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298朝廷の書状 寝息を立てた策士(カケルのターン)

 柵と逆茂木で要塞化した楽造の屋敷に立て籠もるカケル、菅沼大膳、お虎、柳生美里と楽造10人の野盗上がりの菅沼大膳の子分は、大原を埋め尽くす先頭の岸川勢30人と、その背後に後詰として明智秀満300の手勢が無言の威圧をかける。


 前回の岸川広家との小競り合いでは、こちらには100人ほどの百姓の味方が居た。しかし、今回は、岸川翔馬が引き入れた圧倒的に数に勝る織田家家老、明智光秀の配下、明智秀満手勢に百姓たちはすっかり怖気付き山へ逃げてしまった。


 カケルたち15人対岸川30 明智300。一般的に、兵力差3倍を準備すればほぼ勝てる。5倍なら確定的。今度の相手はカケルたちのおよそ20倍。数の上ではどうひっくり返ってもカケルたちには勝ち目はない。岸川は、カケルたちに次の戦いに備える時間を与えず十分な時間を与えなかった。先の戦いでカケルたちの築いた楽造の屋敷の備えもかなり痛めつけられた。此度は前回の様に行くまい……。



 数の上では絶対に太刀打ちできないカケルは楽造の屋敷の広間に、皆を集めて、作戦を話した。


 菅沼大膳の子分の野盗と言ってもついこないだまで百姓をしていた者がほとんどだ。岸川の重税にあえいで仕方なしに野盗に身を持ち崩したものがほとんどだ、足軽として戦にすら出たことのない者も多い。


「左近どうする?」


 お虎が尋ねた。


 腕を組んで難しい顔をしたカケルは、今回ばかりは即答は出来ないようだ。


 すると、お虎が、


「左近、此度の戦は、我らに勝ち目はないぞ。先の岸川広家の総数は50弱でこちらが百姓を含めて115で戦の素人集団ばかりだとしても数の上では勝っていた。此度は前回とはちがう。岸川の兵30だけならば、我らは半数の15で、左近、菅沼大膳、私、柳生美里の武勇をもってすれば容易くひっくり返すことができる。しかし、此度は後ろに明智が控えておる。明智の兵は織田家でも精強でならす兵だ。鎌倉以来の武士の家柄を誇って形だけの武士を気取る兵ではない。明智は本物の侍だ。やつらには手の施しようがない」


 菅沼大膳が口を開く。

 手合わせをする前からそんな弱気でどうする。ワシと左近殿は、あの武田と徳川の大戦、三方ヶ原の戦いで、一騎当千、一人で数百の敵を相手にしたぞ。さらに、左近殿に至っては徳川の武勇の代名詞、本田平八郎忠勝と見事な一騎打ちで火花を散らし互角の勝負をいたした。かく言うワシとお虎殿だって、武勇で鳴らす副将の中根何某かと一騎打ちで火花を散らしたではないか、岸川が明智が何するものぞだ!」


 菅沼大膳の話を聞いた柳生美里が冷静に、


「左近様、菅沼大膳様、お虎様が、それぞれ一人30の兵を請け負ったとしても、敵はまだ、90人しか相手にできません。それだとまだ敵は240。とても私と菅沼大膳様の子分殿たちでは抑えきれません。なにか起死回生の奇策がなければ太刀打ちできません」


 すると、菅沼大膳は目をギラギラと輝かせて、


「ならば、ワシが岸川広家と、左近が明智秀満と一騎打ちを果たせばどうだ? 大将さえ討ち取ってしまえば我らの勝ちだ!」


 お虎が呆れて、


「菅沼大膳よ、先の戦でその作戦は使ったであろう。岸川広家は、左近と手合わせして己の武勇では左近に敵わぬと十分に理解しておる。ましてや、後ろに控える明智秀満はそんな無謀な一騎打ちなどしまい」


 お虎に否定された菅沼大膳が赤い顔をして怒って、


「ならば他にどんな戦い方があると言うのだ!」


 菅沼大膳の怒声に、他の奇策を思いつかないお虎は「それは……」と黙り込んだ。


 すると、いままで正座して聞いていた楽造が口を挟んだ。


「やっぱり、百姓たちと一緒に降伏しましょうよ。例え三民七公でも二民、一民でも生きていての物種ものだねだ。死んだら何にもならねぇ。ねぇ、左近様」


 腕を組んでみんなの議論を目を瞑って静かに聞いていた左近は、楽造の問いかけに応えない。なにか秘策を思案しているのだと思い、広間に集まった全員が左近の次の言葉を待って息をのむ」


 ”ぐ~、す~、ぐ~、す~”


