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剣道少女が異世界に精霊として召喚されました  作者: 武壱
第三章 精霊編
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必殺技を考えよう!(身体は剣で出来てません(5)

 まぁ、それをネタに小説書くかは、元の世界に無事戻ってから考えるとして、今はそれよりもこの事態の収拾にどう動くかよね。何はともあれ、こうしてエイミー達と無事合流出来たんだし、今後の方針をとにかく決めないといけない。


 今後の課題は山積みだけれど、とりあえずそれらは一旦頭の片隅に追いやって、気持ちと思考を切り替える。折角アクアが作ってくれた束の間の休息だし、緊張を解すついでに夜天と銀星の武器化を解くと、彼女達と背中にくっつくオヒメを伴い、エイミーの元に近づいていく。


「エイミー、大丈夫?ほら、これ。」

「だ、大丈夫ですよ。ありがとうございます…」


 顔を青くして、寒そうに震えているエイミーに、羽織る物を召喚して手渡しながら気遣う。それを受け取ってすぐさま羽織る辺り、口では強がっているけれど、やせ我慢しているのは明白だった。


「うぅ…す、すいませんでした…」

「そこまで畏まる必要ないじゃ無い。ねぇ?」

「えぇ、そうですよ。アクアさんのお陰で、こうしてゆっくり出来るんですし。」


 謝罪の言葉を口にしながら、あたし達の元にやって来たアクアに対しそう答えて迎え入れた。少しやり過ぎた感があるのは確かだけれど、そのお陰で作戦会議するだけの時間が出来たんだし、まぁ結果オーライよね。


「それで、今後の事だけれど…」

「勿論、このまま掃討戦に移行します。幸い、イザベラ様が合流して下さったお陰で、フェアリー達を安全な精霊界へ避難させる事も出来ましたし。」

「はい、これも皆様のおかげです。本当にありがとうございました。」


 お礼を言われて振り向くと、フェアリー達を無事精霊界に避難させたらしいイザベラが、あたし達の元にやって来て話しに加わる。この場に居るメンバーが全員集まった事だし、本格的に話し合いを進める事が出来そうね。


「まぁ、逃げるって選択肢は無いわよね~イリナスにシルフィーのフォローするって言っちゃったし。」

「そうなんですか?」


 あたしの言葉を聞き、驚いた様な表情で聞き返してくるエイミーに、苦笑しつつ肩を透かしながら首肯して答える。


「それは大変ありがたいのですが、皆様どうか無理はなさらないようにお願いします。誰1人として犠牲者を出すなと言うのが、シルフィード様の厳命なのです。」

「誰1人として…ねぇ。全く、こんな状況だって言うのに、あのシルフィーなら確かにそう言いそうね。」

「フフッそうですね。」


 心苦しそうに言うイザベラの言葉を聞き、エイミーと顔を見合わせながら、その光景を思い描いて笑い合う。あのお調子者で人懐っこくて、天真爛漫を絵に描いたようなシルフィーなら、何の疑いも疑念も抱かずに、堂々と理想を口にするでしょうね。


 そんな彼女だからこそ、夢見がちな理想論者としては放ってはおけないし、その理想を実現させる為に、協力したいと心から思える。その思いはきっと、お人好しを絵に描いたようなエイミーも同じだろう。


「なら、真っ先に優先するべき事は、フェアリー達の安全の確保ね。」

「えぇ、そうですね。」


 シルフィーの思いを聞いて、真っ先に出したあたしの案に、1も2も無く同意して頷くエイミー。他のメンバーに視線を向けると、エイミー同様異論を唱える者は誰も居ない。


 それを確認して、あたしは力強く頷いた後、話を進める為に口を開く。方針はとりあえず決まったけれど、それで即行動して上手くいく程、世の中甘くないからね。


「イザベラさん。今の戦況とかって解る?あと、フェアリー達が何処に隠れているのかとか。」


 行動したくても、今のあたし達には事に及ぶ為に必要な、最低限の情報さえ無いのが現状だからね。危機的状況下で、無闇矢鱈と動き回るなんて命取りも良い所だ。


 ただでさえ風の谷は広いってのに、土地勘も無ければフェアリー達の隠れていそうな場所も知らないじゃ、ただでさえ暗闇の中を手探りで歩かないといけないのに、更に目隠しまでされてるような物じゃない。1分1秒だって惜しい状況で、無駄足を踏んでる余裕なんて無いのよ。


