263秋山十郎兵衛の秘術!(佐近のターン)
「フッ、知って居るよ渡辺勘兵衛、いや、本物の嶋左近とでも呼んだ方がよかったかな?」
「本物の嶋左近⁈ お主、なぜにそのことを知って居る!」
「フッ、佐近よ、未来へ通じて居るのは、お主だけではないわ!」
「秋山十郎兵衛、お主どこまで知って居るのだ!」
「どこまで知って居るだって? それはな、武田がこのまま長篠の戦いに臨めば、織田・徳川連合軍の鉄砲の餌食になるということさ」
佐近は、難しい顔をして、
「そうとうくわしく承知しておるようだのう」
「そうよ、佐近、お主に協力する者が居るように、未来にはこちらにも協力する者が居るということよ」
佐近は、眉間に皺を寄せ厳しい顔を向けて、
「協力者というのは何者だ!」
「フッ、簡単に教えると思うてか、一つだけ教えておいてやろう。織田信長を排除して、新しい歴史を作るのは諏訪太郎勝頼様だ。それに”Z”とやらは協力してくれるのだ、おっと、喋りすぎたようだ」
「”Z”? たしか以前、リーゼル殿も似たような組織の名前を口にしておった、おそらく、同じ者たちであろう」
シュトン!
佐近の顔を目がけて菱苦無が飛んできた。
「話しは、ここまでだ嶋左近。お主を生かして居っては武田の天下が相成らんとの話しだ。すまんが、ここで死んでもらう」
秋山十郎兵衛は、胸で指を結び、「土遁! 木偶人形の術!」と、術式を切った。
すると、土の中からモコモコと木偶人形が這い上がり、襲ってきた。
「ここは、武田と徳川の国境だ、武田忍の亡骸がごまんと地中に埋まって居る”Z”から提供された秘薬を使うと一度死んだ者が蘇るのだ」
「死んだ者が蘇るだと?」
「そうだ、土遁、木偶人形は死者を蘇らせて不死の兵とする術だ」
「なんだと! 仏法神罰の理を無視して、人の命の尊厳を自分たちの利益のために利用するというのか、武田勝頼はそこまで地に落ちたのか!」
「いや、諏訪太郎勝頼様は関係ない。我等、三ツ者が勝手にやっていることだ」
「秋山十郎兵衛よ、そんなことをして天罰が下らぬと思わぬのか!」
「俺は手を拭いきれない血で汚した忍びだ、そのような信心はとうの昔に捨ててしまった」
ヌルッ!
佐近の足下が盛り上がって、泥にまみれた木偶人形の手が佐近の足を掴んだ。
「ヌッ!」
佐近は、腰の刀を引き抜くと、さっと、木偶人間の掴んだ手を切り落とした。そうして、
シュタタ!