 左近はなかなか返事をしない。まるで静かに寝息を立てているように、呼吸をしている。


 菅沼大膳が、カケルの言葉を急かせるように声をかけた。


「おい、左近。なにか秘策はないのか!」


 ”ぐ~、す~、ぐ~、す~”


 カケルの返事はない。静かに深く呼吸を吸い込み、深く吐き出すのみだ。


 お虎が何か気が付いて眉間に皺を寄せた。お虎は、立膝でカケルに近寄って、カケルの鼻先に手を置いた。お虎は、呆れた顔をして、


「こいつ、我らの命のかかった議論の最中に寝息を立てて寝ておるぞ」


 柳生美里がお虎の言葉に驚いて、


「まさか、このような白熱した議論の最中に左様なことは」


 柳生美里もお虎の様に立膝でカケルの元へ近づいて、お虎と変わって、カケルの鼻先に手を当てた。


 ”ぐ~、す~、ぴ~”


 美里の眉間が曇った。いきなり抜刀し刀の背でカケルの肩口を「喝!」と鞭打った。


 ”ばふぅ~”


 カケルはでかい放屁をぶちかました。とても臭い屁だった。広間に集まり真剣に話していた一同がこれには面くらって、庭先へ逃げ脱した。


 カケルは、喝! と目を見開いた。


「秘策が思いついた」


 庭に逃げたお虎が鼻をつまんで尋ねた。


「どんな秘策だ?」


 すると、カケルは朝廷工作の時に近衛先久から預かった書状を取り出して、印籠の様に皆に指示した。


「この書状は岸川さんには通用しなかったけど、将軍家や朝廷に重きを置く明智家の秀満さんには通じるかもしれない。


 菅沼大膳が中庭から、跳びもどって、カケルに顔を近づけた。


「面白そうじゃ、どんな作戦だ。我らはどうする?」


「それはね……」


 と、カケルは菅沼大膳に耳打ちした。


「おお、それは面白い。さすがあの本多平八郎忠勝と一騎打ちした漢の作戦だ」


 すると、お虎も跳ね飛んできて、カケルの話を聞いた。


「左近、ワタシにも聞かせろ?」


「それはね……」


「ほう、我ら三人の武勇で挑むのか、まさに三国志の劉備、関羽、張飛の三兄弟の如くだな。おもしろい」


 柳生美里と、菅沼大膳の子分が広間に上がってきて、カケルに尋ねた。


「左近様、どのような秘策なので?」


 カケルは、近衛先久の書状をばん! と、印籠の様に見せつけて、オレと菅沼大膳さんとお虎さんで、岸川広家と明智勢を突き抜けて、これを明智秀満に突きつける」


 美里は首をかしげて、


「それは、どういう意味なので?」


 カケルは、自信満々に、


「これを明智秀満さんに突き出して、『ここは朝廷の荘園、お前は朝廷に逆らうのか、逆らえば明智はおろか織田家まで朝敵になるけどよいか!』といってのけるんだ」




 つづく

皆さん、こんばんは星川です。

先週土曜日、私は、去年参拝した大阪難波の大国神社へお礼参りへ行ってきました。


大国主は、商売とか、お金にまつわる神社です。


神社へのお礼参りを済ませると、久しぶりに競馬 秋華賞でもしようと閃き、競馬新聞を買い喫茶店へ入りました。


窓際の席に座った私が集中して予想を立てていると、大国主神社の神使のネズミが現れました。

「まじか!」

運命的なものを思いました。

そこで私は、予想を捨て、三冠牝馬の称号がかかる本命6と、ラッキーセブンの7、後は、天皇陛下の誕生月2を選びました。


何ということでしょう。カンのようなもので買った馬券ですが、見事、勝利!


難波までの交通費とコーヒー代、馬券代が返ってきました。


「これが、神様の力か」


と、驚きました。


で、翌日の日曜日は、天釈日と大安が重なる年に五日あるかないかのチョーラッキーデー。


一説では、この日は何をやってもうまくいく日らしいです。


私、当たり馬券の余りでハロウィンジャンボ宝くじ買いました。


買うだけなら面白くありません。近所の氏神様に片っ端から祈願へあがりました。


「いつも、お世話になっております。住所、氏名、5億円の宝くじを当選させていただFIREさせていただきたいです。よろしくお願いします」


欲得まみれのお願いをしてきました。


まあ、宝くじの当選は置いといて、いいことがありました。


神社を参ると、居住まいが美しくなるんですね。


ほら、神様に会うのに不敬があってはならないじゃないですか、鳥居で一礼、山道の脇を通り、社殿で二礼、二拍手をすると、驚くほど、心が整うのです。


ホンマよ、整うの!


皆さんも、神社参りおすすめです。、


では、ブックマーク、ポイント高評価、感想、いいね よろしくお願いいたします。



それでは、また、来週に。

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