「現在の戦況ですが、今の所次元の穴から現れたのは、パラディンかロード級と思われる蟲人が1体。眷属を数体召喚し、それ等とシルフィード様が交戦中です。」

「その、パラディンとかロード級って言うのは?」

「どちらもナイトタイプの蟲人上位種で、パラディンは戦闘能力に特化した個体で、ロードが統率力に特化した個体です。」

「なるほどね。ハッキリとした事は、まだ解らないの?」

「えぇ。ロードにしては召喚数が少ないのですが、様子見という可能性もありますし。それに今の所、眷属に闘わせているだけの様で、最初に現れた個体の強さは未知数のままですから。」

「そうなのね…しっかし、まるで実際に見てきたかのように判るのね。」

「えぇ。この谷は常に風が吹き続けていますので、その風を読めば大抵の事は把握出来ます。」


 あたしの質問に、嫌な顔せず丁寧にイザベラが答えてくれる。その余りの淀みの無さに疑問を抱いて聞けば、なんとも風の精霊らしい能力を聞かされて、思わず納得する。


 灯台もと暗しとは正にこの事ね。少しでも情報が欲しいこの状況で、彼女の能力は本当に助かるわ。


「なら、フェアリー達の居場所もハッキリわかるのかしら?」

「えぇ、もちろんです。それと、そのフェアリー達の事ですが、差し迫った状況はどうやら脱したようですからご安心下さい。」

「どういう事かしら?」


 それまで、真剣な表情をしていたイザベラが、不意に表情を緩めて呟いた。それを不審に思いながら聞き返すと、彼女は安心した様子で柔らかく微笑んだ。


「外に出ていたフェアリー達は、姉妹達が見つけて避難し終えたようです。風の吹かない様な場所に隠れているのでしょうが、邪蟲達にすぐ見つかるような場所では無いでしょうから、とりあえずは大丈夫だと思います。」

「そう…」

「良かった。」


 彼女の報告を聞いて、ホッと胸をなで下ろした事で、少しだけ緊張がほぐれたんだろう、あたし含めてみんなの表情が少しだけ緩む。けど、だからって安心して居られない状況である事に変わりは無く、咳払いをして再び顔を引き締めた。


「だからって、避難が完全に終わった訳じゃ無いわよね。フェアリー達が隠れている場所の目星は付いてるの?」

「えぇ。すでに姉妹達もそれぞれ思い当たる場所に向かっている様子です。この近くにも2カ所ほど心当たりがあります。内1カ所は、先程お2人がシルフィード様と向かわれた、岩屋の側です。」

「あそこか…なら、2手に別れて行動しましょう。あたし達はその岩屋に向かうから、イザベラさんはもう1カ所の心当たりのある方に向かって頂戴。あたし達と一緒に行動するよりも、そっちの方がイザベラさんも動きやすいだろうし。」

