304未来から来た男と白頭巾の軍師(カケルのターン)
大原の支配をめぐり激突したカケルは、岸川広家を蹴散らし、見届け人として参戦した明智秀満の陣へ進み出た。
秀満の作る方円の陣へ一人進み出たカケルは、直談判に打って出た。
しかし、そこには謎の白頭巾の軍師 月光がいた。
月光は、カケルに鎌倉幕府成立の年を尋ねると、カケルは西暦で答えてしまう。
そう、この戦国時代には西暦は導入されていない。これは、月光による引っかけ問題だったのだ。
月光は、カケルが何らかの理由で未来から来た人間であることを見抜いていたのだ。
しかも、月光を要する明智家は、もう少し先の歴史で、明智光秀が本能寺の変によって織田信長を討つが、秀吉によって三日天下で終わる歴史を改変しようとしている。
カケルは、信長を変革者だと思っている。対して、信長を悪だと決めつける明智秀満と意見が対立した。
「関羽左近とやら、お主を野放しにはしておけない」
月光が鋭い目つきでカケルを睨んだ。
カケルは、信長の命で朝廷工作。朝廷の近衛先久から、蘭奢待の切り取りを許可する代わりに、朝廷が治めるべきこの大原の荘園の税収の改善を命じられている。大原には、古くから朝廷より派遣された地頭の岸川家がある。岸川家は、大原の実質的な支配者の立場を利用して地侍化し、本来朝廷に収める税収を中抜きして己の懐に入れるのが常態化し、かえって、「なぜ楽をする朝廷を食わせねばならぬのだ」と、住民に重税を課して私腹を肥やす。
カケルは月光から「野放しにしておけない」と言われて、デンッとその場へ胡坐をかいた。
「月光殿、俺は覚悟は出来ている。俺はどうなってもいいから、岸川広家さんが、朝廷の上前跳ねて重税で苦しめるのを明智の力で当たり前の三公七民に減税してくれたら俺たちはもう逆らわないよ」
と、カケルは澄んだ瞳で月光を下から見上げた。
(なんと澄んだ瞳の男だ。たとえ親族同士でも血で血を洗う争いをする戦国時代にあって、一点の曇りもない瞳を宿している。関羽左近とやらのことがもう少し知りたい……)
月光は、内心でそのようなことを思った。
カケルの言葉に、月光は一瞬、心が揺らいだ。しかし、すぐに冷静さを取り戻した。
「関羽左近、お主は未来から来たというのか。それならば、お主はこの戦国の世に何をしに来たのだ?」
月光は、カケルに問いかけた。
カケルは、月光の質問に答えることに躊躇した。彼は、自分がどうしてこの時代に来たのか、自分が何者なのか、自分が何をすべきなのか、まだはっきりとわかっていなかった。
「俺は……俺は……」
カケルは、言葉に詰まった。
「お主は何も知らないのだな。お主はただ、信長様を崇拝するだけで、この世の真実を見ようとしない。信長様は、天下統一を目指すという名目で、多くの人々を殺し、多くの土地を焼き払い、多くの文化を破壊してきた。お主はそれを知っているのか?」
月光は、カケルに厳しく迫った。
「信長さんは……信長さんは……」
カケルは、月光の言葉に反論しようとしたが、思い浮かばなかった。彼は、信長が変革者だと思っていたが、その変革がどれほどの犠牲を伴っているのか、その変革が本当に正しいのか、確信が持てなかった。
「お主は未来から来たというが、未来ではどうなっているのだ?信長様は天下を統一したのか?それとも……」
月光は、カケルにさらに詰め寄った。
「未来では……未来では……」
カケルは、月光の言葉に答えることができなかった。彼は、自分が来た未来が本当に正しい歴史なのか、それとも別の可能性なのか、分からなくなっていた。
「関羽左近よ。お主はこの戦国時代に何も貢献できない。お主はただ、歴史を乱すだけだ。お主にはこの時代に居場所がない。お主は帰るべきだ」
月光は、カケルに最後通告した。
「帰るべきだ……帰るべきだ……」
