが若い女ともなればどれ程の価値が付くのかねぇ

「羨ましいのなら代わってちょうだい

「ハハッ、御免こうむるさね。まぁ、間違い無く奴等の第一目標は、優姬だろうねぇ

「嬉しく無いわ〜」


 たまに軽口を交えつつ、状況生理と現状把握のすり合わせを進めていく。奴隷制度があるんなら、異世界人が奴隷にされる危険性は、当然あるだろうしねぇ。


「本当に申し訳ありません。こんな事に優姬さんを巻き込んでしまって…

「もう良いわよ。後悔先に立たずってね、今は今出来る事を考えましょう。それで、この里と盗賊団のアジトの場所と、その間に大勢の伏兵を忍ばせておけそうな場所はあるの?

「はい。里はこの開けた場所で、聞き出したアジトの場所がここ。伏兵が潜めそうな場所はここの洞窟と、ここの2箇所位ですね。

「ふーむ…」


 あたしの問に、地図上に指を指して場所を示すエイミー。そこへ目印になる様に、敵のアジトには大きめの石を、潜めそうな場所には小石を置いた。


 とは言っても、そもそもが森の中なんだから、隠れようと思えばいくらでも隠れられるのよね〜まぁ、その場合は少人数で広範囲に潜伏させなきゃ意味が無いし、向こうもそこまで考えていないだろうけど。


 地図を見ながら、自分が相手ならと置き換えて、推測を広げていく。エイミーとシフォンが、里のエルフ達と話をまとめる際、あたしは現状知りうる情報と、相手の規模等を踏まえて、ある考えを伝えていた。とりあえず、先に重要な情報だけ整理したいと思う。


 まず第1に、盗賊団の目的は何なのかを考えると、この里に限って言えば、エルフを捕まえて奴隷商人に売り渡す事だろう。この世界の奴隷制度がどう言ったものかは知らないけど、うちの世界の第二次大戦以前の、旧植民地時代の歴史を参考に考えれば、あまり良いとは言えないだろう。


 そして、ここで大きな問題になるのはあたしの存在だ。さっきリンダが言った様に、異世界人は奴隷として高値で取引されている。もちろん非公認らしいけど。


 まぁそれは考えれば当然で、今朝あたしが自分の身体能力を、大雑把に計測した結果を考えれば、異世界人はこの世界において、身体能力的に現地民よりも優れているのは間違い無い。それなら当然農奴なんかとして考えても高効率だろうし、それが若い女だって言うのなら色々と幅も広がるだろう。言いたく無いからぼやかして表現しました!


 ともあれ、そう考えると、奴等の第一目標はあたし、第二目標はエルフの女子供、第三目標がその他大勢のエルフ達と言った所だろう。


 次に重要な事は、相手側の戦力だ。ならず者の冒険者崩れでなかったとしても、4〜50人の規模と言えば、素人の集まりだとしても十分脅威だ。それが統率の取れた大隊だったらまず勝ち目なんて無いだろう。


 けど、ここで重要になってくるのが、相手の頭目が騎士崩れで、かつ人身売買が目的なら、なるべく無傷であたし達を手に入れたいと、必ず考える筈だという点だ。


 そこで相手が取るだろう相手側の戦法は、挟み撃ちでまず間違い無いだろう。もしも単純な総力戦でぶつかれば、まずエルフに勝ち目なんて無く、旗色が悪くなれば撤退されるだろう。


 そうなった場合、相手にとって一番都合が悪いのは、手出し出来ない里の中で、絶望したエルフ達が自害する事だろう。そうなった場合、相手にとっての旨味が全くなくなってしまう。


 それを回避する為に、相手は必ずエルフ達の退路を絶って、攻めて来たエルフの捕獲をまず考えるだろう。その後、捕獲したエルフを使って、里に残るエルフを誘き出そうと考える筈だ。


 そうなってくると、また問題になってくるのがあたしの存在だ。相手はきっと『エルフが異世界人を戦力として考えるか、否か。』を考えて、挟み討ち作戦を2パターンは考えてくる筈だ。


 相手にとって、第一目標であろうあたしが、奪還作戦に参加していた方が、相手にとっては一番都合が良いのだ。ちゃんと姿を確認できるし、囲んでしまえばいつの間にか逃げられていると言う心配も無いからね。


 問題は、あたしが里に待機していた場合だ。その場合、いつの間にか逃げられてしまう可能性があるので、必ず里の周辺で見張っている必要があるのだ。


 だからきっと、相手はこう考える筈だ。部隊を最低でも3つに分けて、攻めて来たエルフを迎え討つ部隊と、挟み討ちにする部隊、里の周囲を警戒する部隊にすると。


 恐らく、攻めて来たエルフの部隊に、エルフ以外の者が居るか居ないかを確認して、狼煙(のろし)か何かで知らせてから、2つの部隊に合図を送るんだろう。攻めて来た部隊にあたしが居れば、両方の部隊を挟み討ちで使えば良いだけだしね〜


 まぁそんな様な事をみんなに話した所、エイミーとシフォンに賛同をもらえたので、それを前提に作戦を立てようと言う事になった次第です。

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