「ですね。もしも私達が向かった先にフェアリー達が居る様なら、その場で保護して彼女の到着を待つ訳ですね。」

「そゆ事そゆ事。」


 あたしの考えを、正しく理解したエイミーの言葉に頷きながら、アクアとイザベラの様子を伺う。2人も異論は無いようで、一旦間を置いたけれど別の意見が出る事は無かった。


 その沈黙が答えだと受け取って、口角をつり上げて不敵に笑って見せると、力強く頷いてみせる。


「決まりね。あたし達がその場に留まらず、次の行動に移るようなら、その時はその場にフェアリー達は居なかったと思って頂戴。」

「解りました。ご協力本当に感謝致します。」

「お礼なんて、むず痒いからよして頂戴。『袖振り合うも多生の縁』ってね。あたしの元居た世界の言葉なんだけど、この言葉が結構好きなのよ。」


 面と向かって頭を下げてくるイザベラに、苦笑しながら軽口で返した。


「ほら、何時までも頭を下げていないで早く行きなさいよ。フェアリー達だって、あなたの事を今か今かと待ってる筈なんだから。」

「…はい。では、また後ほどお会いしましょう。」


 ようやく顔を上げると彼女は、優しく微笑んだ後そう言って、あたし達に背中を向ける。それと同時に、周囲の風が意思を持って動き始め、イザベラの身体を持ち上げたかと思うと、そのまま高度を上げて飛び立って行った。


「…それじゃ、あたし達も向かいましょうか。」

「えぇ、そうですね。」

「はい!」


 イザベラを見送った後、視線を正面に戻してからみんなを促す。最初に行動に移ったのはエイミーで、目的地の方へと向き直って歩き始めた。


 その後をアクアが続き、銀星と夜天もそれに倣って着いていく。そして殿を、未だ背中にくっついて離れないオヒメを伴って、後を追おうと歩き出そうとして、ふと立ち止まって振り返った。


 視線の先…空一面には邪蟲の大軍と、その邪蟲の群れを未だ排出し続けている空に開いた穴。そして…


 シルフィー…


 その先に、確かに居るだろう人物を想いながら、1人心の中で呟く。最後に遠くから見えた小さな背中は、最初に会って感じた天真爛漫な彼女からは、想像も出来ないくらいに殺気立っているのが解った。


 彼女もまた、ガイアース同様に邪神に肉親を殺されている。親の敵である邪神の眷属が、こうして彼女の治める領域に攻め入ってきてたんだから、殺気立つのも当然よね。


 なのに彼女は、憎しみでブレる事無く、真っ先にフェアリー達の保護を優先して命じたって言うんだから、本当にお人好しよね。


 お人好しで真っ直ぐで…本当に心まで強いんだから。おまけに口調や性格まで、本当にあの人にそっくりなんだから…


 その人も天真爛漫で、何時も明るく笑顔を絶やさない人で、おまけに正義感の塊みたいな人だ。昔から姉のように慕っていて、一緒に研鑽してきたライバルであり、あたしが目標としている憧れの女性の1人。


 綾咲流古流柔術の次期継承者、綾咲聖さん…見た目はまるで違うって言うのに、どうしてもダブって見えちゃうのよね…


「…ママ?シルフィーの事が心配?」


 不意に、背中越しに問われて思わず苦笑する。ほんの1時間前まで、あんなに穏やかだったこの谷が、一瞬にして殺伐とした戦場に変貌してしまった。


 第一印象は見た目の所為もあって、明るく元気な小学生位にしか思えなかった子が、今はその殺伐とした戦場の最前線で、たった1人で敵の主力と闘っているんだから、心配しない方がどうかしている。だけど…


「そりゃ心配よ。だけど、あたしが助けに行った所で、シルフィーの足を引っ張りかねないじゃない。」


 肩越しに視線を向けて、オヒメの質問に苦笑しながら自嘲気味に答える。出来る事なら、今すぐにでもシルフィーを、助けに向かいたいと思う気持ちはある。


 けれど、あたしが助けに向かった所で、一体全体何が変わるのかと言う思いの方が強かった。あたしとシルフィーでは、戦い方が違いすぎるんだから当然よね。


 恐らく、その圧倒的なスピードを活かした戦い方だろうシルフィーに対し、そのスピードに着いていけないあたしでは、逆に足を引っ張りかねない。そして何より、実戦経験が無いあたしには、戦場での立ち回りにも自信が無い。