カケルは、月光の言葉に呆然とした。彼は、自分がこの時代に何を求めているのか、自分がこの時代で何を成し遂げられるのか、自分がこの時代で誰と共に生きるのか、何も答えられなかった。
「関羽左近よ。お前に与える時間はこれまでだ。今すぐ明智家に降伏するか、あるいは死ぬことを選ぶか。どちらでも構わん。さあ、決めろ」
月光は、カケルに決断を迫った。
カケルは、月光の言葉に動揺した。彼は、明智家に降伏することも死ぬことも望まなかった。彼は、
「俺は……俺は……」
と言って立ち上がろうとした。
しかし、
「待て!」
という声が、カケルの背後から聞こえた。
カケルは、振り返ってみると、そこには、明智秀満の姿があった。
「月光殿、この男は私が引き取ろう。彼は私にとって興味深い存在だ。彼の言うことは全て嘘かもしれないが、もしかしたら真実かもしれない。私は彼からもっと話を聞きたい」
秀満は、月光に言った。
「秀満様、それは危険です。この男は信長様の手先であり、未来から来たという不可解な存在です。彼を生かしておくことは、我々の計画にとって障害となります」
月光は、秀満に反対した。
「いや、それが面白いのだ。この男が本当に未来から来たとしたら、彼は信長様の運命を月光、お主の様に知っているかもしれない。それを知ることができれば、我々は信長様に対する最善の策を練ることができるだろう」
秀満は、月光に説明した。
「それでも……」
月光は、秀満に納得できなかった。
「月光殿、私の決断に従ってくれ。私はこの男を自分の陣に連れて行く。彼に何かあれば、私が責任を取る」
秀満は、月光に頼んだ。
「……分かりました。秀満様のお言葉ですから、仕方ありません。しかし、この男を油断なく見張ってください。彼が何か企んでいるようなら、容赦なく処分してください」
月光は、秀満に忠告した。
「ありがとう、月光殿。心配せずとも、私はこの男を手玉に取ってやる」
秀満は、月光に笑顔で答えた。
そして、
「さあ、関羽左近よ。お前はこれから私の陣に来る。私はお前の話を聞きたい。お前が本当に未来から来たのならば、お前は私にとって貴重な情報源だ。お前が嘘つきだったらどうなるか、想像してみろ」
秀満は、カケルに言った。
カケルは、
「俺は……俺は……」
と言って困惑した。
彼は、
(どうすればいいんだ?俺はこの人たちの言うことがわからない。俺はこの時代に何をすべきなんだ?俺はどこへ行けばいいんだ?)
と思った。
そして、
(俺は……俺は……)
と言って涙を流した。
皆さん、こんばんは星川です。
以前、バンド活動をしているのはお伝えしたかと思います。
今までは、カバー曲をやっていましたが、来年はオリジナル曲を作ることになりました。
で、そこで、私、星川おっとり刀ですが、作詞をいたしました。
テーマは、センチメンタルに若者から大人になるってどういうことか?
で、想像力のない私は家では書けませんので、喫茶店のウインドウ越しに街行く人を見ながら作詞しました。
で、詳しくは言えませんが、彼女を失て初めて、彼女の優しさに気づく話です。
よし、俺って天才とおもって、即メンバーのラインへ送ったのですが、メンバーには物書きの同門の友人もいます。
返信には、私が、落語の三題噺で、センチメンタル、若者、大人へ成長する、で作詞したのなら、友人は、感傷的、おっさん、酒で忘れるで返してきました。
私の作詞がフジファブリック風なら、友人はクレージーケンバンドでした。
まさに、真逆。同じテーマでも、物書きの主人公の境遇によって全く違ったものになるんやなと勉強になりました。
そして、友人の追伸にはこうありました。
「いくらでも作れるでウハハハハ~」
きっと、友人は天才というよりも悪魔と契約をしたのでしょう。
いつか、エクソシストを呼んで除霊してあげようとおもいます( ´∀` )
では、ブックマーク、ポイント高評価、感想、いいね よろしくお願いいたします。
それでは、また、来週に。