257奥山休賀斉からの申し出、渡辺殿、山家三方衆の奥平定能を調略してもらいたい(佐近のターン)
徳川家剣術指南役 奥山休賀斉に誘われる形で居酒屋へ入った渡辺勘兵衛こと現代の高校生 時生カケルと魂と肉体が入れ替わった嶋左近は、衝撃的な情報を手にする。
「なんですと! 織田家の大坂 石山本願寺への進軍は、武田勝頼を誘い出すための布石であると奥山殿は申されるのか!」
「渡辺殿、声が大きい。織田の殿様は、徳川の殿へ内密につなぎをつけ、武田信玄の西上作戦により武田家に編入された奥三河の山家三方衆の調略に動かれておる」
奥三河 山家三方衆。田峯城の菅沼定忠、作手城の奥平定能・貞昌親子、長篠城の菅沼正貞だ。
田峯の菅沼定忠は武勇に優れ赤鬼との異名をとり、今は、嶋左近と魂の入れ替わった時生カケルの家来になった菅沼大膳はその嫡男である。
作手の奥平定能は、策略家として評判で頭が切れる。しかし、頭は切れるがどこか必ず抜けているところがある三流の策略家である。その嫡男、貞昌は堅実でこれといった特徴は無い。
長篠の菅沼正貞はまだ若い城主だ。その実権は叔父の満直に実権を握られている。
この山家三方衆は、三位一体協力して連携を企り家名の存続をはかっていた。
が、しかし、奥山休賀斉は耳打ちするように身を乗り出して、
「ここだけの話しだがな、同盟者の徳川と織田の由縁で話すがな、ワシは剣術の修行で奥平の家を出奔した身ではあるが現在も歴とした一門の者。この度、ワシの行動の先には、奥平の調略があるのよ」
「奥平定能を調略いたすのですか!」
「そうだ、正しくは、のらりくらりと返事を濁す奥平定能を罠にはめ、嫡男の貞昌をこちら方へ引き込む算段なのだがな」
「しかし、奥山殿、そのようなお家の大事をなぜ、私のような一介の侍大将にお話になるので?」
「それは、そこ、人には得て不得手というものがあってだな、ワシは、調略のような人を口車にのせる謀りごとは苦手なのよ。どうした物かと困っておった直後に、ほら、お主、同門の上泉伊勢守信綱先生の流れを汲む、渡辺勘兵衛殿を助太刀いたしたのだ」
「と、いうことは、奥山殿が私に助太刀下さった目的はそれにございますな」
「ほほ、渡辺殿は鋭い。しかし、タダとはもうしませんぞ。甲賀忍びとの戦いの時に、チラリと小耳に聞き及んだが、お主、菊水泉の女を見受けするために金がひつようなのであろう」
「はい、工面に難渋しております」
「うむ、困って居るだろう。そこでだ、その身請け費用は全額、この奥山休賀斉が用立てよう」
「まことにございますか!」
「うむ、金は今回の調略のために徳川の殿より無制限に金の都合は許されて居る。だから問題ないが、ワシは剣術の方は誰にも負けない自信があるが、ほれ、相手はあの癖者 奥平定能であろう。ワシの頭ではあべこべに追い返されかねない。そこでじゃ、お主、渡辺勘兵衛殿の出番となる算段じゃ」
「しかし、私は今、人身御供にあい、ここ熱田の菊水泉に売られた稲葉一鉄殿の領内の娘たちを先に助ける役目を受けて居ます。それと、もう一つ、武田家へ黄金を運び込もうとする美濃の国主 土岐氏の復権を企てる金蔵の足取りを追わねばなりません。奥山殿の申し出で娘たちの一件は解決いたしても、金蔵の方が手詰まりにございます」
「そうか、わかった。ワシに良い手がある。まずは徳川の金で、稲葉の娘たちを買い戻す。そして、金蔵とやらの足取りは徳川の手の者に足取りを追わせよう……」
と、奥山休賀斉は、居酒屋の四方に目を配りして、真後ろで背中を向けて一人酒と魚を飲む商人風の男に声をかけた。
声をかけられた商人風の男は、クルッと向きなおって、
「へへへ、いやですねぇ、奥山休賀斉様は、お人が悪い」
「もうよいぞ 徳川家忍衆 服部半蔵が配下 疾風よ正体をみせよ」