 そんな状態で、自分の気持ちを優先して行動しても、きっと良い結果にはならないと考えて、シルフィーの元に駆けつけたい気持ちを、理性で無理矢理ブレーキを掛けていた。そんなあたしの気持ちを、まるで見透かしたかのように、背中に負ぶさったままのオヒメは、満面の笑みを浮かべて背中から飛び立った。


「大丈夫だよ!ママなら絶対大丈夫!!だからシルフィーの所に行ってあげて!」

「え?だけど…」


 自信に満ちあふれた表情でそう断言するオヒメに、何を根拠にそんな事を言うのかと戸惑いながら、背中から飛び立ったオヒメを視線で追っていく。やがて彼女は、向き合う形であたしの前にやって来ると、右手を握って拳を作り、それを勢いよく自分の胸に叩き付ける。


「『一刀を胸に』でしょ?」

「姫華…」


 それは昨夜就寝前に、彼女にせがまれて考えた言葉――


「フフッ、オヒメちゃんの言う通りですよ。」


 オヒメに賛同する言葉にそちらに視線を向ければ、先に歩き出した筈のみんなが、少し離れた場所からあたし達の様子を伺っていた。その中央で、声を発したエイミーが、可笑しそうに微笑みながら、あたし達の元へと戻ってくる。


「あなたは、あなたの思うままに行動して良いんですよ。」

「エイミーまで…」


 オヒメの隣に並び立ったエイミー迄もが、そう言ってあたしの背中を押してくる。正直、シルフィーの元に行こうとしたら、きっと止められると思っていたあたしにとって、彼女のその言動は予想外でしか無かった。


「…あたしが助けに行って、シルフィーの役に立つと思う?」


 予想外だったけれど、何の根拠も考えも無く、無責任にエイミーがそんな事を言うはずも無い。そう思ったあたしは、真剣な眼差しでエイミーを見つめて問い掛ける。


 それに対し、変わらず微笑んだまま頷いた後、視線を空に開いた穴へと移しながら口を開く。


「シルフィード様に限って、後れを取る事はまず無いとは思いますが…現れた蟲人がナイトタイプという点が、私も少し心配なんです。」

「どういう事?相性が悪いとか?」

「えぇ、正にその通りです。ナイトタイプと呼ばれる由縁ですが、甲冑のような堅い外骨格に、その身が覆われているからなんですよ。攻撃力に特化したイフリータ様なら、その殻毎焼き尽くせるのですが、スピードに特化されているシルフィード様だと、正直決め手に欠けると思います。それを見越して送り込んできたんでしょうが…」


 空に開いた穴を見つめたまま、彼女は苦々しく最後にそう言って締めくくられる。あまり見慣れないエイミーのその表情に、少し驚いたけれど、今はそれよりもその言葉を精査する方が先立った。


「…つまり、イフリータと同じく攻撃に特化したあたしの武器なら、その外骨格を貫けるかも知れないって事?」

「えぇ。恐らく…いいえ、きっと間違い無いでしょう。」


 あたしの言葉に、向けていた視線を元に戻して、敢えて言い直して断言し、力強く頷いてみせるエイミー。当然、その言を全面的に信じたあたしは、成る程確かに、それならば少なからず何か出来る事が在る筈だと、改めて考え直した。


「それに、今までに起きた邪神側からの進軍を考えると、この程度の規模で終わるとは考えられません。先に現れたナイトタイプの蟲人は、シルフィード様に対する牽制が目的で、この後にソルジャーの進軍が控えている筈です。」


 油断なく、戦況を分析するエイミーの言葉を聞き、固唾を吞んだあたしは、視線を空に開いた穴に向けて睨む。ナイトタイプというのが、甲冑を着た騎士ならば、そのソルジャーというのは、軍隊で言う所の一般兵と言う所だろう。