と、秋山十郎兵衛から距離をとった。
「なんとも、厄介な相手を敵に回したものだ」
その頃、生きた三ツ者に囲まれた奥山休賀斉は、
「九つ、十! あと、三人じゃな、なぬッ!」
奥山休賀斉は自分の目を疑った。
「おかしい? 確かにワシは、三ツ者を十人は斬った。残すは三人のはず、それが、目の前には変わらず十三人が立って居るではないか! これは、どういうことだ?」
そこへ、佐近が逃げ込んできて、奥山休賀斉に背を合わせた。
「奥山殿、こやつらは秋山十郎兵衛の術で蘇った屍の忍、端から死んでいるのか生きているのか分からぬ者たちでございますよ」
「生きているのか死んでいるのかわからぬ忍じゃと、渡辺殿、そんな者たちを相手にどのように戦すればよいのだ!」
「私に聞かれても分かりませんよ。今は、私たちは死地にいると言うことだけは間違いない事実です」
「う~む! えい!」
奥山休賀斉は、掛かってくる屍の忍を斬った。
手応えがあった。
しかし、相手は屍だ。もはや、意識とは関係なく襲いかかってくる。
「う~む、ワシは内海無双の剣客、生きて居るあいてならば遅れはとらぬが、相手が屍であっては手の打ちようがないわ。渡辺殿、ここは一端逃げよう」
すると、奥山休賀斉は、大声で、
「疾風よ、一端、我等は引くぞ、ここは作戦の立て直しだ」
そういうと奥山休賀斉は、一目散に駆けだした。それにつづいて佐近も逃げだした。
はぁはぁ……。
かなりの距離を走った。
奥山休賀斉と佐近を屍の三ッ者はしつこく追い続けたが、林を抜けようやく陽の光が差し込む広い岡崎街道筋にでると、ピタリと居ってこなくなった。
「うむ、どうやら屍の三ッ者は光が苦手と見えるな」
佐近と奥山休賀斉が逃れて作手亀山の村まで来ると、疾風が合流した。
「おや? その娘は?」
「この娘が鉄砲の主のようです」
奥山休賀斉は、いきなり抜刀して、娘の首筋に首を斬り飛ばさんばかりに振り下ろした。
「はっ!」
娘は、思わず眼を瞑って、死を免れようとした。
「娘、お主は屍のようではないようだな」
娘は吐き捨てるように、
「私は秋山十郎兵衛とはちがう、私は血の通った人間だ」
「娘、秋山十郎兵衛にはいろいろと思うことがあるようじゃのう。悪くは致さぬ、話せる範囲でワシらに教えてくれ」
と、奥山休賀斉は、優しい笑みを浮かべながら訊ねた。
娘は、背を向けて、
「そう簡単に忍が口を割るか!」
奥山休賀斉は、困った顔をして、
「娘、ワシは侍だから悪いようには致さぬが、お前を捕らえた疾風はちがうぞ。こやつはあの非情な服部半蔵の部下、あまり強情をはるとどんな仕打ちを食らわすかわからぬぞ。頼む、娘、屍の忍、あやつらはあのままじゃと地獄にすらいけぬ、どうか仲間を救う慈悲の心で話せる範囲で教えてくれ」
つづく
皆さん、こんばんは星川です。
私、この小説以外意にも最近、ゲームシナリオなども勉強しはじめました。
いや、まだまだ、形にはなっておりませんが、企画書、一から教えていただいております。
なにしろお金を出してもらうのです。いろいろ手順があるようです。まだ、ちゃんと覚えてへんけど、企画が面白いだけではアカンのです。マーケットリサーチとかすんの。
見込み客がどれくらいいて、企画の見込みはどれくらいで、、、とにかく、アホの私には数字がいっぱいで難しいのです。
で、困るのが、得意の文章を使わず、パワーポイントでフローチャート図解でみせること。
「そんなんやったことありませんやん」
うちの師匠は、テーマは一行、ストーリーは三行。箱は、三枚まで、これしか見てくれません。このサイズで分からない話は、話しにすらならないのです。
だらだら書くな!
簡潔に書け!
文章なんか読みたない!
芝居を書け!
こんな教えだったので、ゲーム企画がこんなにたいへんだなんてえ!
教えて下さっている方が、経験してみなさいと善意で、
「本来、このへんの事はプロデューサーがする役割なんですけど」
と、言いながら経験をさせていただけます。
ありがたい話です。
で、パワーポイントで図解、これくらいでわかるかな?
では、畑違いの方には分からないそうです。
WEB小説界隈で、私が感じている。ほとんどの人、地の文書きすぎ問題は、私が師匠の指導によって削られただけで、普通はもっと懇切丁寧に書くのが一般的なんだと分かってきました。
まあ、なにがいいたいのかまとまりはありませんが、いくつになっても学びの姿勢を崩さなければチャンスはいただけるんだなと、改めて思います。
ホントに、人に感謝、学びに感謝、先達に感謝でございます。
(忙しいのは言い訳にしたくないけど、勉強時間が作れなくて今期のドラマ、アニメみれてないの)
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それでは、また、来週に。