すると、商人風の男は、クルリと向き直ったかと思うと、ヒラリ、衣服を巻き上げ飛ばし、サッサと伊賀忍者の黒い忍び装束で奥山休賀斉の前に片膝をついた。
佐近が、疾風を見るとまだ年齢は若い十八、九といった年齢だ。
疾風は、佐近に向き直って、
「渡辺勘兵衛殿、オイラも貧しい農夫の孤児だ。おっ父は殺され、おっ母が戦乱に巻き込まれ乱取りにあいどこかに売り飛ばされちまった。稲葉の女たちの気持ちは少しは分かるつもりだ。奥山様が申されるようになんとか力になってやりてぇ、どうか、オイラにも手伝わせてくれ」
奥山休賀斉は佐近に向き直って、
「どうだろう、渡辺殿、ワシに力を貸してくれんか?」
佐近は、腕を組みしばし、思案したが、腹を決めたように膝を叩いて、
「わかり申した。奥山殿、一端は、徳川の力を借りて先に稲葉の娘たちを身請けさせていただきましょう。そして、次に、奥平定能の調略をして、最後に、疾風殿に足跡を追っていただいた金蔵を捕らえ、徳川に建て替えていただいた金を返却いたすといたしましょうか」
奥山休賀斉は、目を剥いて、
「おお、渡辺勘兵衛殿は律儀なことを申されるのう。なにもワシは金は用立てるとは申したが返せとはいっておらんのに返すと申すか、これは魂消た律儀者じゃ。お主のような者なればきっとこの謀は上手くいくであろう」
そういって、手を叩いた。
つづく
皆さん、こんばんは星川です。
いや~、早いですね。新年が明けてもう一週間です。
私何もやってません。
正月はどこかでおせちを買おうかと考えて居たのですが、料理人の友人から「近くに百円ローソンがあれば自分で簡単に作れるよ」とアドバイスを受けました。
なんでも、百円ローソンに二は、おせちの材料が個包装で売っているそうです。
ケチな私は、早速走りました。
買ったのは、
・栗きんとん
・黒豆
・伊達巻き
・かまぼこ
それぞれ理由があります。
栗きんとんは、財宝に見立てた金運。
黒豆は、邪気払いの黒とまめに暮らせるように
伊達巻きは、巻物を模して教養が身につく
かまぼこは、魔除けと清浄をあらわす。
それと、もう一つ忘れちゃいけません海老です!
海老は、腰が曲がるまで長生き の曰くがあります。
年末に、スーパーなんかで塩海老を見ますと四匹2000円弱。。。高すぎる買えないよう。
「長生きは出来そうにないや……」
と、一端は長生きは諦めた星川でしたが、年末の商店街を歩いているとトンカツの”松乃家”さんの前で気づいちゃったんです。閃いちゃったんです。
「エビフリャーだがや!」
そう、海老フライならばお手頃価格のハズ。しかも、へたすれば冷凍食品もあるはず。
で、スーパーへ走りました。
冷凍食品のエビフリャーは売り切れで、なくなく、惣菜のエビフリャーをゲット!
さらに、私は悪知恵が働きます。
塩海老が腰が曲がるまで長生きならば、真っ直ぐなエビフリャーは、
腰が曲がらず長生き!
結果オーライです。新年の星川はポジテブです。
見事、エビフリャーをそろえて自作おせちを完成させました。
しかし、皆さんお気づきでしょうか、勘の良いみなさまならおわかりでしょう。
アホの星川は、中身を準備したけれど、入れ物お重を持っていなかった。
そら、男の一人暮らしですものね。お重なんて持っていません。
年末、ギリギリにダイソーに走ると、あんなにあった正月商品は見事に入れ替わっている。節分仕様なんです。
で、私の地元の尼崎中を自転車立ち漕ぎで走りまくってようやくお重を買いましたとさ。
おせちを安く上げようとしてなかなかに大変な年末でした。
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それでは、また、来週に。