 視線を向けた先にある、邪蟲が未だに飛び出している穴は、開いた当初に比べて僅かに大きくなった気がする。イリナスが頑張って閉じてみせると宣言していたけれど、少なくとも今すぐ閉じる気配は皆無だ。


「このままの状態でソルジャーの進軍が始まれば、シルフィード様も風の谷に張った結界を解いて応戦せざるを得なくなるでしょう。そうなれば、邪蟲の群れがこの辺り一帯に広がり、何の備えもしていない周辺の村や街に、甚大な被害が出るのは間違いありません。」

「その前に、ナイトタイプをどうにかして、シルフィーをソルジャー達の進軍に備えさせる必要がある…か。イリナスが他の精霊王達に応援を要請するって言っていたけど、その応援がいつ来るかも解らないんじゃ、ここで呑気に構えてる訳にもいかないって事ね。」


 そう言いながら、あたしはため息交じりに動き出す。エイミー達が向かおうとしていた方向とは真逆、シルフィーが今も闘っているだろう方角へ…


「フフッ、良かった。」

「ん、何よいきなり?急に笑い出すなんて失礼ね…」


 不意に、笑い声が聞こえて振り返る。そして肩越しに、ニコニコしたエイミーの姿を見つけて、訝しがりながら問い掛けた。


「ごめんなさい。けど、ようやく何時もの優姫に戻ったと思ったものですから…」


 可笑しそうに言う彼女を見て、思わず肩を透かしながら苦笑する。確かに彼女の言う通り、さっきまでのあたしは、ちょっとらしくなかったかも知れない。


 きっと、自分でも無意識に臆病になっていたんだと思う。だって仕方無いでしょ?戦場に立つのは、生まれてこの方初めてなんだから。


 実家が古流剣術の家だから、殺気や闘気を受け流す術は身に付けている。今まで散々好き勝手してきて、周囲から悪意や嫉妬を向けられてきた事だってある。


 だけど、いくら練習で散々やって来たからって、それを実戦でも普通に出来るかって言うのは、また別の話だ。実際にこの場に立って、初めて肌で感じて解る事だって在る…


 悪意と殺意、恐怖と憎悪。誰に向けた物でも無い、無形の感情が辺り一帯に散布されているみたいで、息が詰まりそうになる。


 それを意識しないようにしていたけれど、そう思う余り逆に呑まれていたのかもしれない。自分の気持ちに正直になりきれず、その理由を探してあ~だこ~だ考えるなんて、確かにあたしらしくない。


「自分の気持ちに、何時だって素直で居る事なんて、こんな難しい事はありません。だけど優姫は、それでも――と、言える強さがあるじゃ無いですか。」

「あたしの強さは口が達者な所だって?酷い話ね~」

「またそうやってすぐに茶化す…折れない心を持っている。そう言いたいんですよ私は。」

「心の強さ…か。武器にして振り回せないのが難点よね~」

「フフッ、本当に口が達者なんだから。けれどそれも強さじゃないですか。目に見える物理的な強さでは決して無くても、優姫の心は私達の心まで奮い立たせる事が出来る…」


 そう言ってエイミーは、隣で宙に浮いて立つオヒメへと視線を向ける。


「ママ――」


 その視線に促されるように、決意に満ちた表情の姫華が口を開く。なんとなく、その後に続く言葉が想像出来てしまったあたしは、自然と眉間に皺が寄って険しい表情に成ってしまった。


 何時かそんな日が来るだろう事は解っていた。何故なら彼女達は、その為にこの世界に生まれてくるのだから…


 けれど、いくら何でも早過ぎるでしょう、あなたはまだ産まれたばっかりじゃ無い。まだそんな事を気にする必要なんて無い、見た目相応に振る舞っていれば良いのよ。


 そう言い聞かせたいけれど、姫華の決意に満ちた表情を前にしたら、言葉を飲み込まざるを得ない。それだけ、彼女の決意は固いのだと、察してしまったから…


「――姫華も闘うよ。」

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